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第七話  確信(核心)

白VS黒

―第七話―


確信(核心)。



旅団戦艦ヴァ―ヴァリアン


「テスよ。この間の件調べてくれた? …そう、やっぱり。いいえ、なんでもないわ。ありがとう、すっごく助かった。えぇ、もちろん覚えてるわよ。今度会った時は、あなたのこと、寝かさないわよ? うふふ… それじゃ。」

この間の男であろう、テスは再び電話をしていた。通話を終えると辺りを注意深く見渡す。

以前のように誰かに、特にマリアには聴かれたくなかったのだ。


「今回はいないようね。やっぱりあたしの予想は当たってたわぁ。アソシエイト旅団のトップ、ミラン・ウォーレンが、統一戦争を戦った英雄、ヴィシュート・イーストランドだとはねぇ… 作戦中にレオン・グランデとともに行方不明になってるとされた男が、まさか連合に牙を剥くとは。ロマンねぇ… ぞくぞくしちゃう。でも理由がわからないわ? ここはご本人に聞いてみるとしますか… うふふふふふ…」

邪悪な笑みを浮かべ去っていくテス。


数日後


連合戦艦ツヴァイ・レイボルト


「キャプテン、旅団を発見しました。」

「この間の借りを返してやろう。GAに発進準備を!」

「キャプテン。」

「リオ、勝つぞ。」

「はい! リオ・グランデ、リベルタ、出撃します!!」


ついに、真の『自由』へ。リオがふたたび戦場を駆け巡る。



「リオ・グランデ! 生きていたか! また会えて私は嬉しいぞ!!」

「マリア! あなたにはたっぷりと、お返しをしなくちゃね!!」

ぶつかり合う二機。

「ほぅ、貴様にも専用機が与えられたか! 以前より、パワーもスピードも桁違いだ。」

「随分と余裕ね? 痛い目見ても知らないわよ!!」

マリアのヴァルキリーと互角に渡り合うリオのリベルタ。

おそらく両者ともわかっているのだろう。お互いが好敵手だと。そして自分たち以外に互いのとどめを刺せる者がいないということを。


「それにしても、テス・ラーゲットはどうした?」

ジョーが疑問に思うのも仕方ない。テスは何よりも戦闘が大好きな女。このような状況なら真っ先に出てきて大暴れしていても不思議ではない。

「出てこないのならば、それに越したことはない! GAをつぎ込め! リベンジだ!」



ヴァ―ヴァリアン内


「ミラン、ちょっといいかしら?」

「テス? 戦闘には出ないのか?」 

「今日くらいはいいわ。あの堅物にでも任せておけば。」

「それで、話というのは?」

「ここではちょっと… あなたの部屋に行きましょ?」


ミランの部屋


「そうだ! 先にお礼言っておかなきゃ。ありがとう、あたしの専用機作ってくれて。」

「あぁ。多少時間はかかってしまったが。満足してくれたか?」

「えぇ。最高よ。」

「それで…」

「聞きたいことがあるの。」

「なんだ?」

「戦争を起こした理由よ。」

「前にも説明しただろう。連合の政策にはついていけない。そう考える者たちを集めて…」

「そんなのは表向きの理由でしょ? 本当の理由を知りたいの。ヴィシュート・イーストランドさん?」

「…どこまで知っている? 俺を脅すつもりか?」

「脅すなんて滅相もない。あたしが知っているのは… あなたが行方不明のはずの連合の英雄の一人だっていうことくらいかしら。」

「そんなに知りたいのなら話してやろう…」



ツヴァイ・レイボルト内


「キャプテン! グランデ評議会議員から通信が入っています!」

「リズ? どうしてこんな時に!? 俺の部屋に繋げ!」


ジョーの部屋


「リズ! 今は戦闘中だ! どうしたんだ?」

「ごめんなさい、ジョー。でも急いで知らせたほうがいいと思って…」

「?」

「ミラン・ウォーレンのことよ。」

「! もしかして…」

「そう。あなたの言った通り、ミラン・ウォーレンはヴィシュート・イーストランドと同一人物だと思われるわ。」

「一体何故あいつは連合を裏切って、戦争を…?」

「理由はわからない。でも、彼が首謀者なのは事実よ。」

「レオンのことは? 何かわかったのか?」

「いいえ。まだ何も…」

「そうか… で、どうしたらいいんだ? 俺は。」

「まだ、黙ってておきましょう? これは私たちだけの秘密。」

「リオには…」

「だめよ。」

「わかった…」

「そうだ。今度お忍びであなたたちの艦に遊びに行くから。よろしく。」

「は?」

「じゃあね。」

「いや、ちょっと待て! どういう… 切りやがった。とにかく今はこの戦闘に集中せねば。」


ヴァ―ヴァリアン内


「あたし、あなたに惚れ直したわ。最高よ、愛に生きた男。叶わぬ恋に人生をかけたなんて、壮大なロマンだわ! 決めた! あたし、死ぬまであなたについていくわ!」

「そうか…」

「この気持ち、何かにぶつけたい! 早速アヴィスでひと暴れしてくるわね!!」

「行ってこい…」



「はぁ、ぞくぞくが止まらない… テス・ラーゲット、アヴィス、出るわよ!」



その頃戦闘区域では、リオとマリアが激しい戦闘を繰り広げる中、両軍とも押しつ押さ烈の展開で、膠着状態であった。


「あら? マリアとリオ、随分とお楽しみのようね?」

テスが二人に突っ込んでくる。

「くっ、新手?」

「テス! 今日も邪魔をするのか!」

「二人がいちゃいちゃしてるのを黙って見てるなんてできないわ!」

「テスにも専用機が!?」

「いちゃついてなどいない!」

「楽しみましょ!」


リオ、マリア、テスの三つ巴になり、戦闘がさらに激しくなっていく。


だが、三人以外には疲弊感が漂ってきていた。

「キャプテン、双方とも被害は大きくなっています。」

「そうだな。引き揚げさせろ!」


「お仲間がどんどん帰っていくわよ?」

「あんたたちのもね!」

「邪魔者は完全にいなくなったな。」


「リオ! 引き揚げろ!」

「マリア、テス、引け!!」


両指揮官の命令が響く。


「お預けね。」

「あんたたち、命拾いしたわね。」

「致し方ない。」


それぞれ帰艦する三機。


「リオ、ご苦労だった。」

「いえ、あいつら落とせませんでした。」

「いいんだ。怪我はないか?」

「はい。」

「よかった。実は、大変なことが起こった。」

「大変なこと?」

「リズが、お忍びでこの艦に来ると言い出した。」

「ええええ!!」


戦況を大きく揺るがす重大な事実が両戦艦内に知られはじめた頃、ツヴァイ・レイボルトでは、それとは別に騒動が起きることになる。


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