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一度死んだ私が刃を振るう  作者: 神崎りさ
〜第一章〜
3/8

悪魔

「単刀直入に言うと、君は悪魔によって殺された」


「えっ、悪魔…ですか?」


「あぁ、そうだ」


悪魔だなんて本当に存在するんだ…。

ずっと作り話だと思っていた。


「轢かれるときに不思議に思ったことはなかったか?」


「…ありました。ずっと運転手が叫びながら運転してました。あと、轢きたくないとか逃げてくれって」


運転手は言っていたのだ。逃げてくれ、と。殺そうとしててそんなこと言うだろうか。


「それが悪魔に取り憑かれている何よりの証拠だ」


影浦はそう言い切った。


「悪魔はだいたい五分で相手の体を完全に乗っ取り、支配する。その運転手は完全に支配される前だったんだろう」


説明する影浦を見て本当に私は死んだんだと感じた。

悪魔に乗っ取られた男によって殺された。

どっちを憎めばいいのだろうか…。

呆然とする私に影浦はさらに説明を続けた。


「それで君には悪魔撲滅隊に入隊してもらいたい」


アクマボクメツタイ…?


「なんですか、それ?」


訳が分からない。死んですぐに隊に入隊しろなんて。


「その事については俺が説明するよ」


今まで一緒に話を聞いていた一色が口を挟んだ。


「影浦は例の準備してきて」


「分かりました。あとは頼みます」


”例の準備”と言われ影浦はどこかへ行ってしまった。


「説明するって言ったけど何から言おうかなー」


うーんと頭を抱えながら一色は言った。


「まずね、三つの世界が存在するんだ。君が今まで過ごしていた現世。そして悪魔によって殺された人が来るこの世界。最後に、この世界で亡くなった人もしくは、現世の時点で亡くなった人が第三の世界と言われる場所に行く」


三つの世界があったなんて驚きだ。

元々、天国や地獄といった場所も信じていなかったのだ。驚いている私にお構い無しで説明を続ける。


「君は今、二十歳。この悪魔撲滅隊は、悪魔に殺された十五歳以上、三十歳以下の人が必ず入隊するという決まりがあるんだ」


「なら、それ以外の年齢の人はどうなるんですか?」


第三の世界というやつに行くのだろうか。


「この世界で暮らしているよ。ただ、現世での記憶がない。自分たちが初めからこの世界で暮らしていると思っている」


だから、悪魔撲滅隊に入隊しなければならない私は記憶があるのか。

憎しみを忘れないためだろうか。


「そしてこの世界では、ずっと殺された時の年齢と容姿のままた。歳もとらなければ、白髪が生えてくるなどの容姿の変化もしない。髪は伸びるがな」


受け入れ難い内容に言葉が出ない。


「だから俺も二十年ぐらい前に殺されたが、ずっと二十八歳のままだ」

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