チーム結成、そして最初の真剣勝負
日々が過ぎ、週が巡るにつれ、ハイドロクラッシュオンラインでの私の上昇は続いていた。しかしそれは慌ただしい駆け足ではなく、確かな足取りでの登攀のようだった。
"孫子Jr."の名はランクマッチで徐々に知れ渡りつつあった。とはいえ、まだ有名というほどではない。戦術の才が試合ごとに発揮されていく。
小さくとも効果的な戦術が敵を次々と驚かせた。チームメイトに静かに勝利をもたらす。もはや個人のスキルだけでなく、リーダーシップでも注目され始めていた。
特にアクアニンジャ、スパーキー、ブリッツといったプレイヤーとは定期的に組むようになった。私たちの間には静かな理解が生まれていた。彼らも私と同じく、ゲームを真剣に捉えていた。
私の出す簡潔な指示に従い、時には自ら小さくも創造的なアイデアを提案してくれる。彼らとプレイすることは楽しい日常となった。
ある晩、ランクマッチ終了後、アクアニンジャからメッセージが届く。「孫子Jr.、君は本当に特別だ」「他のプレイヤーのように走り回るだけでなく、全ての動きに意図がある」
「自分のチームを作る考えはないか?」この提案に驚くが、胸の奥で小さな興奮が芽生える。
自分のチーム――理論をより広い舞台で試す機会かもしれない。「考えたことがある」と返信する。「だが真のチームは単に上手いプレイヤーの集まりではない」
「互いを理解し信頼できる者同士でなければ」と続ける。アクアニンジャも同意してくれた。「その通りだ!スパーキーやブリッツとも話した」
「みんな君のリーダーシップでチームを組みたいと思っている」「『ウォーターウォリアーズ』なんてどう?」この名前に心が躍る。
ゲームのテーマにも合い、戦士の魂を感じさせる。「素晴らしい名前だ!」即座に返信する。「では決まりだ。チームを結成しよう!」
こうしてウォーターウォリアーズが静かに誕生した。私(孫子Jr.)、アクアニンジャ、スパーキー、ブリッツの4人が中核メンバー。あと1人が必要だった。
5人制チームとして最後の1人を急がず慎重に探した。特にサポート役に優れたプレイヤーを求め、数日間観察を続け、試合を重ねた。
ついに理想の人物を見つける――「ヒールボット」と名乗る、驚異的な回復とサポート能力の持ち主だ。ヒールボットもチーム参加に同意してくれた。
チーム編成が整い、ウォーターウォリアーズは本格的な練習を開始する。私は各練習を軍事演習のように指揮した。
マップの隅々まで分析し、敵チームの戦略を予測し、自チームの強み弱みを把握する。チームメイトに常に言い聞かせた。
「忘れるな、これは単なる水風船ゲームではない。戦略の戦いだ」と。
連携移動、陣取り、伏兵、撤退、奇襲――これらの戦術を繰り返し練習した。特にコミュニケーションを重視した。各メンバーがいつ、どこで、どう動くかを把握しておく必要があった。些細な連携ミスも致命傷になり得る。
練習の成果は徐々に現れ始めた。チームは1つの生物のように動き、メンバーは互いの意図を察し合えるようになった。もはや真のチームと言えた。
そしてウォーターウォリアーズは最初の公式戦に臨むことになった。対戦相手は「ハイドロヒーローズ」――経験豊かで実力あるチームと聞いていた。
試合開始時、顔に緊張が走るのを感じた。これは単なるクイックマッチではなく、チームの未来をかけた一歩だった。
第1ラウンド、ハイドロヒーローズの激しい攻勢に少し押され気味になる。最初のラウンドを落とした時、チームメイトの士気が下がり始めるのを感じた。
「落ち着け!」と声をかける。「まだ第1ラウンドだ。相手の戦術はわかった。次はこっちの番だ」
即座に新たな作戦を立てる。相手の速さに対抗するのではなく、罠を仕掛けることにした。第2ラウンド、チームに密かに撤退を指示する。
敵が追ってくるのを待つ。ハイドロヒーローズは私たちが後退するのを見て勝利に浮かれ、追撃してきた。しかしこれこそが私の仕掛けた罠だった。
敵チームを狭い通路におびき寄せると、事前に配置していたアクアニンジャとスパーキーが奇襲をかける。ブリッツとヒールボットの重要なサポートもあり、第2ラウンドを圧勝で終える。
第3ラウンドでも戦術は完璧に機能した。ハイドロヒーローズは変化する戦略に対応できず、ついにウォーターウォリアーズが初戦を勝利で飾った。
画面に表示された「勝利!」の文字は、今回は格別の意味を持っていた。単なる勝利ではなく、チームとしての誕生を告げる瞬間だった。
チームメイトの顔を見渡す。そこには勝利の笑みが浮かんでいた。その表情は、私の戦術とリーダーシップの価値を改めて実感させてくれた。
プロリーグへの道は水風船で敷き詰められていた。そして私はウォーターウォリアーズと共に、その道を確かな足取りで進む決意を固めていた。
この勝利はポイントだけでなく、大きな自信ももたらしてくれた。今や私たちは自分たちをより信じることができた。次の試合が待ち遠しかった。
皆の目に同じ野心が燃えているのが見えた。ウォーターウォリアーズはもはや名前だけでなく、心から1つのチームとなっていた。この感覚は言葉にできないほど素晴らしかった。
チームメイトは第二の家族のようだ。彼らと共に戦い、戦術を実行するのは最高の喜びだ。ハイドロクラッシュオンラインは私に全く新しい世界を開いてくれた。
本で学んだ知識がここで形になる。毎日新しいことを学び、ゲームのダイナミクスをより深く理解していく。
敵の動きを予測する能力は日々研ぎ澄まされていく。チームとしても練習ごとに成長している。
ゲーム内の統計を常に確認する。スコアは着実に上昇している。これが私の証明だ。
私の戦術は本当に機能する。頭の中の戦場が、今や仮想現実となった。そして私は、この現実の指揮官なのだ。
この冒険がどこへ導くのか、興味は尽きない。プロリーグか?それともさらに先へ?未来は水風船に満ちている。