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魔法少女の瞳に映る未来  作者: 宿木ミル
第一章 舞台が幕を開ける時、魔法少女は新しい世界を見る
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第14話 作戦会議

「さて、食事もとれましたし、そろそろ本格的に作戦会議を始めるのもいいのではないでしょうか、未来さん?」


 追加でコーヒーを注文し、テーブルにそれぞれの分を置いたアイが提案する。

 どんな時でも優雅なのはなんというか彼女らしい。


「私は大丈夫だと思う。みんなは?」

「はいっ、レガちゃんはしっかり準備完了っ!」

「同じく問題なしですよ」

「ふふっ、頼もしいですね」


 レガとクミのふたりが頷いたのを確認して、情報共有を行う。

 ある程度わかりやすく伝えられるように資料も用意してある。


「まず、私たちは貰った魔力増幅装置を利用して調査してたの」

「その結果、『魔法使いの国』に関連する技術が使われていることを把握できました」

「『魔法使いの国』?」

「レガ、魔法使いと呼ばれる人々が暮らしている別世界のことをそう言うみたいです。少し前に、別の魔法少女から教えてもらったことがあります」

「え、なにそれ、ファンタジー!」

「……それ、私たちが言えたことです?」

「あはは、それ突っ込まれると厳しいかも。で、それが関わってるとどんなことになるの?」


 純粋な目を向けて、問いかけてくる。

 そんな彼女に対し、私たちが導いた結論を話す。


「悪意を持った魔法使いが、この装置を放出してる可能性がある」

「……そうなると、なかなかいやらしいですね」


 クミはその一言で厄介さに気が付いたらしく、考え込むような仕草を取っていた。

 一方でレガはきょとんとした表情になっている。


「え? えっ、なにがいやらしいの?」

「レガ、私たちは意図しないところで魔法による危険を発生させられたんです」

「発生されられた?」

「はい、それはつまり、裏で暗躍してる存在からマイナスイメージを押し付けられそうになっていた、ということです」

「……私たちが知らなくても、魔法機械を暴走させて、みんなを怪我させちゃってたら、しばらく活動できなくなってたかもってことだよね」

「そういうことです。そういう悪い存在に目をつけられてます」

「うぅ、公演を真面目にやってるのに意図しないところで文句言われるのは嫌だなぁ」


 ふたりが情報を整理整頓して、頷く。

 未然に防げたとはいえ、危険な事態が発生していたという事実を再確認しているようだ。


「だから、その存在をどうにかして捕まえたいの」

「仮に、ふたりが送られた装置を無視したとしても、次に別のターゲットが定められるというのはあり得ますからね。どうにかして対処したいのです」

「でも、どうやって?」

「それは……」


 少し考えて、それでも話すことを決意し、言葉にする。


「集まった理由にもなるんだけど……ふたりに、相談したいことがあるの」

「相談?」


 覚悟を決めて、告げる。

 状況によっては辛い決断を迫ることになるだろう。


「今回の公演、魔力増幅装置を送ってきた存在がなにか仕掛けてくる可能性が高いんだ」

「えっ、どういうこと?」

「少し前に、私たちは魔力を辿って、この装置を作った人を捕まえられないか調査してたの。でも、そこで得られた情報は直近の魔法少女のイベントで魔物を使って介入するつもりだっていう情報だったの」


 詳しく二人に話す。

 公演を行う場合、襲撃される可能性があること。そして、最近の出来事も相まって狙われていることが高いこと。

 それらを聞いた魔法少女の二人は悩んでいた。

 いきなり言われるとやはり酷だったのかもしれない。申し訳ない気持ちが強くなる。


「公演を辞めるべきだ、と私から断言するつもりはない。けど、ふたりには伝えるべきだと思ったんだ。もう、無関係じゃいられないから……」


 それ以上言葉をどう繋げるべきか悩み、詰まっていた時だった。


「ありがとう未来さん」

「え……?」

「心配してくれてるんだよね。危険な目に合わないように、一生懸命になって」

「先輩魔法少女の忠告、ありがたく思います。ですが、大丈夫です」

「レガちゃんも、クミちゃんも公演はするつもりだからっ!」


 そう言って笑顔を見える二人。

 そこには不安のようなマイナスの感情は存在していない。決意を固めた目をしていた。


「襲われる可能性があっても、成し遂げると?」

「ひとみ・アイゼンの舞台だった町、花吹雪町で行うイベントだからね! 絶対に成功させたいんだ!」


 そう言葉にする彼女に迷いはない。

 確実に成し遂げるという強い意志が存在している。


「なるほど……では、なお一層頑張らないといけないですね、未来さん?」

「そうだね。……負けられなくなった」


 花吹雪町に二人は笑顔を増やそうとしている。

 その活動を止める存在には負けるわけにはいかない。その意思が固まった気がする。


「ふたりとも、お願いがあるんだ」

「なんですか?」

「なになにー? 答えるよっ」

「私とアイを、今回の公演のアシスタントとして行動させてほしいんだ」

「わおっ!」

「魔物に対する対策、そして怪しい不審者への対応といったところ……でしょうか?」

「そんなところ。もし、黒幕が現れたなら……ここで捕まえたいから」


 舞台をめちゃくちゃにさせてはいけない。

 私も目立っていい。ただ、ふたりの舞台は完成させたい。

 魔法少女として、ひとりの観客として、そして共演者として、表舞台に立つべきだと思ったのだ。

 私の言葉に対して、レガは悩むことなく答えた。


「是非とも! よろしくね! 未来さん、アイさん!」


 そういって笑顔で握手を求めるレガ。

 その手を私は掴む。


「あんまり演技は得意じゃないかもしれないけど、パフォーマンスも頑張る」

「ふっふっふっ、レガちゃんのパフォーマンス力を教えて進ぜよう」

「調子に乗ってますが気にしないでくださいね」

「あーっ、ひどい! せっかく先輩風っぽいの吹かせたかったのに!」


 アイも流れで一緒に舞台協力を行うように言ってしまったが、彼女もまんざらではないようでレガと握手を交わしていた。


「わたしは裏方として色々調べたりする予定です。不審者の通報、不審な撮影を咎めるとかは任せてください」

「なかなか重要なポジションですね。ありがたいです」

「ふふっ、もちろん戦闘になったら皆さんのサポートに回りますのでよろしくお願いしますっ」


 これで話はまとまったか。

 舞台は行う。

 相手がどんな妨害を行ったとしても対抗する。

 リスクは承知で立ち向かう。

 これが私たちの戦い方になる。


「ある意味おとり作戦だよね! 緊張するなぁ!」

「相手の罠にあえて引っかかるという陽動作戦でもあります。なかなか戦術的です」

「どちらにしても、なかなか大胆な決断です。みなさん、覚悟はありますか?」

「うん、なるべくみんなを守れるように動くつもりだけど、なにかトラブルはあるかもしれない。それは考えた方がいいかも」


 もしものことがあるかもしれない。そのことについても念の為に確認をとる。

 それに対して、レガは問題ないと言った様子で答えてくれた。


「悪いやつをやっつける! トラブルなんてはねのけちゃうよ!」

「レガと同じです。人の楽しみを奪うような輩に負けるつもりはありません」

「そう! それに……」


 少し、悩んで彼女が言葉にする。


「他の魔法少女が危ない目に合うなんて、ほっとけないからさ。そんなの、笑顔が減っちゃうし辛いから。だから、力になりたい!」

「レガ……」


 アニメの主人公のような魔法少女らしい一言。

 今を生きる魔法少女の、純粋な気持ちを感じて、思わず胸がいっぱいになる。

 レガの言葉を聞いたクミは、小さくため息をついたあと、微笑し、答えた。


「はぁ、レガならそう言うと思いましたよ」

「クミちゃん!」

「ふふっ、レガ。私たちのペアで相手をかく乱させてしまいましょう。笑顔の為に戦うレガのこと、好きですし」

「クミちゃんならそういうと思った!」


 思わず抱き着き合うふたり。

 それを見たアイは微笑ましい様子で笑っていた。


「仲良しのふたりというのはいいですねぇ」

「うん、安心感がある」

「彼女たちには背中を任せられますか?」

「問題なくね。きっと、うまくやってくれる」


 連携を取るには友情が不可欠だ。

 ふたりの絆があれば、どんな厄介ごとにも対応できるはずだ。


「ところで、おとり作戦って勢いで言ったけど、具体的にはなにすればいいのかな」

「新しい魔力増幅装置のサンプルを貰ってほしいの」


 びっくりした表情になるレガ。

 それもそうだろう。危険物を受け取るのだから。


「相手からの連絡はしばらく保留にしてたから……多分、繋がれるけど……受け取っていいの?」

「それを利用して、相手を誘導するつもりだから、平気」

「えっ」

「日程を相手はもう知っているなら、相手の動きを把握できるように最新の魔力状況を確認する目的です」

「なるほど、相手の状態を理解する目論見ですね」

「はい、相手にとって有利な状況を減らす為の策です」


 笑顔でそう説明するアイ。

 肝が据わっている。


「今回の作戦ってこういうことだよね? 悪事を暴く為に、わざと相手を好きにさせる場面も多い……みたいな」

「そういうことです」

「なるほど、そうなると確かに危険も増しそうですね」

「だから、私がどんなことがあっても守るつもり」


 言葉だけならなんでも言える。

 だけれども、これは真実の言葉にしたい。


「街の人も、みんなも、大切だから。私にできることならなんでも言ってほしい」


 レガとクミを離れ離れにさせるつもりはない。

 街の人々に被害を出すつもりもない。

 私は、魔法少女だから。


「未来さん」


 頭にぽん、と手を添えるアイ。

 その動作は落ち着くように促しているようだった。


「……尽力するつもりだから」

「ひとりで抱え込まないでいいんですよ」

「どういうこと?」

「自分だけじゃなくて、わたしや、おふたりの眼も見つめてください」


 その言葉を受け止めて、みんなの顔を見つめる。

 覚悟を決めた表情。その目には優しさがあった。


「大丈夫ですよ! 未来さん! レガちゃんもやわじゃないからね! ぱぱぱぱーんって解決しちゃうよ!」

「ふふっ、覚悟を決めたレガは強いですし、私も本気になれます。ふふっ、任せてください」

「みんな、明るい『未来』を見つめています。未来さんも、抱え込まなくていいんです」

「……そっか」


 私たちは、問題解決の為に動いている。

 その心は同じだ。

 多くの人の笑顔と安全の為に戦う。そのために、協力しあえる。


「ありがとう。必ず、みんなで解決しよう」

「はい、任せてくださいな」

「悪党に目にもの見せちゃうよ!」

「レガに手を出した輩には、お仕置きが必要ですからね、ふふっ」

「あっ、そうだ! レガちゃん、作戦思い浮かんだ!」

「いいよ、教えてほしいな」

「それはね……」


 各々が決意を固めた作戦会議。

 その中で感じた、私はひとりではないという事実。

 それらが、新しい決意を促してくれる。

 ……必ず、問題を解決させよう。

 決意を新たに、私たちは団結した。

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