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男の子というものは・2

 フレイヤは額に手を当てて、考えるそぶりをする。


「待ってね、私にはティナちゃんの考えが読めるのよ。むむむむむ……。季節のケーキ新作のセンスが信じられないほど悪かった。どう?」


 信じられないのはお姉さんの発言、そう言いたいのね。間違えたらしい、はい次。


「他の女の子の髪型に比べてティナちゃんの髪型が地味だった」


 同じがいいなんて可愛いことを言うので、ヘアバンドのような編み込みにリボンを入れたけれど、今どきの子はもっと手の込んだ髪型をしているとか。


クリスティナが大きく首を横に振る。


「この髪型は可愛いから好き」


あら、そう。



「ティナちゃんはお顔が丸くて可愛いから、ダウンスタイルが似合うのよね。私は頬のお肉がないでしょう? おろしていると光の加減で浮かない顔に見られるのよね。丸顔が羨ましいわ」

「そんなことない。街でいろんな人を見るけど、お姉さんが一番キレイ」



 真顔で力づけてくれるのが、可愛い。

窓のあたりから、もの言いたげな雰囲気が漂うけれど、存在感は可能な限り消していただきたい。本当なら別の部屋にいて欲しいくらいなのだから。



「待ってね、次こそ当てるわ」

「アンディがいたの」


 唐突にクリスティナが話し出した。永遠に当たらないと判断されたようで、少し悔しい……アンディって誰。


「そう、アンディがね」

さも知っているかのように言うフレイヤ。



「私はアンディだって分かったのに、アンディは分からなかったのかな。前は髪が短くて今は長いし。お山にいる私が王都にいるなんて思わないから」


 息継ぎなしの早口。ひとまずアンディが誰かはおいておいて、話を続けることにする。



「それはそうよね。隣家の方と劇場でお会いした時には、ご挨拶されても誰か分からなくて、途中で分からないまま話しているのがバレちゃって名乗られて初めて『ああ』となったことがあるわ、私」


「でもね、アンディ『はっ』ってしたの」

「ティナちゃんは、アンディが気がついたと思ったのね?」



 コクリとして目を伏せる。可哀想でなんとも可愛い。フレイヤの胸が痛み、誰だか知らないアンディに怒りが湧く。


「で、アンディはどうしたの?」

「妹を迎えに来ただけだから、そのまま『失礼する』って行っちゃった」


 クリスティナの睫毛が涙に濡れる。もう許さない。


「坊やのくせに」


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