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自爆霊「これが転生か」

 ゲームで出て来る自爆系って強力だけどあまり使いたくない派なんですよね。ということでもしも現実で自爆魔法を使うとすればこんな感じなのかなって考えてみた作品です。


 魔法なのでポ〇モンとかよりはドラク〇のメガ〇テを意識してます。


 勢いで始めた作品ですが、とりあえず10万~12万字程度で完結を目指し、週一の更新を目標に掲げたいと思います。

「……これが転生というものか」

「全然ちゃうわ」


「……あんた、誰だ?」

「儂は神じゃ。まったく、困った奴じゃわい」

 ……神か。

 …………やっぱり、転生してんじゃないのか? いや、正確には今から転生するのか?



「言っておくが、お前さんを転生させに来たとかではないからの。ぜんっぜん違うからの?」

 勘違いをするなと念押しされるが、言われれば言われるほどに転生なんじゃないかと思ってしまう。

 そもそも転生でもないのならどうして神が目の前にいるんだ?


「順を追って説明してやる。本来ならこんな面倒な真似を儂自らがすることはないのじゃ。ひじょ~に複雑ではあるが、その点はお前が特別であると認めてやろう」

 ……なんだこの上から目線。神じゃなかったらぶん殴ってるところだ。


「言っておくが、儂神じゃからな? かなり多忙の中時間を割いて来ておるからな?」

 不穏な空気を察したのか、牽制してくるようや小物が神とは。世も末である。

 これが真の世紀末ってか?


「世紀末はお前の頭の中だけじゃ」

「さっきからナチュラルに思考を読まんでいただきたい」

「うっさい死ね!」

 ひどい神だ。もしかして神は神でも邪神か?


「……どうでもよいから状況を説明させろ。まず、お主が最後に覚えていることを話せ。と言っても、転生転生と口にしておることから死ぬようなことをしたという自覚はあるようじゃがな……」

「そうだな。俺は死ぬ予定だった」

 いや、死んだと思った。死んでもいいと思った、か? まあ、どっちでもいいか。


「俺の中の最期の記憶……それは自爆したことだ」




「くっ……! ここまでか!」

 自分で追い込んでおいてなんだが、数百の敵に囲まれて絶体絶命の状況。これを覆して生き残る手段なんて俺は持ち合わせていなかった。


 戦時中であり、志願したわけでもない徴兵の俺にはそこまでして守りたい物があったわけではない。強いて挙げるなら平穏な生活こそを守りたかったが、それならどんな汚い手段を用いてでも生き残るべきだった。

 だから、敵の精鋭をこうして引き付ける役になっていることは正直驚いている。


「……異国の兵士よ。お前はよくやった」

 そんな中敵の大将が出て来て俺を褒めやがった。


「私にはわかる。お前は正規の軍人でもあるまい。それなのに、友軍を逃がすために殿として我らを欺き、見事に引き付けて見せた。もう十分だ」

「うっせえ! 別に俺は嫌々ってわけでじゃない。自分で自分の命をここで使うと決めたんだ」

「……で、あろうよ。覚悟失くして死地には立てん」


「だからこそ、もう十分ではないか?」

 目的は果たした。それなのに、なぜ抵抗を続ける? 敵将の眼はそう語っていた。


「ああ、十分だ」

 そしてそれは俺もわかっていた。

 いや、納得していたことだった。


「ただ、一つだけ訂正させてくれや」

「なんだ?」

「俺は()()()()


「なんだとっ!?」

 ようやく偉そうな雰囲気が変わったな。

 だが、もう遅い。


 本来の使い道なら、もっともっと時間を稼ぐ必要があるが、こんな密集地帯で使うなら十分すぎる効力を発揮するだろうぜ!


「貴様、まさかまほ――」

 奴が正解を口にするよりも早く体内で暴走させていた魔力を一気に膨れ上がらせる。

 周りの奴らもそれに気付いて逃げ出す者や発動する前に俺を殺そうとする者がいたが、もう遅い。そんなことで俺の魔法は――自爆魔法は止められない!!


「あばよ! またすぐにあの世で会おうぜ!!」

 そうして俺は人生最初にして最後の魔法を発動し、木端微塵に吹き飛んだ。





「――はず、だったんだよなぁ」

 その割には転生じゃねえとか言いやがるし、この爺が神だとしてあんまりじゃないか?


「……一つ、訂正しておくがの儂は爺ではない」

「いや、どう見ても爺だろう」

「……人間は勘違いしているが、そもそも神に定められた姿形は存在せん。儂が爺に見えておるとしたら、それはお主が神とはそういう者だと認識しているからじゃ」


「どういうこと?」

「簡単に言えば信じる姿がそのまま儂の姿になる。お主にもわかるように言えば、宗教の教えを信じている者が儂を見ればその教義で伝えられる姿が儂の姿になる。口調も見た目もすべてがそなたらに合わせて変化するのじゃ。もしも、お主がお主とは違う姿を想像した相手に会い、神とは爺だったと言っても信じてもらえない。その場合、儂に対する説明は相手に見えている姿の説明になるからじゃ」

 わけがわからん。


「要するに、信じる神が女神ならば女神になり、お主が神は爺だと言っても相手には神は女神だという認識で伝わるということじゃ。まあ、どうでもいいことじゃろうがな。そもそも、神にあった人間が同じく神に会ったことがある人間に遭遇する確率なんぞほぼゼロじゃ」

「じゃあ、なんで必死になって否定したんだ?」

「お主の言い方が完全に馬鹿にした悪口だったからじゃが?」


「とまあ、それはそれとして……大体お主の言っておることは正しい」

 敵に囲まれていたし、自爆した。その認識に間違いはないらしい。

「じゃが、どういうわけかお主の魂は未だに現世に居る」

「時間がかかるのか?」

「そんなことはない。その証拠にお主が吹き飛ばした奴らは皆既に魂の浄化を終え、次の人生に旅立って行った。お主の魂だけが未練たらしくこの場に残っておる」


「そうなのか」

「ああ、そういうわけで面倒じゃが儂自らが回収に来てみればどういうわけか回収できん」

「は?」

「お主は間違いなく自爆魔法を使った。それなのに、魂が死んでおらんということになる」

「わけがわからん」


「そもそも自爆魔法というのはどこの阿呆が開発したのかは忘れたが、体内で意図的に魔力の暴走を起こさせる魔法じゃ」

「それぐらいは知っとる」

 むしろ、それだけを師匠に教わったのだ。


「普通、魔法は身体の外で発動するもの。だからこそ、魔力を練り上げ、それが暴走したとしても暴発という形になる」

 その場合は使用者が最もダメージを負う。

「自爆魔法はそれを応用し、より強力にした魔法じゃ。本来なら暴走するだけの魔法をある意味で制御して見せ限界以上の魔力を注ぎ込める」

 

 ただし、その代償として使用者は絶対に死ぬ。

 当然だ。体内でそれだけの魔法を暴走させるのだから解き放てば命を落とすに決まっている。


「今よりも酷い時代にどこぞの物好きが創り出し、実際に使われることのなかった魔法のはずじゃが何がどうしてこんなことになったのやら」

 神の説明は正しいが、一つだけ間違えている。

 使われなかったのではなく、使おうとして失敗した例がほとんどなのだ。

 いわゆるただの暴発で終わった。

 だからこそ、残ったのだ。


「さて、お主をこれからどうするか」

「どうとは?」

 回収に来たんだから、連れて行くだけだろう?


「お主の魂は連れて行けん」

「なぜ?」

「お主の魂には魔力があるからじゃ。魔力魔力と簡単に言っているが、魔力とは星の生命エネルギーそのもの。だから魔力はどんな物にも宿っている。それを使えるかどうかの差でしかない」

「生きていた頃には魔力のない奴に会ったことがあるが?」

 というか大半がそうだった。


「魔力がなかったのではなく、魔力を使用するための器官とでもいうべきものが存在してなかっただけじゃ。わかり易く言うと、金は持っている。しかし、金を使うための店などはないので結局使わずに持っているだけだったというわけじゃな。違うのは捨てたり、なんらかの形で使用できる金と違って魔力はどうにも扱えんかったということぐらいか」


 ……さっぱりわからん!


「つまりは魔力が残っていては魂を回収してはもらえないということだな」

 なるほど。それは困った。

「……ん? 待てよ。魔力があるってことはもしかしたら俺はまだ魔法を使えるのか?」

「使えるじゃろうな」

 それは素晴らしい! つまり絶対死ぬ魔法を死なずに、この場合本当に死なずにで合っているのかはともかく使える可能性があるというわけだ。


「おい、危険な思考を感じたぞ」

「安心しろ。無闇に使うつもりはない」

「当たり前じゃ! そうなったら、例え魔力が減って星に影響が出てもお主を消滅させるわ!」

「……ということは今は放置か?」

「そうなる。だが、ここに置いておくわけにもいかん。ここは生きる者が死に、冥界へ旅立つための通り道いわゆる狭間じゃ。儂が居るから融通は利くが、そうでなければただの邪魔な存在を置いてはおけん」


「じゃあ、どうなる?」

「どうしようか?」

 おいこら、爺……!


「しょうがなかろう。初めてのことじゃしなあ。とりあえず希望でも聞いてやろうか?」

「……チッ、希望なんてない」

 元々命を散らしたはずだったんだ。

 それをちまちま言うつもりはない。


「強いて言うならこの魔法についてもっと知っておきたい」

「それは同感じゃ。唯一の自爆魔法の発動者。今後もお主と同じような奴が出て来ないとも限らない以上はその原理を儂も明確に把握しておきたい」

「かと言って死なないからと練習するのも他の奴に迷惑だろう」

 前と同じように実際に爆発するのかはわからないが、もしもそうなったら今度は半端ではなくより強力な魔法を使うことになる。


 半分、世を去った身でかけていい迷惑を越えている。


「とりあえず、信心深い聖職者にでも託すか」

「そんなことが出来るのか!?」

「……まあの。それこそ数億人に一人ぐらいの確率じゃが、儂の声を聞けるほどの信心あるいは才能のある者はたしかに存在する。絶対の保障は出来んが、それでも頼めば危険でない場所ぐらいは紹介してもらえるじゃろう」


「それはありがたい」

「儂としてはこれは妥協じゃ。もしかしたら、その状態で再び魔法を使えばお主は今度こそ死ぬかもしれん。むしろそうなってくれるのが儂としてはありがたい。その場合は多少の迷惑ならば地上にかけてもよいと思っておる」


「最低だな爺」


「というか、聖職者に付けるのだって、お前をアンデットや幽霊と勘違いして葬り去ってくれることを願ってのことじゃしな」

「……その点に関しては否定はしない」

 実際、俺の存在はかなり迷惑だろう。


「まあ、もしも上手くいけば……むしろ上手くいかなければ面白くない結果になるじゃろうがそれはそれ。一種の試練として地上には頑張ってもらいたい」

「本当に他人任せだな」

「それが神じゃ。そもそも人とは異なる存在なんじゃから他人任せとかはこれ如何に?」

「もっともだ」

「それじゃあ、さくっと準備してやるからとっとと行って来い!」

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