一章十七項 アルノ
再び一日目
ロネリアは、再び心臓の鼓動を取り戻した。
ヒゲの人が言うには、エーテルというモノへの抵抗力は、かなり個人差があるらしい。たぶんロネリアは、その点において恵まれていたんだろう。
手助け出来るのは、そこまでだった。彼女について、後のことは分からない。
今思い返せば、心臓を動かせただけでも奇跡としか言いようがない。彼女の今後の状況はわからないし、手放しで喜べないよな……。
しかし、僕も医療の心得があるわけじゃない。これ以上出しゃばるべきでも無いだろう。
助かる事を、今はただ願うばかりだ。
ロネリアも心配だが、しかし、あの場から消えたフクロウとタシギもなんとかなったのだろうか?
彼女たちについて知った情報をどう扱うかは、正直ちょっと悩みどころだな……。
彼女達に本当に人殺しの経験があるかどうかは、現時点では確証は得られない。
たぶん、それは事実ではあるのだろうとも思えるけど、虚勢ででまかせを言っただけかもしれない。僕も一杯一杯だったので、そこまで見極めるゆとりも無かった。
本来なら、厳正な審議や調査が必要だろう。
だが、それが望めるかだ。
そもそも本当にここが戦争で命の使い捨てが横行するような社会だとするならば、罪の裁定が正しく行われるのか?
そんな気は到底していないってのが、正直な所だ。
感情的な面で言えば、惨たらしい結末にはなって欲しくもない。
う〜む……。
しかし、同情してしまって黙っておくのも、だいぶ肩入れしすぎではある……。
無実のロネリアを巻き込んだのは紛れもない事実。
仮に今回は誤魔化すとしても、あれだけ大暴れしたのだから、問い詰められて結局バレるだろう。
やはり、とりあえず僕は適切に報告するべきだ。
もし次の犠牲者が出うるのなら、それを可能な限り未然に防ぎうる選択をせねばなるまい。
それに、これに懲りずにまだ僕にちょっかいを出してくるかもしれない。結局、中途半端は良くない。庇うよりも、然るべき人に任せてしまう方が良いよな。
僕の手が及ぶこと、この身体で出来ることなんて、ほとんどない。せいぜい三百キロのバーベルをあげるくらいのもんだ。
いや、今はもうそれも出来ないか……。
目の前にある、陶器の箱の中で、薪の小さな炎が揺らめいた。
今、僕は書斎のような個室に移されている。
薪の火だけが灯りと暖房を兼ねていて、部屋は途轍もなく薄暗い。
拘束は結構緩くなって、手枷は右腕だけになっていた。
いろいろ心配事もあるが、まあとりあえず一段落だ。今ぐらいは、ゆっくり休みたい。
というか、もう動きたくても動けない。
いざ落ち着いてみると、全身のひどい痛みで身動きが取れなくなってしまった。
「あら! アルノさん……顔がすごい腫れちゃってます」
エトルの声がする。
「うん……目もほとんど見えないや」
「ええ!? これ……大丈夫なんです?」
「まあ。しょうがない。なるようになるさ」
そうは言ってみたものの、かなり重傷っぽい。左目は顔の腫れとか関係なく視界がない。たぶんそっちは失明していて、辛うじて見えている右目もぼやけた景色がわずかに見える程度だ。
手足の感覚もあいまいで、ヘニャヘニャになってまともに感覚がない。
皮膚は火傷だらけ。呼吸するたびに、激痛が身体を駆け抜ける。時々、あの電撃がまだ体を駆け巡っているような痛みの幻覚があって、四肢の腱が引きつった。
こりゃあ、たまらんな。
「カリア様を呼んでこないと……!」
「エトルちゃん。ここで待ったほうがいい。この広い宮殿じゃ探すのは無理だ。それに、こんなことがあったんだぜ。変な所をうろついて、何をされるか分からないだろ?」
お、誰だ……?
今まで気づかなかったが、まだエトル以外にも人がいたらしい。五感がすべて鈍くなっているせいで、まともに人を認識することさえ難しい。
聞き覚えのあるような、ないような声だった。男性だが、若い。風格のあるヒゲの人では無さそうだ。
「まあ、とりあえず、食事でも出したら?」
「ええ? こんな状態なのにですか?」
「怪我人でも飯は食うだろ。腹を満たせば回復するかもしれないし」
「いやぁ……そうは思えないのですが」
「炊事場なら、使用人しか出入りしないし、人目があるぶん安全だ。折角準備してたんだ。そのために駆け回ってたんでしょ。イシエスをただ待つよりは良い」
「ええ。それは……そうなんですけど。アルノさん、なにかしてほしいことがあるなら我慢せず言ってください。とりあえず食事は摂れそうですか?」
「うん……。ありがとう。じゃあ、折角だしお願いするよ」
さすがに要らないとは言えないよな。正直、身体の痛みでそれどころじゃないけど。
僕の体はボロボロだ……。
あの身体が癒える不思議な水があれば良いのだが……。あれこれ注文をつけるのも悪いし、まあ仕方ない。ちょっと死にそうなぐらいなら我慢だな。
なんと言っても、エトルの折角の好意、そして僕だけのために作られる女子の手料理! 無駄にするには惜しいし、それに失礼だ。
エトルが出てゆくと、ガラガラと何かを引きずる音がした。目の前にブロンドの髪の男が来て、どうやら引っ張ってきた椅子に座ったようだ。
「ひどいザマだな……生き返って早々トラブルを呼び込んだもんとはね」
目の前の男は、鼻で笑った。
「呼んだんじゃ無くて、来たのさ。僕が僕じゃなくたって、この身体がある限りトラブルはあったはずだ」
「でも、生き残ったのは君の選択だろ。それはつまり、今後も君がまだトラブルの火種であり続けるということでもある」
「そうかもね。別に異議を立てるつもりはない。それが杞憂であることを、本当に願ってはいるけど。でも、それならそれで、また僕なりに生き残るだけだよ」
なんだか、強めに敵愾心を感じるな。
このボロボロな状態で、名前も顔も分からんヤツと言い合いさせられるなんて、嬉しくはないな……。
「殊勝なのは結構。だけど、巻き込まれる側はどうなる? ロネリアのように、エトルも巻き込むつもりか?」
「言っている意味がわからないな」
「君が黙っていても、その体には政治がつきまとう。それは理解したよな? 魔人はいわば悪の化身……そんな存在はここでは台風の目とならざるを得ない」
「それでどうしろと? それって、僕の責任じゃないよな……。それを分かってた上で、僕は蘇生されたんじゃないのか?」
「いや、そりゃ俺にとっちゃ君なんてどうでもいいんだがね。エトルだよ。困ったことに俺と一緒の間、エトルはずっと君の事を気にしていたんだよ。せっかくの気分も台無しだ。なぜ君に執着してるか分からんよ」
ああ……。だからここに居るのか。
妙なやつが紛れ込んだものだ。
「僕だって彼女にそこまで依存するつもりもないよ」
「違う。彼女のほうがむしろ頑固なんだ。どんなに気を遣ったところで、最終的に君が幸福を掴むことはない。生き物は生まれながらにして、その程度や格に見合った運命がある。家畜は家畜でしかないだろ。君を魔人の領土に帰すってのも出来かねるし、自由市民にするなんて選択肢はもっての外だ」
この男、僕が弱っているからって良い調子になってるな。暴力を行使したいわけではないが、この体が重傷でなければ、少なくともこの男をこの部屋から突き出すくらいのことはするな。
「とにかく、今の俺にはあの娘が必要でね。試しに今後は関わらないように、君からエトルに言ってくれないか?」
「なんで僕が……あなたが言えばいい」
「もう言ったに決まってんだろ。おっとりしてるくせに、強情な娘なんだ。この俺の言うことさえ聞かないなんて信じられんよ」
「……まず、あなたは一体何者なんだ?」
「答える義理はない。でも、ちょっとくらい予測してみろよ。このご時世、この時期に、他所に肉を分けられる家庭なんてどこにある? 丸二日なにも食えない家庭だってザラなんだぜ? あの娘、親戚がかき集めた資金までも、君のために使い果たすところだったんだ」
エトルが?
なるほど、その指摘は痛い。
というか、まあまあショックだな……。
それは間違いなく、僕の浅はかさだ。特にエトルは地元の人でも無いらしいから、都市部と地方の物価の差とかもあるだろう。
しかし、そう考えると確かに不思議だ。
彼女が善人だということは分かるとしても、そこまでしてもらう理由は分からない。
「認めるよ。それについては僕が馬鹿だった」
「まあ、いい。つまり結局、俺が提供したってこと。君の餌をね。それは気にする必要ないよ。エトルと仲良く出来るキッカケになった上に、良い見返りもあったし。それを鑑みれば、安いもんさ」
「良い見返り?」
「そりゃあ、決まってるだろウスノロ」
聞き返したことを、僕は一瞬で後悔した。
「女が出来ることなんてだいたい知れてんだろ。一肌脱いでもらったよ」
「ええ?!」
「趣味でね。戦時中だからこそ、この都市の地方出身の女もいろいろ事情を抱えてるんだ。エリートの俺には好都合さ。あんまり口外できんが、専用の屋敷も作ったくらいだ。ただ……まだまだ足りないから、あと三回ぐらいは呼ばないとな」
はあ?!
そんなこと! いいのか?
「アッ!」
思わず立ちあがってしまって、身体を電撃が駆け抜けた。
「……あなたは!」
「怒るなよ。エトルだってまんざらでもなかったしな。君にも、見せたかったぜ。彼女の白い肌。さすがはノーラの人の肌だね」
「もういい。聞きたくない」
わざわざそれを僕に言うか?
目の前の男への嫌悪は隠せそうになかった。といっても、腫れた顔でただ俯くことしかできない。
正直、みじめだ。
別に僕自身は何か期待してたとかじゃないと思うけど……。
ここでは、そういう開放的な価値観も当たり前なのかもな。というか、別に人として健全なんだろう。
でも正直、どこか落胆してしまう自分がいることは否めない。
名前も知れぬこの金髪の男は心底好きにはなれんな。
「おいおい、エトルにも名誉なことだぜ」
「……よかったな。それは」
「まあね。俺はなんといっても、名家リドア家の惣領、ネオン・クレバルク・リドア様だからね」
「知らんよ。そんな家」
「そうだろう。痴呆の魔人じゃな」
いちいち、癪に障るやつ……。
でもこういう男って、女性には紳士で好かれたりするのかもな。
「それにさ、君が生き返ったのは、俺がほうぼう回ってお偉いさんのご機嫌取りしまっくたからなんだけど? 感謝してくれよな」
「ありがとうございます」
「そうだよな。その言葉を待ってたんだぜ、デカブツ」
ネオンとかいうらしい金髪の男は、ボヤける視界の中でふんぞり返った。
「その辺にしておけ。彼の身になっても見ろ」
扉が開く音とともに、聞き覚えのある声が聞こえた。あのヒゲの人だろう。
「こいつの身なら、まず俺に感謝するべきだがね」
「私が幾らでも感謝する。だが、悪いが今日は勘弁してくれ。あんなことがあった後だ」
「おいおい。馴れ合いは困るよ、イシエス。これは戦争に関わる事なんだ。躾は必要だぜ。自分にどんな業があるか、この魔人にゃ分からせなきゃ」
「魔人だからといって、戦争に加担してたとは限らんだろう。それに、そもそも人格も違うんだ」
「おい、魔人。それで結局、君自身はどうなんだよ? 思い出したのか? クズでも故郷も身分も無いってことは無いんだ」
なぜいちいち僕に絡んで来るのやら。
正直、そんなことにさほど興味はないな。
取り立てて良い身分でなかったのは確かだろうが、別に新しい体になって、過去を引きずる理由もない。
「よく思い出せないし、どうでもいいな」
「おいおい。不貞腐れんなよ。己を証明するもんが無けりゃ、それは本当に畜生とおんなじだ」
「そう思いたければ、そう思ってくれていい。今日からの僕は、ただの僕だ」
「つまらん。口ばかりの薄っぺらいやつ」
「なるほど。それならお互い、人として重さが足りない者同士だ。これからどんどんトレーニングすればいいってことだね。身体も分厚くなれるし、いつでも教えてあげるよ。レドアさん」
「おい。ボケてて立場に相応しい口の聞き方が分からないか」
ネオンという男が椅子を蹴るように立ち上がった時、イシエスと呼ばれたヒゲの人がゆっくりと立ちはだかった。
「もういい。変に突っかかるような状況じゃないんだ。自重してくれ」
そう言われたネオンは、歩いて部屋を横断した。扉から出ていったようだ。
「悪いな。本来、あんな男では無いのだがな」
「ええ。もしかしたら、そうかなと思ってました」
「どういうことだ?」
「一つ聞きたいのですが、さっきの部屋に駆けつけてから、彼と話しました?」
「いいや。特に具体的なことはなにも話していないな」
「なるほど。どうやらあのネオン、耳が良いみたいですね」
僕が襲われたことを彼は知っていた。そして、また敵が来ることを示唆していたように思える。
エトルに執着していたことは、果たして本心なのか……。どうだろう。
自分が見下す存在に、好ましいと思う女性との情事をわざわざ話すだろうか?
まあ、話す奴もいるにはいるか。
しかし、逆に考える事は出来る。“エトルを守るべき”という意図のメッセージだったのかも知れない。
ネオンがエトルを乱暴に扱うという認識があれば、僕は道義だとか倫理的に彼女を守らざるを得ない。
この負傷だからフィジカルでは守る事は難しいが、すでに一度襲撃を退けたという事実は大きいだろう。
直接事情を言えない事情があったとすれば、ネオンが好感の持てないロクデナシの演技をしていたのだと腑に落ちる。
腑に落ちる……。いや、深読みしすぎだろうか。
ま、単純にアイツが嫌な奴だという事かも知れないし、正直どっちともつかんな。
「ここは私の部屋だが……少し居心地が悪いかもな。窓から広場が見えることだけは気に入ってもいるが、いかんせん隙間風がひどい」
「また移動するべきですか?」
「いや、今の所は我慢してほしい。中途半端に隠れれば、場合によっては危険だけを呼び込む事になりかねん。宮廷の魔術は考えようによっては悪意のために開発され、秘匿されがちだからな。魔術に対しては、耳目ほど万能な防御策はないとも言える。むしろ、監視されている方が安全だろう。それに貴公の立場的に、管理の問題になりかねない」
イシエスという男は、転がった椅子を立てて座った。
「座るか?」
「いや大丈夫。むしろ今は、行儀良く座れそうにありません」
「そのようだな。貴公の安全について、軽視してたことを謝りたい。まさか数時間で狙われるとは、いくらなんでも慌ただしすぎた。面目ない」
「いえ……。最善とは言い難いですが、なんとかなりました」
「そういえば、自己紹介すらまだだった。知っているかもしれないが、私はカリア・イシエス。いまいち冴えない研究者ではあるが、貴公を蘇生させたことに携わっている」
研究のことについて、深堀りする勇気はないな。
「どうも。暫定魔人のアルノです」
「記憶が? その名前は思い出せたのか?」
「いや、へルフェがつけてくれました。凄い適当なその場の勢いで」
「なるほど。でも、なかなかいい名前じゃないか」
それは否定できない。
ヘラクレスとかコナンとかでも良かったかも知れないが……。前の人生では、どれにしても畏れ多くて名乗れんな。
へルフェが名付けてくれた時は、何も思い出せない時だったからこそ、受け入れられたというのはある。
「しかし……ちょっと聞きたいんですが、あのネオンという男は何者ですか?」
「西方の貴族様さ。今はリドア領は戦場だ。元々は塩の採掘が出来る土地で、指折りの裕福な貴族だった。土地を失っても莫大な資産を背景に金融業や流通網の整備なんかを担っている。現状、屋敷二つぶん程度の領土を持つ人間でしかないが、国家に影響力を持つ。強い権力を持つ者ほど、彼に歯向かうことはできなくなる」
「なるほど。絵に描いたような金持ちの道楽息子ってわけですか」
「道楽息子なのは間違いない。様子はいつもより変だったが……。一人にして済まなかった。すぐ戻るつもりだったのだが、問題が続出してな」
一応、へルフェが逃走したことも報告しておくか。
「へルフェも逃げ出してしまいました」
「そうらしいな。別に帰れるなら構わんが、流民の移動制限や戦争の影響で、なかなか関所を越えられないはずだ。どうするつもりは分からんな」
「良かったんですか? さっきの場所の扉も施錠されていたけど、勝手に抜け出してましたよ」
「施錠? あそこの扉がか」
あれ?
このイシエスさんがあえて施錠していったものだと思ったが……。
フクロウ達は当然違うとすれば、ネオンぐらいしかいない。
「あのネオンがやったのでしょうか? 魔術で施錠されていたようですが」
「ネオンは魔術は一切使えないはずだ。というより、心当たりがある。恐らくではあるが、私の師匠ともいうべき人の悪戯だな……」
なんじゃそりゃ……!
具体的に用途があったわけでもなく、悪戯なのかよ。シンプル迷惑!
といっても、僕にとって障害にもならなかったので、さほど文句もないのだが。
「もう死んでしまったんだがな。日用品を誰にも言わないで勝手に魔導具に改造するのが趣味でな。一時期、家具を改造するのに凝ってたんだ。大方、魔術を使ってエーテルを体に纏っていると一方通行になる扉とか、そんなところか」
おお……?
そ、そうかも。師匠のことをよく把握してらっしゃる。
イシエスさんは、一瞬だけ憂いを湛えたような雰囲気で窓の外を見たように思えた。
死んでしまったと言っていたが、師匠のことを本当に慕っていたのかもな。もしかして、師匠を失ってそう時間が経っていないのかも知れない。
「悪戯好きのお師匠様に、ご冥福をお祈りします」
「ああ。ありがとう」
イシエスさんは少し沈黙したあと、言葉を続けた。
「会話には支障が無さそうだから、そろそろ本題にはいりたいと思う。いろいろと聞きたいことや、知るべきこともあるだろう。辛くなったら言ってくれ」
「こうしてれば身体は問題ありません」
「うむ。そういえば……まずこれだったな」
そう言って、イシエスさんはどうやら小瓶のようなものを僕の目の前に置いた。
「これは?」
「エーテルの濃縮液。今はこのぐらいしかないが、多少は怪我の手当てに役立つだろう」
「おお!」
今はこれが一番ありがたい。
「魔人は一時的に体組織とマナを結合して保護膜のように身体の機能を再現出来る。つまり、応急的に作れるかさぶたのようなものだ。負傷した患部に塗ればほぼ元通りになるものではあるが、恐らくは完全に治癒されてはいないので注意してくれ」
「注意って……なにをですか?」
「いや、私には効かないから何をと具体的には言えないが……。一見すると治ったように見えても、健や骨などの強度は戻らないかもしれない。制限はあるはずだ。万能では無いということだけ理解してもらえればいい」
「なるほど、わかりました」
つまり、マッチョでも節々の関節はボロボロみたいなことか……。
「まずは、先ほどの情報を聞かせてもらいたい」