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フレイヤ・スケリット 3

 フレイヤから見たラング・ルウェリンは、三十近くなっても独身であるのが不思議なくらいの男性だった。

田舎にしてはいい男の部類で、娘たちが放っておかないだろうに。


 がっしりとした体格は好みの分かれるところだろうが、ぶよぶよしているより絶対にいい。

 顔立ちは体格に似合う無骨な感じで、優男を好む女性なら「ごめんなさい」かもしれない。

 あからさまに口角を下げないでくれるなら、フレイヤの好みの範囲ぎりぎりにおさまる。



 あちら様の好みには当てはまらなかったようだけど。

 旅先とは思えない華美な服で訪れた私を見た時の顔ときたら。

フレイヤは思い出し笑いをしかけて止めた。お行儀が悪すぎる。




 初対面では特に悪印象を持つことはなかったルウェリン様。このままなら「特記事項無し」で済むただの旅行になりそうだと思っていたのに――「少女」の登場。


 未見の少女ティナちゃんについては、雰囲気から察するしかない。

 窮屈な感じも束縛されている感じも受けない。


 おおらかで優しくちょっとした好奇心を持つ元気な女の子というイメージだ。

幼女を愛でたがる男性の下半身を疼かせるタイプとは、違うような気がする。



「ルウェリン様のあの体格で、少女とあれやこれや? それは犯罪よね、傷害事件だわ」


 思い浮かべるだけで違和感がすごい。「ないない」と首を横に振る。

 



 問わず語りの独り言に精を出すフレイヤの向こう、窓越しの廊下には数日ぶりに見かけるラング・ルウェリンの姿があった。


 客の私が望めば食事は共にしてくれると思うけれど、無理をしていただくのも恐縮する。

というわけで、到着した日の夕食以来同席していない。


 向こうも「結婚相手として売り込みに来たと思ったのは、早合点だったか」と思っているかもしれない。



 さて。フレイヤは腕組みをして考え込んだ。同じ時間帯で行動していては、いつになっても贈り物の交換をするばかりだ。

ここはお姉さんの私が動くべきでしょう。


 春にまであと二カ月。どうにかしてティナちゃんに会う必要があった。



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