表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/19

【閑話】トットハム卿の独り言

 朝食、食っている時に気付いたんだけどよ。

 俺たちの中に婚約者持ちがいるんじゃねーかって。

 一人が言っただろ。『歳の離れた幼馴染』って。

 これ、宰相補佐で辞める奴によくいるんだわ。婚約者が成人するまで頑張る(他の女避け)って奴。

 婚活もできねーし、夜会で会っても訳あり扱いで眼中にない扱いされねーから、忘れていたけど、宰相補佐は女避けめっちゃ出来るんだよ。

 女避けするから、結婚できねーんだけど、それを逆手にとっているんだよな。

 それ以外にも、好きな女と結婚したくて爵位を手っ取り早く取りたいから、宰相補佐になる奴。一年ばかり席を温めて元の部署に戻れば、同期より先に子爵になった超エリート。

 けどよ、宰相補佐からの出戻りは扱い難いって、窓際コースなんだよな。

 宰相補佐になって五年も働けば、宰相交代に遭遇するわけで、その翌年くらいがベストの辞め時だ。

 宰相交代を経験した宰相補佐は即戦力になるので、領地経営に失敗した家から大人気で婿入り先に困らない。

 と、呑気にしていたら、バードマンが無茶振りしてきやがった。

 嫌だよ! モテモテ王子の傍で非モテを実感するのは!

 宰相補佐室の期待の新人リッチーに矛先が向くも、既婚者だと?!

 いくら、家に帰れなくて、会えないからって、裏切り者め!


 裏切り者と言ったら、リッチーはこう言い返してきた。


「カーディナル卿だって、結婚しているじゃないですか」

「カーディナルは良いんだよ。あいつの結婚は、訳あり令嬢を押し付けられた最初から破綻した結婚だからな」

「へ? 最初から破綻した?」


 男遊びが激しくて、高位貴族じゃ結婚相手が見つからなくて、家にとってかなり有利な条件でカーディナルに押し付けられた筈。奴にとっては、まったく、メリットのない結婚なんだよな。

 まったく、羨ましくない。


「トットハム卿、妻を悪く言うのは止めてもらえますか?」

「だって、本当のことじゃないか」

「そうでもないのですよ。各部署との連携がスムーズになったら、職を辞して、妻とゆっくり暮らす予定です」

「あの揚羽蝶が平穏な生活なんてすると思ってんのかよ?!」

「妻を侮辱するのは止めてくださいと、言いましたよね? トットハム卿」

「けどなー――」


 可哀そうだと思っているから、慰めてやってんのに、なんで、カーディナルは怒っているんだろう。

 バードマンまで口を出してきた。


「トットハム卿、黙れ」

「バードマンまでカーディナルの肩を持つのかよ」

「今のはお前が悪い」

「宰相になれたからって、調子、乗ってんじゃないぞ。俺のほうが先に結婚してやるからな、バードマン」

「はいはい」


 相手にしないつもりかよ! ムカつくーー!!

慰めるって何だろう、とクエスチョンマークが飛ぶトットハム卿視点でした。

親しくない相手には丁寧な言葉遣いで本心を語りませんが、かなり砕けた性格です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ