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パメラ・ゴードンスミスの場合14

「セダム卿。大事だと言いながら、どうして、貶めたりするのですか? 私にはあなたの意図がわかりません」

「こうして話す時間が今までなかったように、こうして深く話す機会はこれからもないからです。わかりますよね」


 セダム卿の言うように、パメラはこれまでは仕事に追われて、必要事項を伝える以外の会話を暇などなかった。


「時間はこれからいくらでもあります。私も朝食を食べなければいけませんし、いつでも機会はあります」

「時間を作ると、何故か、仕事が増えるものなのですよ。それを別にしても、いつ、何時、何が起こるかわからない状況なのです。あなたが味方に成り得るか、それとも、味方として数えられない存在なのか、知る必要があったのです」

「味方?」

「ええ。周辺国の状況が落ち着いてきた今、この国はあまりにも危うい状況なのです。隣国を止める為に、その向こうの隣国に働きかけなければいけません。隣国がそれを許すはずはありませんし、外交関係者も、国境の警備を預かっている領主も神経を尖らせているのです」

「?! そのような報告、聞いていませんわ?!」

「今、話しました。王太子殿下の婚約者の国はいいとして、それ以外の国は要注意なのです。既に賊を装って、何度も小競り合いが起きています」

「・・・!」


 事態はパメラが思っているよりも、逼迫しているようだ。パメラのところに報告が上がってきていないのは、婚約者である第二王子に任せられないレベルの問題だからだ。

 王太子は数年前からその状況を知らされており、酒飲み外交に精を出している。


「幸い、この国の高位貴族は誇り高い上に、宰相経験のある伯爵が何人もいます。すぐに戦争にはなる状況にはならないでしょう。しかし、だからと言って油断はしていられません」

「私にできることはありますか?」

「レオン殿下の周囲に、側近候補以外が近付けないようにしてください」


 思ってもいなかった緊迫した状況に、自分のできることは引き受けようと意気込んだパメラだったが、セダム卿の要請を聞いて間髪入れずに答えた。


「無理です」

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