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情報屋はうるちゃん・2

はうるちゃんちに、アガラス家のご子息がいる?


「なんで?」

「そりゃ、父親が城砦行ってるからバランス取りに来たんだろ」


 当然の顔をするはうるちゃん。「おお」と納得したクリスティナと違いぴぃちゃんは疑いの眼を向けている。

はうるちゃんも気がついたらしい。


「言ってたのは聖王だぜ」

「ぴっ!」


 鳥が姿勢を正すかどうかは不明ながら、ぴぃちゃんがぐっと胸を張ったのは見て分かる。


「態度の差がひでえ」


 

 はうるちゃんの嘆きは放置するとして。

それで、どうしたらいいのだろう。まさか父親の留守中にご子息までお出かけしているとは思わなかった。

在宅を前提として立てた計画は、白紙撤回だ。



「難しくなったみたい……」

「なんだ? アガラスの息子に会いたいんなら、俺んちに来ればいい話だろ」



 またまた頭を抱えたクリスティナを「わけのわからん奴」扱いするオヤジ狼に、これまでの話の流れと今後の予定をざっと説明する。


 予想に反して、はうるちゃんは時折頷きながらしっかりと聞いてくれた。



「親の家に娘が行くんだ、堂々と入ったらいいだろが」


 真面目に聞いた? 真面目に聞いてそれなの?

はうるちゃんにはお話が通じない。


 ぴぃちゃんに救いを求めれば。あれ?

その頭のこくこくは「ぴぃも賛成!」っぽい。



「ほら、ぴぃも。クリスティナの頭は石か? 玄関を通らなくても屋敷なんぞ、どっからでも入れる」


 そこまで聞いて思い当たる。ダー君を代表として守護様方は、いつでもどこからでも好き勝手に侵入する。人の迷惑お構いなし。


 そしてそれを当然のことと考えているのが、今よく分かった。でも賛成していいのか。腕組みをして悩む。

狼がニンマリと笑った。



「な、ちょいとずる屋敷の下見に行かねえか」

「?」

「だから、俺達で下見しとけば後が楽だろ。まさか、いきなり行って屋敷中『お母さん、お母さんはどこですかあ』って叫んで歩くわけにゃいかねえだろ」



 なにその物真似っぽい言い方。そういうところが嫌いなの。クリスティナが睨んでもはうるちゃんは意に介さない。


「下見八割って言葉もある」

「少し違うような気がする」

「な、行こうぜ」


どうしよう、どうしようか。


「レイ達は?」

「さすがの俺でも、連れて行けるのはクリスティナの目くらいだな」

「目?」


目だけ? はうるちゃんは不思議なことを言った。



 


 クリスティナならできる、とはうるちゃんは簡単に請け負った。


 ぴぃちゃんの目で一緒に見るらしい。今よりずっと守護様達を身近に感じていた昔の人達は皆できた、というなら私にもできそう。



「行っちゃう?」

「おう、そう来なくちゃな」


話は決まった。



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