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クリスティナの獣園・1

お着替えを先にして。ぴぃちゃんを呼ぶことにした。


 本当の鳥さんじゃないから毛がつく心配がない。それに私より長生きなのが嬉しい。


「ぴぃちゃん、あそぼ」

「こんにちは、ぴぃだよ」


 クリスティナが言い終わる前に「ぴぃだよ」と声がする。


「ダー君」


 ぴぃじゃないじゃん、ダーじゃん。と言わせない可愛らしさは今日も最高値を更新中。

ぴぃちゃんのいない今なら。


「ダー君、ダー君。ちょっとだけ抱っこさせて」


 空中に浮かぶダー君に両手を広げて「来て」とする。うふっと笑う唇はつやつやぷるん。



「うふふ。ダーはかわいいよ」


 自分で言うところがアレだけど、可愛いのは間違いない。間近に見ると余計にそう思うけれど……あれ? 翼がなんか、ぺとっとしてる。


 予想外の手触りに、ぴぃちゃんのほうがいいなと思ってしまった。



「クワッカー」


 注意を引くときの鳴き方をして、ぴぃちゃんが現れた。

 鳴き方はそうでも、声ちっちゃ。ほぼ聞き落としそうな小ささだ。 

分かるよ、苦手なダー君相手に大声で威嚇なんてできっこない。最高に頑張ってその声だよね。



 クリスティナがぴぃちゃんに申し訳ない気持ちで謝る前に、抱っこしていた腕からダー君の姿が消えた。


「?」

「わあっ、ヤマネコだっ! ひさしぶりだね、覚えてる? ダーだよ」



 クリスティナが気がつくより先にダー君がにゃーごちゃんを見つけていた。

瞬きの早さで移動すると、にゃーごちゃんの背中に飛び乗ってしっぽを掴み首に巻きつける。



「うふふふふ。あったかい毛皮の襟巻き、ダーのだよ」

「毛皮って……」



 ぴぃちゃんはクリスティナの肩に乗り両翼で自分の頭を隠すようにしている。にゃーごちゃんを助けたい気持ちはあっても「ごめんなさい、ぴーには無理です。すみません」を全身で表すとこうなるのだろう。


 にゃーごちゃんの気持ちは読み取れないけれど、ダー君の気が済むまで好きにさせるという諦めに似た決意が漂う。


おお、なんて潔い。



「はうるちゃんとは違って、お人ができてる」


 にゃーごちゃんを褒めてから、はっとしても遅い。そのお名前を口にしたが最後。


「おいおい、みんなして集まるなら俺も呼べって」

「……今の今だよ、はうるちゃん」



 それに呼ばなくても来るよね、いつも。今日みたいに。


 ルウェリン家の狼はうるちゃんは、窓近くダー君と絶妙な距離を取ってクリスティナに文句を言った。



「今日の犠牲は山猫か。尊い犠牲に感謝する」

「なに、かっこつけてるの。はうるちゃん」


 逃げ腰なの、私分かってるよ。

横目で見るクリスティナに、はうるちゃんも横目でにんまりとした。



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