第8話〜お人好しは全てを凍らせる〜
一応だが、僕たちのクラスは奈美先生を含めて30人だ。そして、鑑定師の人は三人。一人約10人相手にする筈だ。この世界の魔法の上限とかMPとか分からないけど、大丈夫なのだろうか。いや、大丈夫なんだろうけど。
「サトシ・ホンマ才能27。」
「おぉ!いきなりか!」
「A級冒険者並ではないか!?」
あ、冒険者いるんだ。A級がどれくらいか分からないけど。
「ホウセイ・タダ才能24。」
「やはり勇者は素晴らしい。これ程の強さのものがあと20人よりも多くいるとは!」
「とてつもないぞ!これならあの魔王さえも簡単に滅ぼせるのではないか!?」
そんな喜びに満ち溢れていた貴族たちに朗報が入る。
「モトヤ・コンドウ才能64!?」
「マヤ・ワカバヤシ才能62!!?」
「何だと・・・す、素晴らしい!!!」
「「「「「うぉぉぉぉ!!」」」」」
僕の幼馴染はとんでもないな。他のみんなよりも2倍以上か・・・。
既に半分を過ぎ、二人の計測が行われ、その異常さにこの場の全員が驚いていた。
後に知ったが、昔、この世界に降りた勇者は才能が70だったそうだ。それに対し、二人とも負けず劣らず60代をたたき出している。それは驚くだろう。
「ナミ・サトウ才能61!!」
「凄い!凄すぎる!!最早百年の世界平和は保たれただろう!!!」
「先生もか。」
いや、まぁわかる気はするけど、流石の鉄壁の先生もこれには少し笑顔を見せていた。そして・・・
「僕の番か。」
もうすぐ終盤。その頃になって僕の番がやってきた。
「「「「「御門ー!!」」」」」
うっ、みんなプレッシャー与えないでよ。
「見よ。あの勇者殿らがあそこまでの信頼を寄せている。もしや70代が出るのでは?」
「それによく見たら可愛い顔してるわ。勇者は人気も命と言うし、あの子は一番見物ね。」
ほら、やっぱり貴族の皆さんが値踏みし始めましたよ。僕、そんな人間じゃありませんよ?どうせ20くらいの雑魚ですよ?
「「「ゴクリ。」」」
いや、鑑定師さん達も皆さん緊張しないで。全然ほんとに金魚の糞ですから僕。
「うむ。やはり彼こそが真の勇者か。」
国王様!!貴方もまだ勘違いしているんですか!?僕はそんな人間じゃありませんよ!!
「で、では鑑定を始めます。」
うぅ。本当に泣いていいですか?
「「「【鑑定】!」」」
光が僕に集まる。何故か三人全員が僕を鑑定したからだ。本来なら一人でやるだろうから、微小に集まるはずだ。
「おおぅ!見ろあの光の輝きを!!」
「「「「「おぉぅ!!!」」」」」
そして、やがて光は収束し・・・。
「「「え?」」」
「え?」
ど、どうしたの?え、本当にもしかして僕そんなに凄い
「さ、才能ぜ、ぜぜぜ、0・・・。この者
コトハ・ミカドには、何の才能もありません・・・!!」
「「「「「「「「は?」」」」」」」」