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男の子というものは・1

 家にひとりは久しぶり。フレイヤはリンゴ酒を飲みながら居間で読書を楽しんでいた。


 ティナちゃんにはまだ早い大人の恋愛小説を、目の前で読むわけにはいかない。

 偶然の出会いから手を繋ぐまでにほとんどを費やすようなものから始めないと、一夜のロマンスからの情熱的な恋の話は、子供にとっては禁書。



 二度離婚した身として、実人生での恋愛は遠慮したいと思うので、この手の成分は創作物で摂取したいフレイヤ。


 まだ半日は大丈夫だわ。座り直したところで、通りで馬車の止まる音がした。



 二階の窓から下を覗くと、先に降りたレイがクリスティナの手を取って馬車から降ろすところだった。


 御者に支払いを済ませるレイの隣にいるクリスティナはうつむいている。

なんとなく元気がない感じがするのは、気のせいかしら。


 それにお城へ行ったにしては、あまりに帰りが早すぎる。読書はここまでらしい。フレイヤは読みかけのページに栞を挟んだ。








 レイの説明によれば、仕立て屋に寄る間、予定通りクリスティナはティールームに。


 そこへ迎えに行ったところ、なにかあったらしくクリスティナが落ち込んでいたので、お城へは行かず帰宅したという。


 約束があったわけではないので、変更は差し支えない。



 レイが目配せと共に菓子箱をテーブルへ置く。ティールームのものとは箱が違うから、帰る途中で買ったものだろう。気配りが素晴らしい、気分転換には飲食が手っ取り早いとよく分かっていらっしゃる。



「お外は寒かったでしょう、お茶を淹れるわね」



 レイが買ってきたのは、お砂糖とミルクを煮詰めて固めたもの。口のなかで柔らかくなりクリームのように溶ける。 


 甘さはクリスティナの心も溶かしたようで、うつむいていた顔が徐々に上がっていく。

 少し離れた窓辺に椅子を移して注意深く様子を見ていたレイがほっとしたのが、フレイヤに伝わった。



 最初はティールームで粗相でもしたかと思ったけれど、服は汚れていない。

では、誰かに意地悪でもされたか。


「ティナちゃん、元気がないみたい。なにかあった?」

「……ごめんなさい」


 小さな声で謝るのが、予定を変更したことについてなら。


「謝らなくていいのよ。お城は今日じゃなくていいのだし、レイさんは何かしら理由をつけて行くのを止めたいばっかりなんだもの」


 それはお姉さんのこと。と、クリスティナが言いたいのは目の動きで分かる。そこは言わせないと、フレイヤは言葉の先を笑みで封じた。





長い物語にお付き合いくださり、ありがとうございます。

クリスティナの日々を楽しんでいただければ幸いです。


リアクションを楽しみにも参考にもしております。引き続きよろしくお願いいたします。

ご感想・ブクマ・評価等々もお待ちしています。


次話でもお目にかかれますように☆


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