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中庭のきれいなお姉さん

 ぴぃちゃんによると、はうるちゃんはとても力が強いらしい。

山猫にゃーごちゃんと違い、ぴぃちゃんがどちらかに触れている時などという制約がなくても姿を見られるのは、そのおかげなのだそう。


 別にそこまで見たいわけでもないので、はうるちゃんの能力はクリスティナにとってはいらない高さだ。


 なんて考えていると「おいおい、また俺のことか? さては惚れたな、ふっ」などと姿を現しそうなのが嫌。これそのまんまオヤジだけど。

頭からはうるちゃんを振り払う。



 かわいそうに、昨日散々なめにあったぴぃちゃんはこりたらしく、朝から姿を見せない。はうるちゃんが悪い。

 この家にいる間はあまり呼ばないでいてあげようと、クリスティナは決めた。







 


 部屋にいつ誰が来るかわからないので、なんとなく緊張して落ち着かない。

せめてこの後なにをするのか分かればいいのに。



 クリスティナのいる部屋は中庭に面した三階で、できることといったら窓から外を眺めることくらいだ。


 出されたものを食べて、中庭を眺めて、緊張して、中庭を眺めて、お昼寝して、中庭を眺めて、飽きて、また中庭を眺める。



 お茶の時間を過ぎた頃、それまでは同じような服を着た人しか通らなかった中庭に、いつの間にか明るい色の服を着た人が座っていた。


窓にかじりついて注目する。


 弓なりの眉の形がとてもきれいで、小鼻が小さく顎が細い。これまでクリスティナが見たなかでは、マクギリス伯の奥様に似た雰囲気。つまりは上品ということだ。


 奥様より若いお姉さん。手には本を持ち、時折ページをめくる手つきも優しい感じ。


 ちょっと呼んでみたい気がする。でもお邪魔をしてはいけないし。残念でならないけれど、今のところは我慢することにした。



 クリスティナの熱い視線に気づくことなく、寒いお外でお姉さんは読書を続け、日が傾いてから室内へと戻っていった。








 そんな日が数日続いた。お姉さんの座るベンチは日によって違う。

集中して読むのではなく、よく本から顔を上げて周囲に目を配っている。


 黄みの強い茶色の髪にドレスと合わせた細いリボンを編み込みにしていて、可愛い。

 クリスティナの髪もアルバさんのお家にいる間に肩より長くなったから、似たようなのができそう。やり方を教えてもらいたい。



 あのお姉さんは誰だろう。はうるちゃんに聞けば分かるのだろうか、気が進まないけれど。

クリスティナが悩んでいると、いきなり部屋の扉が開いた。


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