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復活女神物語【仮】  作者: 秀鶴
3/3

報告

【女神セルテナ】


邪神信者の集落を破壊してから数日。

私は今、神々の住まう場所であるオルニア山の麓に来ていた。目的は勿論、ユノラとその仲間たちに復讐を果たすため。これによって私の無罪が証明されるかはわからないが、やらなければ気持ちが収まらない。だからやる。


そのあとは…まぁどっかで静かに暮らそう。


作戦としてはこうだ。


まず、オルニア山の麓を警備しているエルフの兵を秒殺して、急いで山頂まで上がる。勿論バレないように色々と細工をするつもりだけど。山頂に来たら、オルニアの入り口を警備している天使たちをそこからどかすために、山道のいたるところに爆裂魔法を展開する。そうすると、天使たちは慌てん坊なので門をお留守にすると思うから、空き巣のように有り難くオルンポスに入る という感じだ。


なぜ天使を殺さないかというと、あの子達は結構すばしこくて、倒すのに時間がかかる(とは言っても殲滅するのに1分とかからないと思うのだが。)そんなことしているうちに、戦闘力の高い神たちが駆けつけて来たらおしまいだ。オルニアに入ったら、もうユノラの屋敷にレッツ・ゴーだ。あいつはどうせ一番いい土地に馬鹿でかい屋敷を構えてるだろうから、すぐにわかる。そうでなくても、探知の魔法を使えば余裕だろう。


とは言っても、今からすぐに殴り込むわけではない。私だって乙女なんだし、ここ200年何も食べたり飲んだりしてないから、グルメに飢えているのだ!


まぁ、神は何も飲み食いしなくてもいい全然生きていけるんだけどね。食べてないとなんだか身が入んないのよね〜。それはほかの神々も一緒なようで、皆ほとんどの神が食事をする。

…それに、ここ200年で人間の食が著しく進化している。もはやこれはオリュンポスの神々が普段食べているものを超えているのでは?というのも多々ある。だから気になるのだ!故に、あの紫ローブの男から頂戴してきたお金が尽きるまで食べまくるぞーーー!!!!


【女神ユノラ】


「ユノラ様 例の特級災害についてのご報告です。」


私の使徒である天使ロッテリエが報告に謁見の間に来ていた。


この前に起きた特級災害。もしかするとあれは、忌まわしいあいつが復活したのではないかと私は思っていた。何故なら、あの規模の災害が起こるときには必ず何か兆候というものがある。しかし、今回はそれがなかった。それにあの規模の特級災害となると、200年やそこらに1回くらいしか起こらない。だか、特級災害は25年ほど前に起きたばかりだ。


もし本当にあいつが復活したのなら、あいつは絶対に私や私の派閥の神に復讐を果たしにくるだろう。


だから、わざわざ天使であるロッテリエを行かせたのだ。


天使は多忙だ。神の言葉を人間に伝える架け橋になったり、神の欲しいものを調達することがあったりと。他にも色々と仕事がある。まぁ言ってしまえば神の使い走りだ。このロッテリエにも随分と働いてもらっている。これには感謝だが、こいつにも、私の加護を与えている。当然と言えば当然であろうか。


「えー。報告といたしましては、災害に襲われた集落は、跡形もなく流されており、人間の死体は確認できませんでした。ですが、あの集落の住人の一部が、近くの都市に突然現れたりしたという話が多数届いており、これは転移魔法と考えられます。また、現場には若干ですが、膨大な魔力が消費された時にできる魔力歪曲があり、魔力災害なのではないかという結論に至りました。」


魔力災害とは、魔力がだんだんと蓄積していき、それが何かの弾みで爆発してしまうことだ。その規模は小さくても村1つが消し飛ぶ。大きければそれこそ、都市が数個消えるだろう。また、この爆発の時に、何故かはわからないが様々な魔法の術式が展開され、それに蓄積した魔力が流れ込み、魔法を連射してしまうのだ。この時発動する魔法に限りは無く、一番簡単に使える肉体強化から最難易度の時空魔法まで、ありとあらゆる魔法が発動する。

そして今回の特級災害も時空魔法の転移や、爆裂魔法も確認されている。


そい考えると、あいつが復活したというのは私の考えすぎかもしれない。…最近は疲れているせいかピリピリしてしまっている。


それも仕方がないと自分でも思う。何故なら私は明日、召喚の儀式により、太古に滅びたとされる聖獣グリフォノを呼び出さなければならないのだ。それも、神々が集まる日神在のしんざいのひに。この日は普段オルニアに居ない神もこのオルニアに集い、宴をする。その時に私が普段オルニアに居ない神たちに力を示すために召喚の儀式をするというわけだ。そのための魔力を溜め込んだりしているため、体が怠い。

だが、これも明日までの辛抱。明日の儀式を成功させ、未だ私に完全に従っているわけではない神々を屈服させ、私は晴れて最高神になる。


…実に良い。思いついたやつは天才か、鬼才に違いない。そう、私だ。私は一番偉くて、美しい!そして、叡智の象徴だ。それを見せつけてやらねば。


思考がだんだん逸れてしまったが、まぁあいつのことは正直どうでもいい。どうせ復活しても私の敵ではあるまい。


「報告ご苦労。下がってよろしい。」


「御意」


ロッテリエに労いの言葉をかけ、私は明日に備え、寝所に入った。


【地球の高校生 ゲンキ】


俺は南方元気。お母さんが元気な子に育って欲しいとつけてくれた。そのおかげか、俺は風邪をひいたことがないんだ!これはいい所のない俺のささやかな自慢だ。


だが、今俺は猛烈な頭痛に襲われている。正直に言うと、これは軽く死ねる。前に頭痛持ちの友達に「頭痛なんて気合いで直せよ!」って言ったけど、そんなの絶対に無理だ。友達に今度会ったら謝ろうと思う。

そんなことを考えてたら、家に着いた。


「ただいま〜」


頭の痛すぎる俺は、お母さんに弱々しく挨拶をすると、自分の部屋のある二階に上がった。


「あら、バカは風邪引かないというけど珍しいわね。元気なのが取り柄なのに」


という声が聞こえた気がするが、気のせいだろう。…なんだよ、あの言い方じゃ、俺の取り柄が元気なだけ見たいじゃないか。まぁそうかもしれんが。


あぁ、そんなこと考えるのさえ面倒だし、疲れるからやめよう。いつも帰って1番で俺の息子さんを可愛がってやるんだが、今はそんな元気もない。

ちなみに俺、息子さんも元気なのだ!


ふふふ ふはは、 ふははは!


見よ!この完璧な笑いの三段活用を!!

我ながら惚れ惚れする。


「…はぁ。何考えてんだろ。アホかよ」

自分でもアホらしくなってしまったので、本当に寝ることにしよう。


「おやすみ」


誰とも言わずに、俺は言った。

俺はこの時気付いていなかった。


自分の頭上に広がっている不思議な模様の魔法陣に。











久しぶりに投稿しました。

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