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通りすがりの・4

 あんまり見ていると悪いから、クリスティナは先に雑貨屋へ戻ることにした。



 はうるちゃんがなんでいるのかと思ったら、はうるちゃんは有能な狼なので、ルウェリンさんちから離れたここでもまだ力を発揮できると自慢された。


子分について来れば楽勝、らしい。


「また会う?」

「おお、あいつがいりゃあ、俺の縄張りのうちだな」

「じゃ、お別れ言わなくていいね。またね、はうるちゃん」


 なるほど子分のいる場所は、はうるちゃんの縄張りになるらしい。で、自分でなにかするんじゃなくて子分にさせるんだ。そういうところも、オヤジっぽい。


 これでお別れならきちんとしたご挨拶を再びしなくちゃだけど、どうせまた会うならいらない。



「なんかあったら、ぴぃ寄越せよ」

「ありがとう、はうるちゃん。行こ、ぴぃちゃん」



 偉そうに言う狼に「ぴぃちゃんは、はうるちゃんの子分じゃありません」と言いたいのを我慢して、雑に手を振ると、クリスティナは雑貨屋へと戻った。










 強盗から助けると見せかけて実は「ぐる」という手もあるとフレイヤに教えたのは、旅の経験豊富だったひとりめの夫。


 お金は小分けにして持ち歩くだとか、旅行中はアクセサリー特にネックレスはすれ違いざまに引きちぎられるかもしれないからやめておけとか。

 話半分に聞いていたけれど、もっとちゃんと覚えておけばよかったと今になって思う。



 買い取り屋まで送ってくれた偉丈夫は、男達の仲間ではなく善意の人だと思う。

 そう言えば「容姿からひとを判断するのは、君の悪い癖だ」とひとりめの夫は笑うことだろう。清潔感のある感じの良い人が善人だとは限らないと頭では分かっていても、好印象を持ってしまうのだ。



 買い取り屋が初めてで、やり取りの仕方が分からないと話すと、「よければ」と交渉まで申し出てくれた。遠慮なくお願いし、隣から見学させてもらう。


 彼はレイ・マードックと名乗り、偽名を使うまでもないとフレイヤも本名を名乗った。

 三人組の前で連れのフリをした流れから、買取り屋でも同行者を装う。


 女だと相場を知らないと見て買い叩かれたに違いない。抜け目のなさそうな店主だった。



「この後は?」


 店を出て聞いてくれるのは、ものはついでと考えてのことか。

 ここまでご迷惑をおかけしたなら、もうひとつ増えても同じじゃない?


「既製品で歩きやすい靴を置いているお店を知りませんか」


 我ながら図々しいと思いつつ、フレイヤは尋ねた。


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