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生産系彼氏と戦闘系彼女  作者: INGing
序章 プロローグ
7/7

彼氏、運命の人に出会う。

ブクマありがとうございます

3話目です

「……その呼び方は、ひょっとしてルリさんですか?」



 コウがひと目でルリと分からなかったのには、もちろん訳がある。

 ルリがひと目でコウを把握出来るほどには、ゲーム内で付き合いのあった二人。

 高レベルな戦闘系プレイヤーが使う装備品は、同じく高レベルな生産系プレイヤーに作って貰わなければ格が合わない。

 その為、何度も生産依頼を出しているうちにフレンドとなっていた。


 というか、ぶっちゃけルリの装備品は全てコウの作品であった。

 ルリが直前まで狩りをしていたのもコウに属性装備を作って貰う為の物だったし、コウが直前まで打っていた剣もルリからの依頼だ。

 ならば何故? と思うだろうが、答えは簡単で「ゲーム時と容姿が違う」からだ。


 完全没入型のゲームは、自分の身体データや容姿を取り込んでプレイ出来るものが多い。

 なぜならリアルの身体と同じ様に動かせるのだから、差異がでかい程に操作性が悪くなるからだ。

 とは言え、身バレのリスクや理想の自分になりたいと言う理由で容姿を変更する人はそこそこ多い。

 かく言うコウも、生来の幼い顔つきから「目付きをやや鋭くし、身長を180cmにする」くらいの変更はしていた。

 あくまで身バレ防止策であり、成人も間近だと言うのに「小学生?」と訪ねられるほどの低身長と童顔にコンプレックスを抱いていた訳ではない。


 と言うことにしておこう。


 コウに関しては「長身細身な青年が数年若返った」程度の違いであった為、ルリもなんとか気付く事が出来た。

 しかしルリは自分の容姿にかなりのコンプレックスをいだいていたのか、かなりいじくり回していた為別人としか思えなかったのだ。

 具体的に言えば、150cmほどのスレンダーな体型。

 下品な言い方をすれば、胸も尻も小さい起伏に乏しい身体つき。

 顔も彫りが深めの欧州美人と言った感じで、髪型は金髪のロングストレート。

 ロリっぽい体型と相まって、妖精と言うイメージがピッタリな容姿だった。



「やぁ……みないでぇ」



 コウによって指摘され、自らの容姿がリアルと同等になっている事に気付いたルリ。

 ただちに表情を羞恥に染め、自らの身体を庇う様に抱きしめた。

 その腕からはみ出している隠しきれない”モノ”が、コウにとっては目のやり場に困るのだが。


 ルリの現在の容姿は、身長は160cmとコウと同等程にあり女性にしては高い部類だろう。

 髪型はロングではあるが、黒色でゆるくウェーブが掛かっている。

 何より目を引くのが、巨を超えて”爆”とまで言える程の胸。

 これ以上大きくなれば”奇”となる瀬戸際のラインを維持してる、ある意味奇跡的な大きさだ。

 更に尻の方も”デカイ”とまでは言わないが、小さ過ぎもせずムッチリとした魅力的なサイズである。

 その下にある脚も、スラリとは言えないが薄く脂肪の乗った女性らしい美しさを放っている。


 総じて全体的に豊満な感じの体型だが、ウエストに関してはそこそこ引き締まっており。

 ごく少数の人によっては「ぽっちゃり?」と言われるかもしれないが、絶対にデブだとは言わないし言えない。



「こんなだらしない身体、コウちゃんに見られるなんて!」



 と言うのも、本人にとっては別問題。

 コンプレックスを抱く程度には、自分の体型が気に入らないらしい。


 ちなみに「そんなに容姿が変われば、いくらなんでも直ぐに気付くだろう」と思われるが、先述の操作性の悪さを解消する為に運営が頑張った結果「外から見られた容姿と本人から見た容姿を切り離す」と言う設定が生まれた。

 結果「150cmのアバターの目線に向かって話しかける」と言う行為は、ルリにとって「胸をガン見されながら話される」事になるのだが。

 もちろん操作性は抜群によくなったとはいえ、せっかくスレンダーな体型にしたのに走る時は揺れて辛いという弊害も出てきた。


 何が揺れるかは、まぁ……言わなくても分かるだろう。


 そんなこんなでコウの前で身悶える事五分、ルリのお腹から「くぅ」と言う音が聞こえて来た。



「あ。ルリさん、お腹空いてるの? だったらお礼に……って訳じゃ無いけど、簡単だけど食事を用意するよ」



 その音をバッチリとコウに聞かれ、先程までとは違う羞恥に見舞われ更に顔を赤くするルリ。

 ひたすら目のやり場に困っていたコウは、これ幸いとばかりに確保していた魚を取り出して調理を始めた。



「うぅ、ぜったいに食いしん坊キャラだと思われたよぅ……」



 自らの体型へのコンプレックスもあいまり、そんな自虐をコウには聞こえない様に呟く。


 そんな呟きが耳に入らなかったコウはいつの間に作ったのか、木製まな板の上で3枚におろされた魚に香辛料に使えるハーブを塗り込んでいる。

 フライパン代わりに薄く加工した石を簡易的な火魔法で熱し、じゅうじゅうと良い音を立てながら焼いていく。



「お待たせ、申し訳ないんだけど米とパンは無いんだ。代わりに今朝作ったマッシュポテトがあるから、それでもいい?」



 木製の茶碗一杯に盛られたマッシュポテトと、木皿に載せられた2尾分の川魚のソテー。

 更にはサッパリした味の果実を絞った、食事にも合うジュース。

 これらをルリへと差し出すも、自らの身体を抱いた姿勢のまま動かないルリ。



「あれ? ひょっとして、魚だめだった?」



 差し出した物を凝視しているも、一向に手をつけようとしないルリ。

 何やら自分の中で葛藤があるのだろうが、それが分からないコウは何かアレルギーでもあるのかと心配になる。



「……いただきます」


「どうぞ、召し上がれ」



 結局は先程よりも大きい2度目の腹音に屈し、顔を赤らめたままも美味しそうに食べ始めたルリ。

 そんなルリとは対象的に、食べてる姿が可愛く見えて微笑みを浮かべてしまうコウ。


 近い未来、コウの作る料理はいくら食べても太らない事にルリが気づく。

 普段から討伐系の依頼で金策するルリは、激しく身体を動かす事で腹ペコになる事もあいまり結局は「食いしん坊キャラ」としてコウに認識されるのだった。

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