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一度死んだ私が刃を振るう  作者: 神崎りさ
〜第一章〜
6/8

知性

片付けをしていたら影浦隊長から聞いていた二人が来た。


茶髪で少しヘラヘラした感じの西山陽介さん。


西山さんとは対象的な真っ黒の髪でしっかりしてそうな井本泰宏さん。


二人ともすぐに行ってしまって、私は呆気にとられてしまっていた。


でも、いい人達そうで良かった…。


「…あっ、あった」


クローゼットの中を開けるとジャージやパジャマ、他にも生活に必要なものが入っていた。


あとは…


「みんなが着てたやつだ」


真っ黒の隊服と真っ白の羽織が綺麗に畳んであった。


…よし! 着てみよう!


部屋に置いてある鏡で自分の姿を見てみた。


自分で言うのもあれだが、カッコイイと思ってしまった。


女性隊員はスカートなのかな。

スカートはあまり履いたことがなかったので、多少違和感はあるがとても着心地が良い。


隊服のカッコよさに感動しつつ、お風呂に行く準備をした。


今日は明日に備えてもう寝よう。








「…んっ」


朝になった。

私の部屋は日当たりが良いのか、朝が来たとすぐにわかった。

それと同時に、やはり私はこの不思議な世界に来ているのだとも感じた。


「ジャージでいいかな」


稽古と言っていたから動きやすい服の方が良いだろう。

私はジャージに着替え、部屋を後にした。


顔を洗い、朝食を取り、髪を整え、歯を磨き稽古場に向かった。


「おっはよー! よく眠れたかな?」


そこには、私と同じジャージを着た木刀を持っている西山さんと井本さんがいた。


「はい。 私の部屋とても日当たりが良くて気持ちよかったですよ」


「えー! 日当たりいいの最高じゃん!」


俺の部屋はあんまし良くないんだよね、と羨ましそうな感じで言った。


すると、私と西山さんの会話を聞いていた井本さんが西山の頭を叩いた。


「いったぁ、泰宏何すんの……!?」


西山さんが井本さんの方を見て驚いた。

顔が般若になっている…。


「お前らいつまで喋ってんだ。俺らは午後から任務があるんだからやる事やって早く戻るぞ」


「はいはい、分かってるよ。っとその前に説明しておきたいことがあるんだ」


西山さんが急に真面目な顔になって言った。


「影浦隊長からこの世界のことは聞いたと思うんだけど、まだ悪魔については聞いてないよね?」


確かにそうだ。

悪魔を撲滅させる隊というのは何となくわかっていたが、肝心の悪魔が何かというのをまだ聞いていない。


「私が聞いたのは、悪魔は五分で相手の体を乗っ取るってことだけです」


私の話を聞いて井本さんが口を挟んだ。


「それは現世での話だな。悪魔には2種類あるんだよ。知性のある悪魔とない悪魔」


「知性…ですか?」


不思議に思う私に井本さんは説明を加えた。


「知性のない悪魔っていうのがお前が言った、わずか五分程度で相手の体を乗っ取り暴れ回るやつらだ。この悪魔は現世にしか出てこない。ただし、知性のある奴らは違う」


「何が違うんですか?」


「知性のあるやつらは人の形をしている。普通に髪が生えてて言葉も喋れるし、何より倒すのがなかなか大変だ」


倒すってどうやって倒すのだろうか…。

刀を使うぐらいだ。…殺してしまうのだろうか


「あとは悪魔の倒し方だね」


ちょうど西山さんが説明をしてくれた。


「まぁ、人が死ぬ殺し方でだいたい倒せるよ。例えば…心臓を一突きにしたり、首を跳ねたり、全身の骨をバキバキに折るとか…ね」


最後にニコッと西山さんが微笑んで背筋がゾクッとした。


「私にできるのでしょうか…」


すると井本さんに私まで頭を叩かれた。


「それを今から特訓するんだろ。弱気になるな。一度死んだとはいえ、この世界でも普通に死ぬ。血だって流れる。俺と陽介は何度も殺された仲間を見てきた。俺たちだけじゃない、隊長達だってそうだ。…倒すには、生きるには強くなるしかない」


どれほど、この人達は辛い思いをしたのだろう。

実際にその場面を見た訳ではない。

でも、しっかりと悔しさや悲しみを感じる。


「大丈夫。俺たちがちゃんと紗知ちゃんを強くするよ。…あとさ、泰弘! 女の子の頭を叩くのやめてよね!」


「あ? だいたいいつも、お前は女に甘すぎんだよ!」


私は二人の言い争いを聞きながら、二人が持っている木刀を見つめた。

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