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閑話

どうも、お久しぶりです。例のくコ:彡とC:。ミのゲームにどはまりしてて投稿してませんでした。私を許してください。m(_ _)mスマセン

「ピピピピッ。」

アラームの音がやけにうるさい。一応時間を確認してみるか。…スマートフォンのロック画面は五時三十三分と表示していた。

「はぁー。」

因みに大学は夏休み期間だ。だからといってひまなわけじゃないが、今日ぐらいは少しゆっくりしようと、予定を入れてなかった。あんなこともあった訳だし。しかし、習慣とは怖いもので、いつも通りの時間に起床してしまった。二度寝もできない。

「…起きるか。」

僕は潔く諦めた。


「よし、行くか。」

シャワーを浴び、軽食を取り、家を後にした。

「行ってきます。」

と、思い出したかのように僕が言うと、「ガタガタ」と障子が揺れる音がした。


 やはり、まだ辺りは薄暗い。ゆっくりと、バイクで目的地に向かっていたが、かなり空いている。一時間やそこらで着けるだろう。


 空港の駐車場の脇にバイクを停めた。時刻は七時を回っていた。僕は歩き出した。すぐに、悲惨な光景が目に入ってきた。やけに分厚い雲がかかっている。まだ明けていないかのようだ。そんな中、転がった瓦礫を懸命に運んでいる人々が見える。ん。あれは…、

「叶翔さん。」

呼ぶと、その大きな背中は見た目似合わず、ビクッと震えた。

「あ、ああ。赤城。」

あまり仲がいいわけではないのだが、一応知り合いなので声をかけた。

「はは、見ての通りだよ。」

北條叶翔さんは力なく笑って見せた。聞くところではこの空港にお勤めらしいので、さしずめ、半ば強制的にこんなことをやっている、という風だ。なんせ人手不足だろうし、仕方がないことではある。正直手伝いに来たわけではないんだが、

「お疲れ様です。僕も手伝わさせてもらって構わないですか。」

「いや、やめときなよ。赤城は忙しいんだろ。俺はこんなんでも、医学生の忙しさってのは人一倍わかってるからさ。」

「ああ、ありがとうございます。んでも、夏休みに入ったんで、いつもよりかはそうでもないです。」

「そうなのか。…だけど、お前も巻き込まれたって、…なぁ大変だったろ。そのうえ、他の人まで助けて。あぁ、親父が言ってたよ。赤城が運び込んだ患者さん、お前が応急処置してなかったら結構まずいことになってた、って。よかったな。親父からの評価、結構上がったじゃん。その点じゃ良かったのかもしれないな。」

危なかった。怪訝な表情をしてしまいそうで、僕はぐっ、とこらえた。今の発言には、悪意が隠れていたのかもしれない。しかし僕は、何も知らないように、

「そうですね、ありがとうございます。そう考えると、結構疲れてきました。やっぱ、帰りますね。」

と、適当にあいさつし、踵を返した。彼は特にしっかりと聞いている風でもなかったので、何の問題もなかった。そして足は、自然とあの、第二の爆心地へと向かっていた。


 叶翔さんら空港職員に隠れてこっそりと、岩場を歩いて行った。かなり片付けられていたので簡単に進むことができた。どうやら、晴れて来たらしい。次第に朝日が差し込むようになった。僕は、あの場所に到達した。ん?あそこに誰か——。

「はっ————。えっ?」

驚愕、それもつかの間、医者を志すものとしては信じてはならないような、信じたくないような光景が目に飛び込んできた。瞼を大げさにこすってみた。しかし、はっきりと僕の眼に映りこんできた。いた。居てはいけないあの人が。彼は雲の隙間からあふれた光の一筋に貫かれ、神々しく岩場の上に立っていた。


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高校の授業で、イエス=キリストについて学んだのを思い出した。正直興味はなかった。なので、今の今まで忘れていた。かの人?御方は再誕したという。つまり、生き返りだ。イースターなどが、今日まで行われているのは恐らく、その証明になるだろう。しかしその事実に対しての親近感というか、具体性というか、そんな当事者意識を私は感じられなかった。二つの意味で、遠い国の出来事だと感じたのである。ただ、今まさにその経験をしている。客観的に見て、生き返ることへの感慨は感じているようではなかった。考えたのは前述のことのみである。かの御方と、図らずしも同じ状況であったのだ。


「桐生、さん。」

ひどく青ざめた顔をしている。それよりも、あの子の姿が見当たらない。まさか…。

「なるほど…。」

私は思わず顔をしかめた。彼奴は早速裏切ってきた。速すぎる。あまりにも。くそ、何が天使だ。

「桐生さん…、で、すか。」

うわごとを言うように訊ねてくる。…恐らく復活はしたのだろう。彼は死人の顔を見たような蒼白な表情だ。まぁ、実際死人だがな。

「いや、ああー。そうだな。少し落ち着いて…。」

言い切る前に落ちてしまった。私は頭から倒れないように彼の肩を支えた。

「君も小さくはないからね。んっ、背負って歩けるかどうか。」

だが、彼をぞんざいに扱いたくないので、やはり背負うことにした。

ゴリッ。

「う゛が゛っ」

変な音がした。やってしまった。そんな年か、私は。いや、やはり無理があったのだ、かなり上背のある赤城君を運ぶことなど。しかし、下ろすのも大ダメージなので、微妙なこの姿勢のまま人気のない草場に歩き出し、空港をあとにした。


屈みこみ、ゆっくりと彼を下ろした。地面がかなり茂っているので、彼にも衝撃はないはずだ。

「うぐっ。」

衝撃といえばこちらだ。いくら何でも赤城君のような人一人を運ぶのはかなりこたえる。…筋トレを増やした方がいいな。

「やれやれ、下界は熱いね。」

私は背後に寒気を感じた。腰を押さえながらも私は振り向いた。

「ようやくお出ましか。」

いや、この事実をどうとらえればいい?私は逡巡していた。こいつは約束を果たしたのか、それともこれから私たちはこいつの言いなりにならなければならないのか。薄ら笑いを浮かべた奴の顔からは全く判別できなかった。

「何の用だ。」

私は結局かまをかけることにした。

「…やはり、私をいぶかしんでいるね。確かに、この子の復活が遅れたのはこちらの落ち度だ。申し訳ない。だが、いくら何でもそこまで不審がられるとなかなか話が進まない。困るんだが。」

「よく言うな、平気で約束を破るこの悪魔が。」

空気が、なお一層重くなる。いや、重いというより痛い。砂粒を帯びた風に煽られているようだ。————やってしまったようだな。

「…あんなものと一緒にするなよ。」

珍しく短く、奴は吐き捨てた。どうやら、『天使』に『悪魔』というのは禁句だったらしい。しかし、またすぐに雰囲気を持ち直し奴は言う。

「まあ、悪気がないんならいいよ。——あー、さっさと本題に移ろうか。」

と、きっぱりと言い再びあの薄ら笑いを浮かべ、

「今までのは準備段階に過ぎないからね。だが、これでようやく私の目的を話すことができるようだ。」

と、嬉々として述べた。


お疲れさまでした。次話は、次回の投稿をお待ちください。

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