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パメラ・ゴードンスミスの場合15

「何故ですか? ゴードンスミス嬢」

「セダム卿。また、試されているのでしょうか?」

「試すも何も、あなたはレオン殿下の婚約者ではありませんか。レオン殿下に近付く者の取捨選択はあなたの仕事でしょう?」

「私は第二王子の婚約者ですから、遊び呆ける第二王子の仕事で時間がありません。傍に置く者の取捨選択は側近候補の仕事です」

「しかし、婚約者に近付く他の女性は牽制するのは、令嬢の仕事でしょう?」

「申し訳ありませんが、悋気を起こすように見える所業は淑女のすることではありません。それに、第二王子の仕事をしなければいけないので、そのようなことをしている時間はありません。遊び惚ける主君を諫めもしない側近候補は、代わりに仕事をしてくれてもいいのでは?」


 パメラは時間がないことをもう一度、強調した。王族以外は見てはいけないとはいえ、側近候補は補佐扱いで仕事に携わるものだ。頭脳担当の側近候補が手伝ってくれたのなら、夕食までに仕事が終わっただろうが、第二王子の側近候補は未成年の王族に渡される見習いの仕事すら放棄して、一緒に遊び惚けている。

 言ってしまえば、練習問題で習得しなければいけない計算をサボって、いきなり習得もしていない計算をする羽目になるようなものだ。

 頭がいい割には、非常に頭の悪い選択だ。

 第二王子の放蕩を許して、付き添うしか能がないだけある。

 そんな婚約者の側近候補たちにパメラは腹を立てていた。

 自分と同じように第二王子の仕事の肩代わりをしていたのなら、悪感情はないが、パメラには彼らのような補佐もなく、一人で仕事をしなければいけない。

 よく考えたら、補佐が二名以上いる第二王子の仕事を、補佐のいない自分の仕事と共に引き受けているのだ。婚約者一人分だと思っていた仕事は、三人分だった。

 パメラが苛立ちを感じるのも当たり前である。


「それはそうですね。バドワーズの倅に続いて、レオン殿下の側近候補たちもですか」

「バドワーズ様もですか?」


 王太子の学友で側近候補だった家名が出てきて、パメラは訊き返した。確かに彼ならエロール卿より迂闊で、口を滑らせそうだとは思っていた。


「機密事項です。今のは聞かなかったことにしてください」

「・・・?」


 王太子の側近候補だった護衛騎士の進退には何か事情があったようだ。


「その代わり、レオン殿下のことは今まで通り、仕事の肩代わりだけはしてください」

「側近候補以外は近付けるな、という話はどうなるのでしょう?」

「それは他の者に任せます。――さあ、朝食に行きましょう。仕事は待ってくれませんよ」


 セダム卿は話を切り上げて、盛り上がっている同僚たちを振り返って言う。


「「「・・・っ!」」」


 ついさっきまで元気だった宰相補佐たちは、声にならない悲鳴を上げた。

セダム卿は他の宰相補佐たちや屋敷に帰れない宰相が悪感情を抱く高位貴族の出です。

そのせいか、パメラにも傲慢な性格が見え隠れしています。

それでも、社畜の一人として頑張っていることは、誰もが認めています。ついでに、高位貴族は彼が担当して業務をスムーズにしています。

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