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第九話 リリス

ご飯と出会い

―第九話―


リリス。



戦艦ヴァ―ヴァリアン

ミラン・ウォーレンが、連合の英雄、ヴィシュート・イーストランドである。

このような噂がヴァ―ヴァリアン内に出回っていた。


「まさか、ボスが…? そのようなこと…」

マリアもその噂にショックを受けていた。

「何、ボケっと突っ立てるのよ?」

「テス…? すまない。」

「素直に謝るなんて… どうかしたの?」

「ボスの噂のことなんだが…」

「(たぶんあの時聞いてしまった者がいるのね…)あぁ、そのこと。」

「テスは何か知らないか?」

「さぁね。そんなに知りたいなら本人に聞けば?(ここは黙っておきますか。)」


ミランの部屋

「ボス、マリアです。お話があります。」

「入れ。」

「失礼します。単刀直入にお尋ねします。あなたは、ヴィシュート・イーストランドなのですか? 連合の人間だったのですか?」

「…あぁ。俺は昔連合にいた。きみたちに隠し事をしていたことを申し訳なく思っている。」

「そうですか… では戦争を起こした理由も嘘なのですか?」

「嘘ではない。俺は連合のやり方に疑問を感じていた。」

「わかりました。お時間取らせました。」

「いや、いずれは話さなければならなかったのだ。」


「私はこれからどうしたら…」

ミランからは謝罪されたが、隠し事をしていたという事実が重くのしかかる。彼なら何かやってくれる。そう信じていたマリアは支えを失ったかのように落ち込む。


十年前


「お父さん、お母さん、なんで私を置いていくの… なんで死んじゃったの…?」

マリアの両親は、十年前暴徒化した一部の連合軍の反乱に巻き込まれ死亡した。この反乱は後に、『ジオネル・フォードの反乱』と呼ばれることになる。ジオネル・フォードとは反乱の首謀者で、制圧と同時に自決した。鎮圧に向かったのは、レオンとヴィシュート。この鎮圧任務の際に二人は行方不明になる。


「やっと、終わった。 …あんなところに女の子?」

「ぐす、ひっぐ、嘘でしょ… 嫌よぉ… どうして、どうして…」

「お嬢ちゃん、ここにいては危ないよ? ご家族は?」

「うぅ、し、しんじゃ、たぁ…」

「巻き込まれてしまったのか… かわいそうに。俺は…ヴィシュート、いや、ミラン・ウォーレン。とにかくここから離れよう?」

「私は、マリア・レーヴィ。嫌! お父さんもお母さんも置いていけない!」

「ご両親は後でちゃんと弔いに来よう。さぁ、おいで。」


マリアとミランはこうして出会った。


現在


「ごめんなさい、ボス。今までありがとうございました。」


その日の夜、ヴァ―ヴァリアンから、一機のGAが飛び出した。ヴァルキリーである。

マリアは旅団を去る決意をした。



リズが戦場に再び現れ、旅団を撤退させた映像が、戦闘の数日後に連合内を駆け巡った。国民は鬼姫の姿にますます熱狂し、彼女の地位は以前にも増して安泰となってきた。


「お忍びのつもりが、自ら台無しにしてしまったな?」

「仕方ないじゃない。」

ジョーとリズが通信で会話している。

「もしかして最初からこのつもりだったとか?」

「ぎくっ。ま、まっさかぁ。ジョーったら面白いこと言うようになったじゃない。」

「はぁ、どうして目線をそらしたのかは聞かないことにしよう。」

「と、ところでいつ、私とリオにご飯おごってくれるのよ!?」

「あぁ、いつがいい?」

「そう? なら、明日はどう?」

「わかった、リオに言っておこう。じゃあまた明日な。」

「うふ、高いとこ予約しておくからぁ♪ じゃあね。」


「デートの約束ですか?」

「リオ、いたなら声くらいかけてくれよ。デートだなんて、この間のお礼だよ。リオ、君も一緒だ。」

「え? 私もいいんですか?」

「もちろんだ。むしろ君へのお礼のつもりだ。」

「じゃあ、お言葉に甘えて。」


翌日


「ふぅ、食べた食べた。」

「お母さんったら、もうちょっと上品に食べてよ。別に料理は逃げないんだから。」

「リズは昔っから食い意地を張ってるからな。」

「まぁ、それも魅力のうちでしょ?」

「自分で言うか。」

三人での楽しい食事を終え、歩いていると、


「あ、お姉さま。」

「へ?」

リオを姉と呼ぶ女の子が三人の前に現れた。

「初めまして、お姉さま。私、リリス・グランデです。」

「何が起こっているんだ?」

リリスと名乗る少女はリオと瓜二つ。まるで双子。

「お母さん、私に妹っていたの?」

「いいえ、私が産んだのはリオ、あなただけよ。」

まったく状況が飲み込めず、唖然とするだけの三人。

「そうです、私はリオお姉さまのクローンですから。」

「あぁ、クローンね。それで… なるほど…」

「しっかりしろ、リオ! クローンってどういうことなんだ!?」

「文字通りの意味です。あ、失礼、電話が。」


「リオのクローン? いったい誰がそんな…」

「申し訳ありません、皆様。お父様から帰ってこいと言われましたので、今日はこれで失礼します。」

「あなたのお父さんって?」

「ウィル・レメゲトンです。それでは。」


「行っちゃった…」

「ウィル・レメゲトンって確か…」

「えぇ、GAの生産を一手に担う『メモリアル・ピース社』の今の社長よ。人前には全く姿を見せないので、実在するかも怪しいと思われているけど…」

「その社長さんがなんで、私のクローンを?」


今ここに大きな転換点となる歯車が回り始めた。


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