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お嫁さんに私どうかな・3

ウォードの視線がクリスティナから外れ、また戻る。


「アンディはいいのか」


 なぜ急にアンディ? アンディのお話は全然していないのに。


「いいって?」

「アンディがアンディがと、いつも言うだろう」

「そんなに言ってないと思う。それに今はアンディはいいの。私とウォードのことだから」

「――俺と、クリスティナの」



 微妙なお顔で繰り返すのは止めて欲しい。いないからいいけれど、はうるちゃんがいたら腹を抱えて笑いそう。



 ウォードがアンディに会う機会は少なかったはず。

誤解したアンディにあらぬ疑惑をかけられて、悪印象を持ったことと思う。でも悪い子ではないとはっきり伝えておきたい。



「古いお友達なの。陰口はよくないからここだけの話にしてくれる? アンディはちょっと性格に難しいところがあって、私時々怒らせちゃう。仲良しだからって結婚しても、私達きっとうまくいかないと思うの」



 「そんなつもりはない」って言いたいけど、そんなつもりもどんなつもりも気分を悪くした人には関係がなく、ご機嫌を戻したいと思えばクリスティナが「ごめん」と言うしかない。


 アンディとは同じお家で暮らすよりご近所さんくらいがいいんじゃないかな。



突っ込みどころが満載だ、とウォードが呟く。


「『結婚してもうまくいかない』か。クリスティナ、いくつだ。中身は大人か?」



 ウォードが頬に手を伸ばすのは、ほっぺの皮をめくって中身を確かめようというのだろう。

クリスティナは身をよじって逃げた。


「だめ。だめってば。中身も外身も同じもうすぐ十一歳だって」



 珍しくウォードが声を立てて笑った。これは貴重だから耳に残したい。


 そしてクリスティナの口に入りそうになっていた横髪を、指で後ろに弾く。



「は。俺は何をしているんだろうな。相手は子供だから『大きくなったらな』で済ませればいいものを」



 え。そんなお約束をしてくれたら頑張って早く大きくなるよ私。

クリスティナの瞳が爛々と輝いたらしい。ウォードが一瞬怯んだような気がする。



「適当な軽口を叩いたら最後、俺の縁談相手をクリスティナが蹴散らす姿が思い浮かぶ」

「蹴散らすって。私そんなに足癖悪くない」



 文句を言ってから「蹴散らす」は例えかもしれないと気がつく。


「守護様方にも妨害されそうだ」



 どうして分かったの。クリスティナは目を見開いた。


 ウォードがお見合いをしたらにゃーごちゃんからぴぃちゃん、ぴぃちゃんから私に教えてもらえばいいと思いついたところ。



 ぴぃちゃんには無理でも、ダー君ならご令嬢の気持ちを少しだけ別の方向へ向けることもできそう。

次に会ったら聞いてみようと考えたことが、ちょっぴり後ろめたい。


 止めておいたほうが良さそうだ、うん。聖王様に叱られそう。



「ウォード。私、自力でなんとかするね」 


 ウォードからは「ふ」か「ん」が返る。返事というよりは音だ。

でもいい。否定されないなら、これは許可されたと受け止めて。決めた。



「ねえ、ウォード。好みのタイプを教えて。今のまんまの私か、ジェシカ母さんか、イヴリンさんか、フレイヤお姉さんのうちで」

「それは、どう見ても偏り過ぎじゃないか」



 ご意見は受け付けてないの。クリスティナは「うふん」と笑ってお返事にした。



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