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クリスティナの決断・2

 その時は笑い話だった。

ジェシカ母さんにくっついてきて山賊の娘になったクリスティナと違い、自分から望んで山賊になったアンディは、今、その選択をとても後悔しているんじゃ。


 アンディはとても真面目だから、どうしてこうなったのかを繰り返し考えて、イガイガの栗を自分で自分にぶつけるみたいになってしまっているかも。そんなことをしたら傷だらけだ。



 いつもは少しお兄さんに思えるアンディが弱りきっている、クリスティナはとても気の毒だと思った。


 知らないなりにアンディの行動をさかのぼって考える。新しいお父さんを嫌って出てきたと聞いた。でもヒドイことをされたとは言っていなかった。

アンディのお母さんが結婚しようと思うくらいだから、良い人なんじゃないかな。


クリスティナの出した答えは「アンディは家出をしないでお家にいたほうがよかった」



 戻るならそこまで。帰るのは、お母さんのいるおうちだ。

アンディはまだ子供だし、道を踏み外したとしても外したところはすぐそこ、見えるくらい近いから、元の道に戻ればいい。きっと大丈夫。



 大丈夫じゃないのは私、ひとりになるのが怖い。それにお友達がいなくなるのは、とても悲しい。

ため息を飲み込んだところで、ぴぃちゃんの視線を感じた。


 こちらを見て「ひとりじゃないですよ」首を傾げている。うん、そうだった。ひとりと一羽だ。

 勇気がいるのは私。クリスティナは膝を抱えるついでに頭を抱えた。








 話しかけても応答のないアンディは気を失うように眠っているだけだ、と、ぴぃちゃんがいっている……たぶん。


 ここにいてもアンディは元気を失くしていくだけ。

敵に包囲されたお城にいたことのあるクリスティナは、一日二日で帰れないと知っている。この木のおうちの食べ物がなくなったら、別の木のおうちに移ることも考えている。



 でもアンディはどうだろう、気持ちがもたないかも。


 クリスティナの頭に浮かぶのは、マクギリスの奥様が長椅子でぐったりとしていたお姿だ。

メイジーお母さんと違い、もうお部屋を出る元気もなかった。もっと早くに「行こう」と誘ったら、まだ歩く元気があったかもしれない。



「ぴぃちゃん、お舟わかる?」


 ここから歩いていける小川に小さな舟が隠してあるはず。それに乗れば流れに任せて広い川に合流する手前まで行ける、と聞いた。道を歩かなくても離れた村まで行ける。


 その舟が誰にも見つかっていなければ……。

クリスティナは「見てきて」とぴぃちゃんに頼んだ。


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