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一度死んだ私が刃を振るう  作者: 神崎りさ
〜第一章〜
8/8

疑問

「悪魔について聞きたいこと?」


聞かれると思わなかったのか、影浦隊長が目を丸くした。


「大体のことは西山さん達から聞きいたんです。だけど、まだ疑問があって…」


「成程な…。あっ、ちょっと待ってろ」


すっと立ち上がり奥の部屋へと行ってしまった。


しばらくすると戻ってきて、影浦隊長の手には一冊のノートがあった。


「これ、役に立つかは分からないが俺が自分なりに悪魔についてまとめたノートだ。読んでみるといい」


受け取ったノートをバラパラとめくると少しページが日焼けしていた。

かなり前から保存しておいたのだろう。


「ありがとうございます」


「まぁ、聞きたいことはこれだけじゃないんだろう?」


「……」


影浦隊長には何もかもお見通しなのかな。

驚きつつも、疑問を口にした。


「……悪魔はなぜ人を殺すんでしょうか」


ずっと疑問だった。何の為に人を殺すのか。


「それは、俺も疑問に思って実際に悪魔に質問したことがある。ただ、意味はない。人を殺すことが快感で楽しんでいるんだ」


「そんな…」


自分の快感のために人を殺す……?

そんな話があっていいのか。


「…うちの隊の井本と西山は悪魔をずっと憎んでいる。あいつらは三年前に来たが、他の隊士から一目置かれる存在だ。なぜだか分かるか」


「はい。二人はきっと、ずっと努力したんだと思います。教え方も凄く丁寧で…」


でも、それと同時に悪魔を憎んでいることも凄く伝わった。


「そうだな。…井本は時期隊長候補。西山は時期副隊長候補だ。それは人よりも倍、悪魔を憎んでいる分長いこと稽古を続けたからだ。杉尾も悪魔に対して怒りや憎しみを持っているなら、強くなって刃を振るうといい」


時期隊長候補と副隊長候補…。

そんな凄い人達に教えてもらっていたのか。

だから二人とも動きに無駄がなく、一つ一つの動作が綺麗だったんだ。






「お話聞けて良かったです。ありがとうございました。失礼しました。」


お風呂に入ってから、ノートを読もう。


お風呂場は一ノ隊の隊舎のすぐ近くだった。

1度部屋に戻り、着替えを持ってお風呂場に向かった。



脱衣所で服を脱いでいると、女性達が話している声が聞こえた。


「ねぇねぇ。知ってる? 新しく一ノ隊に女が入ったんだってー」


私のことだ…。


「女!? うっそ」


「しかもね、私その人見たんだけどかなり美人だったのよ。でもその女ね、自分の美貌を使って影浦隊長達に媚び売ってるらしいわよ」


「嫌な女ー。一ノ隊なんて、星平副隊長含めイケメンばっかりじゃない。四ノ隊なんて女ばっかりだし最悪よー!」


その後も二人の話は続いていた。

そんな根も葉もない噂が広まっているなんて驚きだった。



…早く出て、部屋に戻ろう。




「はぁー。疲れた」


部屋に戻ってから、布団に寝っ転がった。

二人の女性隊士の話は風呂場に入ってからもずっと続いていた。


私が星平副隊長を落とそうとしてるだの、隊服のスカートの丈を短くして男性隊士達にアピールしてるだの、本当に様々だった。


そもそも、星平副隊長に会ったのは今日が初めてだし、隊服のスカートを履いたのも自分の部屋だけだ。


これ以上広まらないといいな。



…そうだ。

私は影浦隊長のノートを手に取った。

少しでも知識を増やそう。


ノートの一ページ目にはこう書いてあった。


『まず、悪魔には知性のある悪魔と、ない悪魔が存在する。

知性のある悪魔は人の形をしていて━━━』


ここまでは西山さん達から聞いたことと同じだった。


二ページ目。

『悪魔は腕や足を切り落としても意味が無い。心臓を刺したり、首を跳ねたりしないと殺せない。殺さなければ、腕や足はすぐに再生してしまう。』


一瞬で殺さないとすぐに再生する…。


まだ、続きがあった。

『厄介なのが、NO.3以上の悪魔。』


…NO.3以上の悪魔?


『NO.3、No.2、No.1、そしてそれら全ての悪魔をまとめる者がいる。そいつの名は望月空奏もちづきそなた。そいつらには、特徴がある。頬には花の模様、そして目が真っ赤だ。悪魔は望月空奏が全て作り出している。奴が全ての元凶だ。』


実感のない事実にノートを持っている手が震えた。

望月空奏が全ての元凶…。


三ページ目からは悪魔の討伐記録が記入されていた。

凄い…。

影浦隊長は今までNO.3の悪魔を二体も倒している。

そして、望月を殺し損ねた、とも書いてあった。


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