ウォード13歳 幼女と出会いました
名前・髪色などなどは、この後も会話などでいれていきますので、覚えていただかなくても大丈夫です。
どうぞ気楽にお読みください。
団長である父に同行したウォード・ハートリーにとって、マクギリスの城砦攻めは初陣だ。首尾よく運んで陥落させた城を特別な感慨を持って歩き回る。
二か月かけて攻め落とした城砦は三十年前にはハートリー家のものだった。ウォードが生まれるよりずいぶん前の話だ。
そのまた前はマクギリス家が居城としていた。数百年の間この地は取ったり取られたり、争いの種となっている。
しかし本日からハートリー家の城となった。
自分達のことを堂々とした押し込み強盗のようだとちらりと思って、頭から追いやる。
戦闘による興奮からか普段とは違う残忍な性格を覗かせる大人達を醜いと感じつつ、ウォードは血の匂いに顔をしかめた。
初陣であるし、ハートリーを名乗る男子は将来団長職につくと決まっているので、手柄を立てて出世する必要もない。
全面降伏を認めてから入城し、父より命を受けて中庭を見下ろす階に敵マクギリス側の者が残されていないかを確認してゆく。
ひと通り古参兵が見て回った後の再確認だから、気の楽なものだ。
それでも一応剣はすぐに抜けるよう柄に手をかけ、使用人部屋の連なる廊下へと向かう。
ここで戦闘のあった様子はない。この血の匂いは自分から立ち昇っているのだと、気付いた。
慣れたと思っていたのに、屋内では気になるものらしい。特に他人の家を泥靴で荒らす時には。
マクギリス伯とその子息は戦闘で絶命した。他の者と変わらぬ防具を身に着けていたので、それが伯爵だとわかるまで時間を要した。マクギリス側の複数の兵に検分させたので間違いはない。
先ほど、奥方は毒をあおって冷たくなった姿で発見された。残るは金髪と聞くまだ幼い娘だけ。
城内を手分けして見回っているのはその娘を見つけるためでもある。
どこかで声がする。ウォードは足を止め耳を澄ませた。あっちか。
廊下の突き当りの壁に石造りの階段がある。足音を殺して近づき階下に目をやれば、壁に等間隔にある窪みのひとつにすっぽりとおさまる子供がいた。
切れぎれに聞こえる子供らしい声は「ぴぃちゃん」がどうのと聞こえる。
ここからでは髪色まで見分けられないが、マクギリスの子女シンシアかもしれなかった。
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