守護獣達の集い・1
どうやって呼ぶのかクリスティナには不明だけれど、お姉さんの危機もはうるちゃんがレイを呼び寄せることで解決した。
でもダー君はどうだろう。困った子であっても危ない子って訳じゃない。レイが来て助かることだろうか。
「はあい、クリスだよ」
だからクリスじゃなくてダーでしょ。
ひとの代わりに勝手にお返事をするなんてとクリスティナが呆れても、自分の可愛さに自信のあるダー君はお構いなし。
にゃーごちゃんの背中から飛び立ち、空中でくるりんとする。重さを感じさせない見事な宙返りをウォードも食い入るように見ている。
ダー君のお返事に騙されたレイは部屋に入るやいなや宙に浮くダー君に反応し、身を低くし避け、腰の剣に手をかける。
「失礼しています。ウォード・ハートリーです」
すかさずウォードが名乗った。そうするものかとクリスティナも真似る。
「浮いてるダー君の他にクリスティナとぴぃちゃんとにゃーごちゃんとはうるちゃんもいます」
「俺が最後かよ」
愚痴る声が隣から。そういうの、気にするほうなの? はうるちゃん。
「締めは、はうるちゃんかなって」
「お、そういうことか」
はうるちゃん、口笛でも吹きそう。
態度が単純だとは思わない、真っ直ぐに受け取るのははうるちゃんが強者だからだ。
「またか……」
「気持ちは分かるけど、心の声が出ちゃってるよ、レイ」
その「また」は「守護様勢揃い」のこと。気を遣うのは疲れると言いたいのは分かるけれど、面に出してはダー君のいたずら心が燃えそうです。
クリスティナの言葉に、レイは剣から手を離し姿勢を正すついでに表情を引き締める。
それを眺めるうちに、クリスティナは良いことを思いついた。
「ウォード、考えはまとまった?」
ウォードとレイが揃って「なんのことだ」という顔をする。
「ほら、偶然聞いたお話のこと。考える時間が欲しいって言ったでしょ? 整理ついたかなと思って」
盗み聞きしようとして聞いたわけではないので「偶然」を強調したところは、自分でも賢いと思う。
なのに、ウォードに信じられないものを見るかのような目つきをされるのは心外だ。
「昨日の今日だが?」
「ひょっとしてまだ整理がついてないの? 一日もあったのに」
信じられないのは私のほう。クリスティナはウォードの倍くらい目を見開いた。
「口を挟んですまない。それは『何のことだ』と説明を求めても差し支えのない話だろうか」
「レイ、ごめんね。私とウォードが聞いたお話だから、私ひとりでは決められない」
クリスティナがレイに伝えると、ウォードが眉をひそめる。
「そこまで言っておいて、否と言えると思うか」
じゃあ話せばいいだけだよね。




