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クサリヘビの家アガラス

 その昔、対等の関係だった騎士四家。長い年月の間に関係性は変わった。


 四家の話し合いにより城砦を治める家を決めるとしていたが、武力によるマクギリス家とハートリー家の奪い合いの勝者が所有するようになった。



 狼の家ルウェリンは他の三家と距離を置いている。


 マクギリス家との結びつきが強かったのはクサリヘビの家アガラス。

城砦攻めの時、アガラスには「マクギリスに加勢するなら相応の対応を取る」とハートリーから使者を送った。


 アガラスからマクギリスに援軍が送られた場合、足止めするのは副官ブレアの隊とウォードの役目になる予定だった。

が、そうはならなかった。静観する旨を伝えてきたのだ。



 両家の付き合いの深さを考えれば、裏切り行為にも等しい「静観」。

アガラスは兵力が乏しい。派兵により警備の手薄になった館を攻められては、ひとたまりもないと考えたのだろう。

「相応の対応」を恐れて派兵しなかったのだ。



 アガラスが動かないと知った父は、ウォードでもわかるほどに安堵していた。


 アガラス軍が来ていたら城砦奪取は困難を極めたはず。そして報復としてアガラス館を攻め落とすのは、ウィストン伯爵の許可がおりない。

はったりをきかせた父の作戦勝ちだった。








 静観も恩のうち。そして反ハートリー親マクギリス派を抑えるためには、アガラスとうまく付き合う必要がある。

それが父の考えだとウォードも理解していた。


 互いの家を行き来するほどの信頼はおいていなかったが、昨年ウィストン伯爵邸で父とアガラスの当主が顔を合わせる機会があり、一歩踏み込んだ付き合いをする段階に入ったと認識し、息子同士を引き合わせることにした。



 とウォードは聞いてきたが、アガラスの子息ローガンより先に顔を合わせたのは、金髪の令嬢。

金髪といえばシンシア・マクギリスを連想してしまう。


「初めてお目にかかります、ハートリー様。私はヴァイオレット・アルキミア。当主の姪にあたります」


 堂々と挨拶する令嬢の瞳は茶色。緑ときくシンシアではない。そもそも年齢が違い、ヴァイオレットと名乗った彼女は見たところウォードよりふたつ三つ歳下なだけだ。



 滅多にない夜会を開くのでぜひ。ウィストン伯を通して招待を受けては、断れない。

アガラス館で一週間滞在するつもりでお誘いを受け、ついたばかりで荷解きも済んでいないうちから、突撃してきたご令嬢をどうしたものか。


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