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突撃ずるちゃんち・3

 クリスティナはレイが持っている物に注目した。ふわっとしたクリーム色の小さなクッションだ。縁に黄色の房飾りまでついている。針刺しにしては大きい。



「レイ、それなに?」

「これか?」


 ひょいと渡してくれる。やはり綺麗な布で作った小さなクッションだ。


「ぴぃ様の寝床にいいかと思って」

「ぴぃ様!?」


 クリスティナが素っ頓狂な声を上げたので、棚の上でぐてっとしていたぴぃちゃんも、なにごとかと首をもたげている。


「高貴な白い羽が映えそうだろう?」


 ぴぃちゃんがまだ嫌っていると思っての、ご機嫌取りかな。ぴぃちゃんは全然気にしていなくて、もしかしたら忘れているのに。



「俺にはねえのかよ」


 言うと思いました。なかなか「俺だけもらえない」なんて拗ねたようなことは口にできないものなのに、さすがはうるちゃん。堂々と文句を垂れる。



 レイが望まないと、はうるちゃんの姿は見られないらしい。部屋には人しかいないと思っているふしがある。


 油断禁物だよ、レイ。守護様には訪問時における当然のマナーもなければ、鍵も距離も関係ないのだよ。



「はうるちゃんのは?」

仕方がない。かわりに聞いてあげる。


「我が守護様は、孤高の狼だ。その崇高な御姿とつり合う品はそう簡単には見つからない」

「ここう、すうこう」

「俺、孤高の狼」


 レイの真顔から本気でそう思っていると分かる。

でも、でもね。本当はオヤジ狼だよ、はうるちゃん。今もにんまりしてるもの。



 クリスティナが手を出すと、レイがぴぃちゃんのクッションを渡してくれた。


「ぴぃちゃん、座ってみる?」


 みます、みます。と足踏みするので、棚に乗せてあげると、すぐさまクッションの上にちょこんと落ち着く。おお、可愛い。

 


「ぴぃ様は、そこに?」


驚いた顔をするレイに、ついでだから教える。


「さっき、はうるちゃんとぴぃちゃんと一緒にずるちゃんちの下見してきたの」

「――まて。『ちゃん』が多すぎて理解が追いつかない。下見とは?」

「俺は途中まで聞きました。聞いたところまで説明します」



 困惑したレイへの説明をウォードがかって出た。

決して「クリスティナから聞いては、より混乱するでしょうから」と思っているわけではないと信じたい。



 はうるちゃんがいるのも言ったほうがいい?

横目に見れば「まずはお手並み拝見」とでもいうように、澄ましている。


 はうるちゃんのことだ、話したければ割って入ってくるだろう。

クリスティナもウォードの話に耳を傾けることにした。



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