思いがけない再会・2
この艶々の毛並みは、にゃーごちゃん。ぴぃちゃんに悪いから我慢するけれど、思う存分なでなでしたくなる。
「にゃーごちゃん、いつぶり? また会えて嬉しい」
順に考えると一年半ぶりくらい。色々なことがあったから、もっと長く会っていないような気がする。
飛び戻ったぴぃちゃんが、にゃーごちゃんの背中に乗る。
嫌がらずに顔を向けたにゃーごちゃんとぴぃちゃんは、仲良くお話ししているようで、はうるちゃんといる時とは全く別の雰囲気がある。
仲良しで可愛い。クリスティナはうっとり気分だ。
「クリス……か?」
誰かがクリスティナを呼んだ。呼びながらも、語尾が疑う形。
声のした方向に目をやれば、ゆるやかな斜面を旅装の男性が急ぎ足で来るところだった。
「ウォード!!」
なぜ、ここにウォードが。驚きのあまり突っ立ったままで、ぼんやりとしてしまっていると、ジャリっと音がした。
怪訝な顔で足元に目を落とすウォードに、クリスティナは急いで叫んだ。
「来ちゃダメ! 寄らないでっ」
ウォードの瞳が翳り、にゃーごちゃんとぴぃちゃんから警戒する気配が伝わる。
美猫様と鳥さんの代わりに、私がちゃんと注意するので心配はいらない。声を張り上げる。
「踏んじゃうと使い物にならないんだって、大事な草!この辺に生えてるの」
言ってから「これ人に教えちゃいけない秘密だったらどうしよう」と思っても遅い。
バッチリ聞こえたらしいウォードは、瞬時に数歩下がった。
しばらく見つめ合って、先に声を出したのはウォードだった。
「それをなぜ、知っているんだ。それに桶まで持って、なにをしている?」
「ちょっと遠いから、お話しするのお仕事終わってからでもいい?」
ウォードの顔が険しくなる。それはそれで格好よくて、クリスティナ好みだ。
ルウェリン家の男子ほどの逞しさがなくても、強そうな感じがするのもいい。
「俺が行くのがダメなら、そっちが来ればいいだろう」
「あ」
おっしゃる通り。大人立ち入り禁止の場所からクリスティナが出ればいいだけのこと。
思いつかなかった自分が恥ずかしくて照れ笑いをしながら、いそいそとウォードの前に立った。
「九歳になったの」
「あいも変わらず年齢から入るのか」
力が抜けるな、と言いながら向けられた微笑は、クリスティナの大好きなもののひとつだった。




