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パメラ・ゴードンスミスの場合3

「宰相補佐の方々は早朝に使われます。夜番の衛兵と交代する早番の衛兵が来る前です」

「衛兵も使うのですか?」

「衛兵に食事どころか、夜間は部屋を与えられた貴族のお茶も、お湯を使用人用の食堂で用意してもらっています」

「まあ、あのお茶も?」

「ゴードンスミス様がお飲みになっていたお茶は、夕食時のお茶です。もっと遅い時間のお茶は使用人用の食堂の物になります」


 部屋付きの侍女の言葉を聞いて、専属侍女は楽しげに言った。


「お嬢様、これからは夜にお茶が楽しめますね」

「夜にお茶?」

「屋敷では出していませんでしたが、ここではお湯が使い放題ってことです!」

「リリア。どうして、そのように興奮しているの?」

「料理人たちは夕食後のお茶を出したら、仕事が終わってしまって、それ以降のお湯は自分で沸かさなくてはいけないんです」

「でも、リリアはホットミルクやホットココアを持ってきてくれたでしょう?」

「あれは、お疲れになっているお嬢様の為に特別に用意したんです。それにお茶は茶葉が管理されていますし、夜には飲めなかったんですよ」

「そうだったのね」


 確かに、仕事を終えて屋敷に帰ってからは、水差しの水か、専属侍女のリリアが用意したホットミルクかホットココア以外、パメラは飲んだ記憶しかない。


 すべては料理人の勤務時間かどうかだった。

 料理人の勤務時間は王侯貴族も自由にできない。

 貴族が食べたい時に料理人に命じても、出てくるのは早くて30分、オーブンを使う料理は二時間近く待たされる。

 料理は時間がかかる物。

 そんな常識は愚王ですら、わかっている。

 ざっくり、料理人の一日の流れを見れば、朝は使用人たちの食事作りから始まって、貴族の朝食後は昼食の仕込みがあって、貴族の昼食後はお茶の時間の仕込みがあって、お茶の時間の後は夕食の仕込みがある。貴族の夕食が終わった後、料理人たちは片付けをして、仕事から解放される。

 仕込みがオーブンで1〜2時間、焼いていることを示していると考えたら、オーブンを使う料理が料理の時間を決めているようだった。

 だからこそ、料理人の勤務時間ははっきりとしている。

 いや、使用人の勤務時間も料理人に準じて短い。夜間は夜番と専属侍女や執事を残して、夕食後は仕事を終えてしまう。

 夜間は使用人が極端に少ない。

 それは王侯貴族のどの屋敷でも当たり前だ。


 パメラはここ5年、そんな使用人が少ない時間帯にしか屋敷に帰ることができていないが。

料理人って、何気に最強だと思います。ただ、コンソメスープを作るのに3日かかるそうですから、根気がなければできない職種です。

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