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君がそれを望むなら…

作者: 蘇芳赤音

幸せのエトランティスと呼ばれる、大小様々な国の中でも一際大きい海に接した国がある。

百年近く戦争がなく、年ごとに豊かになっていくこの国は、他国からも羨まれそう呼ばれているのだ。


その国の王宮の一室にある、平民の給料1年分は軽く飛ぶであろうソファーに、あろうことかごろっと転がる少女の姿があった。


「エミリオ、なぜ貴方はエミリオなの?」

「その台詞はそんな格好でいっていいものじゃない。」

無遠慮に転がりながら問いかける少女に、こちらも行儀悪く机に肘をつき手に顎をのせ、じとりと少女を睨み付けた。

退屈なのはこちらも一緒だと、エミリオは溜め息をつく。

「ここは王宮だよ、シャルロッテ。もう少し令嬢っぽくしたら?」

嫌みったらしくいうエミリオに、シャルロッテは一瞬視線をむけたが、直ぐに視線を天井に戻した。

その様子をみていたエミリオは、再び溜め息を吐くと憮然とした口調で言った。

「言っとくけど君がシャルロッテ・アインハルト公爵令嬢である限り、エミリオ・エトランティスと婚約は当然なんだよ」


ここで結婚と言わなかったことを誉めてほしい…と誰へともなく心の中で呟く。

エミリオ・エトランティスと名乗った少年は、まだ5歳になったばかりの、現在のエトランティス王と皇后の嫡子である皇太子

だ。そして先ほどから拗ねるようにして、はしたなくもソファーに寝転んでいるのはシャルロッテ・アインハルト。エトランティス王国最大派閥であり、現国王の従兄弟であるエトランティス公爵の娘だ。

この二人には二人だけの秘密がある。5歳とは思えないほどの大人びた口調であるのだが、二人には前世の記憶がある。

そしてそれも、二人は幼馴染だった。

同じ小・中学までいき、はたまた同じ高校にいったのだ。

極めつけは同じバスケ部。

ここまで腐れ縁が続けば、本人にその気はなくても周囲から恋人として見られる。

否定するのも疲れるからとどちらから言い出したか、自然と二人は一緒に帰ることとなった。

だがある日の帰り道、信号を無視ししたトラックが二人を襲ったのだった。エミリオの前世である勇士は、シャルロッテの前世の詩織を庇ったのだが、守りきれず二人とも転生する始末。未だにシャルロッテに愚痴を言われている。

これでも王太子なんだがなあ…その態度はいいのだろうか。と思うこともあるが、後々面倒くさくなりそうだから言わない。

もし口を滑らせて言ったら、その可憐な唇から倍以上の嫌みが降ってくるだろう


シャルロッテにあったのはお互いが3歳のころ。

王宮内のバルコニーで3可憐な少女が両手を横に広げ、前世で有名な沈没した船の中でおこった悲恋の映画主題歌を鼻歌で歌っていたのを見かけた。

いま見かけたら全力で無視をするが、あの時は同じ世界を知ってることに嬉しくて話しかけてみた。すると驚いたことに幼馴染の詩織だったのだ。

親同士には仲良くなったのだと思ったのだろう、こうやって毎月王宮に参内すれば、エミリオの私室にシャルロッテが放り込まれたのだった。

「なにが気に入らないんだよ。」

「貴方が皇太子ってことがよ。」

「俺だって嫌だよ!なにが悲しくて重責を負う立場になんないといけないんだよ」

「5歳児のツラで重責なんて難しい言葉つかわないで!」

「仮にも公爵令嬢が、ツラなんて汚い言葉つかうなよ!」

「皇太子が自分のこと、俺っていわないで!余とか朕とかいって。」

「いうか!陛下すらそんな一人称使わない!」

意味の解らない言い合いで肩で息をするが、シャルロッテは未だに天井を向いたままだ。

昔と変わらない。

元々詩織には、なにか言いたいことがあったり、辛いことがあると必ず天井を見つめる癖があったのだ。

彼女の中で何か葛藤があるのだろう。そして不安か。


それは自分も同じ事。

国を背負うこと。

共に歩くこと。


本来ならそういう覚悟を決めれる歳ではないが、自分達の精神年齢はもうとっくに大人に近いとこにある。

もう既に立ち位置を決めないといけないことを、自分達は理解している。

その葛藤が幼い体で渦を巻いてるのだろう。

エミリオはシャルロッテの頭の方へ静かに回り込んだ。

「シャルロッテ、君が望むものをあげるよ」

静かな部屋に幼い少年の声が近くで響き、ようやくシャルロッテが視線を合わせる。

そして一拍をおいて声を出した。

「ハーレムがいいわ」

「…は?ハーレム?」

「そうよ、ハーレム。」

エミリオはいかぶしげに眉をひそめるも、彼女はさも名案のように目を輝かせる。


「私、悪役令嬢になってみたかったの」


…この令嬢は身を破滅させたいらしい。

エミリオはがっくしと頭を項垂れた。

だめだ、意味がわからない。やはりこいつを放逐したら、この国がおかしくなる。

失礼なことを考えているのを知ってか知らずか、シャルロッテは「あと…」と繋げた。


「私の近くにいてほしい」


エミリオは一瞬目を丸くするが、すぐ微笑みを浮かべて言った。




「君がそれを望むなら…」

はじめまして。

ここまで読んでいただき有難うございます。

文章が凄く稚拙で申し訳ありません…


この二人の物語は実は序章です。本編は頭の中にあるのですが…書き起こせたらいいなあ。

誰かリメイクしてー…と思ったりも(笑)

シャルロッテは実は残念悪役令嬢になる予定です(笑)


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