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守護獣達の集い・2

「――うちのクリスが、すみません」


 どうしてレイがウォードに申し訳なさそうにするのか、クリスティナには不思議。なのにウォードは違和感なく受け止める。


「いえ。クリスティナ嬢のすることなので」


 そのうえ、今までになかった呼び方をするから、びっくりしちゃう。


「嬢っ!?」

「うほっ。クリスティナ『嬢』だってよ。嬢!」


はうるちゃん、それは笑いすぎじゃない?


「私が嬢でなにか文句でも?」

「文句はねえよ、笑えるだけだ。うひゃ」



 何が嫌って、レイとウォードが私とはうるちゃんをセットのように見ていること。別にして欲しい。



「クリスティナ嬢はルウェリン家が後見している、との認識でよろしいでしょうか」


 ウォードのあらたまった口調に、レイが気さくに首を横に振る。


「『私』ではなく『俺』の使用を許されたい。ご存知かどうか、俺はルウェリンを飛び出して久しい。絶縁している訳じゃないのでやり取りはありますが。家とは関係なく、クリスの養親と親しいことから現在保護者がわりのようになっています」


一度言葉を切って朗らかに笑い、続ける。


「ですので、クリスに『嬢』はいりません。普段通りに接してやってください。クリスティナ嬢と呼んでいただき、本人と拙家の守護様は喜んでいるようですが」

「承知しました。では、これから話す内容も私的なやり取りとして」

「心得ました。で、私的となればウォード様とお呼びしても?」

「言うまでもなく。敬称も不要です」

「どうぞ、俺のこともレイと」


 ウォードの微笑は「さすがに目上の方にそれは」というところか。



 無意味にも思えるふたりのやり取りが、どういうわけかカッコいい。


 胸の前で指を組むクリスティナを、ダー君が興味津々に眺めている。これは後でなにかされそうだ、と気を引き締めることを忘れないでおく。



「前置きが長くなりましたが」

ウォードが切り出した。


 え、これ前置きだったの!?

ものすごく長かった。クリスティナがぴぃちゃんに同意を求めると、肩の上でちょいっと跳ねたのは「ぴぃも長いと思いました」だ。



「昨日、クリスティナの希望を受け主郭に同伴した際に、図らずもアガラス家の当主とマイルス・マクギリス氏の会話を耳にすることとなりました」


ウォードの落ち着いた話しぶりに、守護様方も耳を傾けている。



 そういえば、レイがにゃーごちゃんと会うのは初めてなんじゃないかな。


「はい!」

発言したい、とクリスティナは元気よく手を上げた。


「レイ、ハートリーさんちのにゃーごちゃんを紹介するね。このなかでダー君のお世話が一番上手な美猫様がにゃーごちゃんよ」

「ああ。たしかに前回より一匹……ではなく、おひと方増えているな」

「アガラス様もいらしているから、ずるちゃんもどこかにいるかもだけど。そうすると勢揃いだね」



「このうえ、クサリヘビまでもか」

呟いたウォードがあらぬ方向を眺めている。別の言い方をするなら「遠い目」だ。



「クサリヘビ!! ダーが見つけて連れて来るよ」


 連れて来なくていい、と誰もが思っただろうに、止める間もなくダー君の姿が消えた。


「ずるも気の毒にな」


 同情的なはうるちゃんに、一同無言で頷く。

逃げ切れるかな、ずるちゃん。ものすごく難易度が高いと思うけど、無事を祈るね。



「で、」

ウォードがクリスティナに視線を向ける。

「続けていいか」



そうでした。お話は途中なのでした。


「どうぞ」



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