秘密を告白、になるのかな・3
クリスティナはフレイヤとレイが見交わすのを眺めた。
これは質問係を決めようとしている、ピンときた。
子供にも目や耳はある。自分の役に立つことを、小さな子から聞き出そうとする大人はいるもの。
「お調子にのってペラペラ話すのは愚かな子のすることです」と母に繰り返し言われたものだ。
でもフレイヤお姉さんとレイのはそんなのじゃないし、ふたりが知らないことで私が答えられることは教えてあげたい。
それは「愚か」ではないと思う。だからクリスティナは静かに待った。
「ティナちゃん、傷つけようという気持ちは少しもないの。でも私と話していて嫌な気分になったら、お顔に出してね。すぐに止めるから」
ほら、お姉さんはこんなに優しい。
「大丈夫、昔のことだから。それより覚えてるかどうかが心配」
「昔のこと……」
レイがショックを受けたかのように呟く。
「ティナちゃんと私達では時の過ぎる感覚が違うのよ。子供の頃は半日がすごく長かったのに、私なんて今はお出かけの支度をするだけで終わってしまうもの」
それはさすがにウソでしょう。クリスティナの思いとは別に、レイは「確かに。ちょっと雑事をこなしたつもりが昼を過ぎるのはしょっちゅうだ」と納得した様子をみせる。
子供が大人になるまでより、大人がおばあちゃんになるまでが早いみたい。
「マイルスさんについてなのだけれど、そのええと、ティナちゃんのいたお家に遊びにいらしたりはしなかったのね」
「城砦にお越しになったって、私は聞いたことない」
気を遣ってくれて嬉しい。でもあそこは「お家」と呼ぶ感じじゃなくて、やっぱり「城砦」。拍子抜けしたお顔のお姉さん可愛い。同じことをレイも思っているはず。
「私の知らないうちにいらしていたかも。でもマクギリス伯爵家には『有事に備え本家一堂に会せず』という御家訓があるから、そうなるとご弟様は城砦に来られない」
お独り身のうちはご弟様も分家じゃなくて本家の一員だ。
レイが不信感を漂わせているのは、ルウェリン家の家訓とかけ離れているとか?
それとも「なんでそんなことを子供が知っているのか」と疑っているのかは、不明。
「あ、思ったより私がお利口でびっくりしてる」
ぴったりな理由を思いついたら、口に出してしまった。
「クリスが賢いのは知っている」
むすっとした言い方でも褒められたのは嬉しい。我慢しても、うふんとしちゃう。
「ごめんなさいね。お手紙で、ジェシカさんはティナちゃんの育てのお母さんって聞いたわ。ティナちゃんの実のご両親は……」




