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浸透圧とジャージ女  作者: Coo...
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第四話  「丁稚羊羹と飲み物とジャージスカート女」

第4話 「菓匠禄兵衛の丁稚羊羹」


 そう言う訳で小アジのフライパン焼きを食べ切って思う。

 何か生臭い。

 さらに問題なのは、まだ6匹位冷蔵庫にのこっていると言う事だ。量にして二人で一食分ほど残っている。

 

 話は買い物に出かけてジャージ女に華麗な勝利を収めた後、新居に戻った所までさかのぼる。


 帰宅してから、荷ほどきをする内にいくつか気が付いた事がある。

 調理器具を前の家に忘れてきたのだ。忘れてきたというか、母さんの物だから置いてきたのだった。今現在手元にあるのは1徳コンロと鉄フライパン。小さい出刃包丁。


 さらに問題があった。

 僕はテレビの料理番組とかで見ていると簡単そうに料理しているから、料理という物は簡単にできるものだと思っていた。


 これは誤算だった。


     ■


 自信満々で台所に立つも、何をしたら良いのか分からない。

「父さん。アジ…。さばける?」

「ははは。俺は今、お茶の入れ方を箱の説明書きを読んでいるところだ。」

「父親には頼れないか…。」

 思わずため息をつく。

「さいわいフライパンと油はあるんだから、当初の予定通り揚げようぜ。」

「僕も最初はそう思ったんだが、揚げ物ってさ。素材をこのまま油で揚げるものだっけ?」

「…。違うよなぁ。」

「一応、今頭の中でシュミレートしてみたんだ。」

「ほうほう。」

「魚を熱した油に放り込むだろ?で、揚がるじゃん。」

「油に入れている間の事は考慮しないのか?」

「まずは大きく考える事にしたんだ。細かいディテールとかは今は考慮しない。」   

「摩擦係数の問題みたいなもんだな。仕事の大きさを求める時は摩擦力だけ考慮すれば良く、細部である質量は考慮しなくて良い…。みたいなもんか。」

「そんな感じ…。かな。いや、違う様な気がする。」

「いや、合ってるって。詰め込み学習世代をなめるなよ」

「まぁ、ともかく大まかな流れで考えてみたんだ。」

 小アジのパックからフライパンに指を指す。

「熱した油に、魚入れる。はい。揚げ終わった。」

「速いな!」

「さぁ、揚げた魚をおもむろに、皿に置く。」

「完成だな。」

「いやしかし、そこで待ってほしい。」

「何か問題が?」

「おそらく、この工程だと油でぎとぎとなアジが量産される事になる。それだけならまだ良いんだ……。」

「あっ、ちょっと待て。そう言えば言い忘れてたんだけどさ。」

「なにさ?」

「正確にはシミュレートだぞ。S I M U L A T E。シエラ、インディアン、マイク、ユニフォーム、リマ、アルファ、タンゴ、エコー。シミュレート。シュミレートは誤って広まった言葉だ。」

「えっ、マジで?いや、知ってるし!詰め込み世代様を試しただけだし!」

「あぁ。それはすまない。いや。ほんっつ…はは。すまない。話の腰を折ってしまって。」

「話の腰を折るなよ!っていうか、にこやかな表情を作るの止めて!」

「いやいや、反省して神妙な表情知るはず何だけどなぁ。」

「……、とにかく。」

 咳払いして説明に戻る。

「すっかり失念していたんだよ。」

「だから何を?」

「揚げ終わった油…。どうすれば良いんだ?」

「あっ…。」

 そうだ。揚げ物は美味しいが、僕たちは失念していたのだ。フライパンに油を薄く引けば上げる事は出来てもその後の油をどうすれば良いのかを。

「冷ましてから、そのまま捨てるのはどうだろう?」

「いかんだろう。それ以上に、もったいないな。」

「くそぅ、父さんのくせに正論を。」

「スマホで調べてみよう。」

 父さんがズボンからスマホを取り出す。

「いいな。スマホ

。」

「ほしけりゃな。父さんみたいな立派な大人になるんだ。」

 ふん。と鼻で笑う。

「うるせぇな。悪意は言葉を超えて伝わるんだぞ。」

「偏見だよ。僕は良い奴だしね。」

「うわぁ、信用できないタイプだ。俺の子と思いたくないなぁ。」

「いい年こいて厨二病的な発言は止めて頂きたい。信用できない奴が群雄割拠する良い奴界において、俺は珍しく信用できる『良い奴』だよ。」

「そんなところが信用できないタイプだって言ってるんだ。」

「自分の息子が信用できないとは…、悲しい時代だなぁ。」

「ひでぇな。お前。」

 そう言って、父さんが僕の頭をガシガシと鷲掴みにして揺らす。

「ガキの頃を思い出すよ。お前を見てると。」

「うげぇ。」

「そういう所もな。腹立つガキだったんだなぁ。」

「安心しなよ。父さんが、そんな良い奴な訳がない。」

「ははは。なぐりてぇ。あぁ。やっぱり、油をそのまま流しちゃダメみたいだ。排水溝のパイプに汚れの層が出来て、配水管がつまるみたいだ。一応濾過して再利用できる見たいけど…。」

「そんな道具ないね。」

「万策…。つきたか。」

「いや、フライパンがあるなら…。」

「焼けば良いじゃない。」

「名案だ。」

「じゃぁ。早速フライパンに油を引いて…。」

 試行錯誤の末、出来上がったアジをただ焼いた物はヒドく生臭かった。


 父さんの給料日が4月の21日だから、それまでは可能な限り節制をして一月の生活費の指標を作らなくてはならないから、必要だからと言ってホイホイと買うわけにはいかない。

 そんな訳であれから数日間。ご飯と生臭いアジのフライパン焼きというメニューが続いている。

 正直言って速くも心が折れそうだけど、今更どうしようもないので我慢するしかない。しかし、ポン酢で生臭さをごまかすのも限界が来ている。食べ物が不味いというのは心に直接くる。

 世の中の飯まずヨメを貰った旦那はこんな気分に違いない。飯まずヨメは現在のところ、僕のポジションなので、そう言う人達を笑えはしないのだけど……。


     ■


「あーーー。不味い。お前の料理は不味い!!」


 そう言って引っ越しの時持ってきた衣装ケースで作ったちゃぶ台のそばで父さんが地団駄を踏む。

「じゃぁ、父さんが作ってよ。」

「おれ。料理。なーんも出来んし。これより悲惨な物しか出来んが、それで良かったら…。」

「あぁ。やっぱり、僕が作るよ。」

 父さんに任せると僕よりヒドい事になりそうだ。

 多少の面倒の解放より、マシな物を食べる方を選ぼう。それに言いたくないけど、食べさせて貰ってるんだから、この手の負担は僕が担うべきだろう。

「食材も今日で食べきれるくらいだよな。明日、また買い物に行くか。」

「そうだね。今度は半額になった弁当でも良いかもね。」

「サラダにも、なんか肉っ気がほしいな。ハムとか、ベーコンとか…。そう言うたぐいのを」

「贅沢は敵だと、昔のエラい人が言っていたね。」

「さすがにそこまで貧乏ではないはずだ。」

「ある程度、生活費の支出が分かるまでは贅沢は敵で決定賞。」

「あー、畜生。何でこんな奴に財布預けたんだろう。」

「ちゃんと家計簿つけている高校1年生なんてそうはいないよ。」

「すっかり所帯じみやがって。」

「大学行きたいからね。母さんに払う慰謝料の他に、学費を貯めようと思うと節制は仕方ないね。」

「しっかりした感じに育ってくれて、父さんとしては有難いが、お前。何か勉強したい事あるのか?」

 そう言えば、生来の事とか離すのは初めてだ。

「あぁ、言ってなかったけ?農学科に行って発酵について勉強したいんだよ。化学肥料じゃなくて、発酵肥料の研究をしたい。」

「すげぇな。お前。その年で、専門まで決めてんのかよ。」

「普通だろ?」

「うーーーん。そうなのかな。俺がお前の頃って…。あぁ、そうだ。絵を描いて暮らしていきたかったんだ…。」

 父さんは、ふと何か懐かしそうな顔をしてそう言った。ごつい体つきして、似合わない夢を持っていたんだな。

「ごつい身体して、似合わない夢持ってたんだなって顔をしているな。」

「ははは。まさか。似合わねぇとは思ったけどね。それよりも、子供の頃に延々直線とか円とかを描かされていた事を思い出した。」

「あれは基本を教えてたんだよ。」

「そのおかげで、絵を描くのが苦痛に感じる様になったな。」

「あるある〜。」

「ねぇよ!父親として、反省しろや!」

「お前、才能あると思ったんだがなぁ。まぁ、絵が描くのが好きな奴は、暇さえあれば落書きしてたりしてるけどな。お前そういうの全くなかったな。」

「誰かのせいでね。で、なんで売れない絵描き志望が公務員になったのさ。」

「まぁ、ギリギリ食える程度だったのは認める。」

 大きなため息。でも、父さんの表情は柔らかく、昔を懐かしむ顔をしていた。

「で、イヤになってさ。諦めて、帰って来て、ウダウダしてた時にさ、公務員になれば、5時に仕事終わって、後は絵を描き放題だって思っていたのが間違いの元だったな。」

「でも、父さんが絵を描いてるところ見た事ないな。」

「当たり前だ。描いてねぇし。」

「まぁ、気が付いたら描かなくなってたって感じかね。そんなもんさ。」

 ふむん。と、なんとなく、ふんわりと納得する。

「なるほどね。それはそうと、目前の問題を解決しよう。」

「とりあえず、フライパンで焼くのが良いんじゃないか?」

「というか、それ以外の解決方法が思い浮かばないな。道具もないし。」

「じゃぁ、ご飯はチンする奴があるから、あとはキャベツの千切りを作って終了だな。」

「了解。」

 ビニール袋からキャベツを取り出して、ラップを剥がす。これは半分に切られた物で、見切り品らしく、切り口が少し黒ずみ始めている。というか、黒い。

 千切りがどういう物だったかイメージしてみる。キャベツを細く切った物…、だったはずだ。となると、葉っぱに対して平行に切っていけば良いんだ。

「じゃぁ、切るか。」

 そうやって切った千切りは、千切りと言うよりブツ切りといった感じの物だった。見た目が悪いからといって食べられないわけじゃない。

 切り散らかしてしまったそれを皿に盛り付けてからフライパンに油をひく。

 堅く粘度が高かった油が段々と柔らかくサラサラになっていく。フライパンを持つ手をスナップさせて油を全体に回す。

「じゃぁ、焼くか。」

 ゆっくりとフライパンの上に小アジを載せる。水ッ気が油に弾かれて音を立てる。人間、やれば出来るもんだ。

「おぉ、美味そうじゃないか。」

 後は適当に焼いて、ひっくり返すだけだ。この位は何とでもなるだろう。そこはかとなく良い匂いがしてきた。

「父さん。菜箸とって。」

「ちょっと待ってろ。」

 そう言って父さんは戸棚にしまっておいた菜箸を取ってくれた。

「あぁ、畜生…。」

「なにさ。」

「こんな風にたどたどしくも、二人で台所に立つのってさ。なんて言うか、お前が娘だったら、最高に楽しかったんだろうなぁって。」

「ははは、死ねよ。こんちくしょう。」

 菜箸を受け取って、アジをひっくり返す。返そうとするが、引っ付いていて離れない。おかしい。油は引いたはずなのに。仕方ないので強引に引きはがすことにする。横からゴイっと引きはがす。

 べり。

 実際にはそんな音はしていないが、頭の中ではそんな音がした。丁度、背骨を境にして、半身がべろりと剥がれた。勢い余って、残った半身が反対側に落ちる。さらに内臓までもがフライパンに落ちる。

「他の3匹も同じようになる様な気がするな…。」

 べり。

「あっ。」

 べり。

「あぁぁ!」

 べりり。

「父さん…。今日のメニューは小アジのフレークだ。」

 逆側も同じように引っ付いたので諦めてグチャグチャにしてから、宣言した。

「まぁ、仕方ないな。醤油でもかけたらなんとかなるだろう。」

 幸い、骨は綺麗にとれた。内臓にまみれたアジのフレークは少しグロテスクだけど、醤油で色をつけたら気にならなくなった。

 何でも簡単にできるともっちゃぁダメだなと反省したわけだ。

 苦い。


 そんなこんなで、食生活がほとんど改善しないまま、なんとか入学式を迎える事になった。目玉焼きという超簡単料理が発明されていなければ、我が家の食生活は惨憺たる物になっていただろうと思うとゾッとする。

 転校したてで知り合いがいない。

 入学式が終わるまで誰とも話す事がなく、体育館から自分たちの教室に移動している。

 ちなみに父さんは仕事でこれなかった。

 転勤して今が一番忙しい時期だろうし、率直に言って来てほしくもないので助かった。

 憂鬱なのは、この後のホームルームだ。絶対、自己紹介とかそう言った類いのものがあるはずだ。普通に考えて、

 ドコドコ中学から来た○○です。

みたいな自己紹介になると思う。

 そりゃ、近場の中学校からなら目立ちもしないだろうけど、わざわざ県の南端にある県庁所在地の町から引っ越してきたとなると、妙な勘ぐりをされかけない。


 となると、先に勘ぐられる様な事は言っておいた方が話が早いか?

 両親が離婚して、決まっていた高校を蹴って、父親にくっついてここに引っ越してきました。

 それはそれでめんどくさい事になりそうだ。

 じゃぁ、何処から来たとかいわない方がマシだな。適当に趣味の事でも話して出身校の事はお茶を濁す。

 これだ。


     ■


 教室に入った時に指定されていた席は、丁度真ん中位。前でもなければ後ろでもない。つまり、一番最初に自己紹介をさせられる事のない好位置だ。普段から善行を積んでいると良い事はあるもんだ。

 席に座って辺りを見渡すと、同じ中学校から来た奴ら同士で徒党を組んでいる。一人で席に座っているのはおそらくコミュ障か、同じ中学だった奴がいない奴ってところだろうか。

 少ししてチャイムが鳴ると、すぐに担任の先生がやって来てホームルームが始まった。

「初めまして、担任の山田千代といいます。入学おめでとうございます。皆さんは特進コースとして…、」

 山田先生の大まかな学校の説明と学業に対する釘刺しの後、案の定自己紹介となった。最初の何人かは内容に割とばらつきがあったけど、すぐに名前と出身中学とよろしくお願いします程度の挨拶に落ち着いた。自己紹介なんて知ってる奴は知っているし、現時点において一度に紹介されたところで覚えきれる物ではない。だから段々と作業的な感じになってきた。思い通りに事が流れいる時って言うのは中々楽しい気分になるものだ。

「次は…、吉岡高志君ね。君かぁ、某大附属から転校してきたのって。」

 こんな風に予期せぬ横やりを入られるまでは!

 

 ホームルームが終わって、クラスの一部の好奇の目を連中から質問攻めに遭う羽目になった。

 めんどくさい。

 胸を張って言える事ならこんな気分にならなかったんだろうが、なにせ引っ越してきた理由は両親の離婚というネガティブなものだし、母親ではなく父親に付いてきたというのも一般的に言うと「変」に思われる事だという事も知ってる。

 知り合いでもない人間に同情されたくはないし、そもそも同情されたくもない。さりとて漫画の主人公の様にムスッとして人間を拒絶するほど強くもない。適当にお茶を濁すにも、要らん事を言われたせいで難しくなった。嘘を言っても後々角が立ちそうなので、

「父が左遷される事になって、その上で自分には分からない両親の諍いの果てに離婚して、生活能力のない父親に付き添ってエスカレーター式の学校を対校して、引っ越してきた。」

と、要約して伝えたら

「以外と、重いんね。」

等と言われた。


     ■


 一体、何を期待していたんだろうか?

 ともかく、今日は午前中で終了なので、もう帰ろう。正直疲れた。

 途中、自販機コーナーに立ち寄る。

 中学校の頃は私立校だったので食堂と購買があったけれど、ここは公立高校で、しかも生徒数も少ないからか、自販機くらいしかない。

 自販機はパック、清涼飲料水の2台しかなかった。パンの自動販売機とかを期待していたが、当てが外れた。

 ショックと言うほどではないが、残念だな。

 とはいえ、今日は父さんに弁当代わりに貰った物がある。

 丁稚羊羹。

 カバンから取り出して、忘れてきていないか確認する。よし、ちゃんと持ってきている。

 大きさはスタンダードなタイプ。と言うか、他の大きさを知らない。丁度食べきれるサイズ。近場の和菓子屋さん作らしい。

 父さんが職場で貰ったそうだ。


 ジイサンの家にお盆に帰った時はいつも丁稚羊羹を食べさせて貰えた。

 店が違うので全く同じ物ではないのだが、丁稚羊羹は懐かしい感じのする食べ物に違いはない。とは言え、丁稚羊羹と言っても、近年では色々バリエーションがある。甘く煮詰めた栗が入っている物やザラメが入っている物……。値段もそれぞれだ。

 さて、ここで自然と問題になるのは丁稚羊羹に何を合わせるかだ。パックの自販機は、牛乳、コーヒー牛乳、ミルクティ。お茶。後は100%ジュース類。清涼飲料水はお茶、スポーツドリンク、炭酸系、缶コーヒー。

 消去法でいくと、スポーツドリンクと炭酸系、100%ジュースは除外。と、なると……。合いそうなのは、お茶、コーヒー、ミルクティ、缶コーヒー、牛乳、コーヒー牛乳。

 手元のお金は200円……。1本なら問題なく買えるが、2本目は買えない。最善を選ぶ必要がある。

 まず、主役である丁稚羊羹を引き立たせる選択をする必要がある。

 つまり、甘みのある飲み物は必然的に排除される。ミルクティーと、ブラック以外の缶コーヒー、コーヒー牛乳は排除。

 王道は、お茶。これに異論がある人はいないだろう。だけど、こう。ガツンとしたパンチがない。


 パンチ。


 それを求めるとしたら、牛乳とブラックの缶コーヒーになる。お茶ではちょっとお上品すぎるんだ。

 考えよう。

 自分が今何を求めているかを。

 今、僕は精神的に疲れている。

 そんな時には脳に糖分を補充させるのが良い。それは丁稚羊羹が担ってくれる。じゃぁ、飲み物はあっさり済ませるべきか。いや違う。ここはガツンと飲み物にも栄養を求めたい。でも、糖分過多だ。

 つまり、牛乳が正解だな。

「すいません。邪魔なんでどいてもらえますか?」

「うわっ、すいません。」

 長考中に背後から突然声をかけられて、思わず飛び退く。

「どうも。…、あなた。いつも悩んでるわね?」

 何処かであったかな?知り合いはまだここには一人もいないはずだけど…。

 そう思って、声をかけた人をみると、スカートの下にジャージズボン。

「あぁ、あんたはあん時のジャージ女!」

 そうだ。平和堂で青梗菜をかっさらっていったあのジャージ女がそこにいた。



挿絵(By みてみん)

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