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俺の朝食が世界を救うとか聞いてないから

作者: 八巻孝之

朝。

目覚まし時計が鳴った。

俺は静かにそれを殴り壊した。今日も順調だ。


「兄貴! 大変だよ!! 世界が滅びそう!!」

妹が部屋に飛び込んできた。寝ぐせ爆発である。

「朝からファンタジーぶち込んでくるのやめろ」

「違うの! 本当に! ニュース見て!」


テレビには、こう出ていた。


【今朝未明、世界の運命を握る『至高の朝食』が存在することが判明しました】

【作れるのはただ一人、日本の高校生・田中悠(17)】


……俺じゃねーか。


「兄貴、なんで朝食作れるの!?」

「知らん! 俺、昨日までスクランブルエッグすら失敗してたぞ!?」


だが既に、家の前には国連軍、魔王軍、異世界から来たっぽいエルフ軍団まで押し寄せていた。

「悠様、おにぎり一つください! 世界平和のために!」

「悠殿、ベーコンエッグを! この国の未来がかかっておる!」

「悠、トーストにバター塗って!! 命かかってんの!!」


なぜ俺の朝食がそんな重要ポジションに!?


妹が冷静に言った。

「たぶん……兄貴の料理、味はまずいけど“世界を癒す波動”が出てるんだよ」

「嫌すぎる才能!」


しょうがない。冷蔵庫を開けた。

中には……謎の光る卵と、金色のベーコン、異世界産の牛乳。


「おい誰だよ、俺ん家の冷蔵庫にRPGアイテム詰め込んだやつ!」


仕方なく、俺はフライパンを握った。

ジャッ……ジュー……。

目玉焼きが、虹色に輝き始めた。


「おおお……!」

集まった軍隊が一斉にひれ伏す。


――こうして、俺の朝食は世界七ヶ国と三大魔王と、銀河連邦評議会の胃袋を救い、ついでに隣町のスーパーから卵と牛乳が一瞬で消えた。


だが俺はまだ知らない。

明日、世界は「昼ごはん問題」で再び崩壊の危機を迎えることを……。

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