エピローグ
―おまけ―
ツヴァイ・レイボルト
「よいしょっと。」
「リオ、何故荷物をまとめているんだ?」
「え? 戦争も終わったし、この艦から降りようと思って。」
「退役するのか…?」
「しないわよ?」
「なら、なおさらなんで?」
「出撃するようなことは、もう起こらないでしょ。だから家に帰るの。必要な時に呼ばれて行けばいいかなって思ってね。」
「そ、そうか。」
「マリア、私と一緒に住まない?」
「ふぇ!?」
「まだ住む家とか見つかってないんでしょ? ならいっそのこと同棲しちゃおうよ。私の家、部屋余ってるし。一人で住むには持て余しちゃうのよ。」
「う、そうか…」
「それに私って、か弱いしー?」
「部屋が余ってるから、優しい優しいリオは私に部屋を恵んでくれるのか。」
「ちょっと、そんな言い方…」
「そうなんだろ?」
「…違う。ほんとは寂しいから… 一緒にこの戦争を戦い抜いたマリアと離れたくない… 気を悪くしたなら謝るわ。ごめんなさい…」
「ううん、いいんだ。私もその提案はすごくうれしい。だからちょっと意地悪してみたくなってしまった。ごめんな、リオ。」
「むー、そんな意地悪するマリアは、罰として私と一緒に住むこと!! わかった?」
「それじゃ、罰じゃなくてご褒美になるぞ?」
「なんでもいいわ! ほら、さっさと荷物まとめる!」
「い、今すぐか!?」
「善は急げよ!」
数時間後
「それじゃ、キャプテン! なんかあったら呼んでください!」
「そんなに引っ張るなって! それでは、また近いうちに。」
「あぁ、気を付けてな。ああいう慌ただしいところもレオンそっくりだ。近いうちにって、これからは毎日ではないにしろ、書類仕事とかがあるから、頻繁に会うことになるんだが。まぁ、いいか。」
「なぁ、リオ。グランデ議員も一緒に住んでるのか?」
「一緒には住んでないけど、近くにはいるから時々遊びに行ったり来たりしてるわね。今日も来るみたいなこと言ってたし。てか仕事大丈夫なのかな?」
「そ、そうか…」
「もしかしてお母さんに苦手意識持っちゃってる?」
「う、苦手というか、怖いというか…」
「まぁ、初対面の時にあんだけ威嚇されたらねぇ。でも大丈夫よ、こないだなんか『なんだか娘がもう一人増えたみたい!』とか言ってたから。試しに『お母さん』とでも呼んでみれば?」
「『お、お義母さん!?』」
「何意識してるのよ… ほら、そろそろ着くわよ。」
「ただいまー。って誰もいないんだけどね。」
「お、お邪魔します…」
「だめ!」
「へ?」
「ここは今日からマリアの家でもあるの。だから言うべきことは?」
「ただいま…?」
「よくできました!」
「じゃあ、改めて…」
「「ただいま。」」
「部屋はここでいい?」
「あぁ。私はどこでも構わないぞ。」
「色々買うものがあるわね。ベッドとか。まぁ、布団はあるから今日はそれで…」
「あ、あの…」
「どうかした?」
「今日は、その…リオの部屋で、寝たいな…」
「もう、甘えん坊のマリアは仕方ないわねー。私が可愛いからって、襲っちゃダメよ?」
「ど、努力する…」
「いや、冗談で言ったんだけど…」
ピンポーン
「きっとお母さんね。はーい。」
「お帰りー リオー!」
「ただいまー!!」
「こ、こんにちは…」
「あら、マリアちゃん。いらっしゃい。」
「お母さん、マリアもこの家に住むことになったから。」
「同棲? マリアちゃん、不束者ですが、リオをよろしく。」
「い、いえ、こちらこそよろしく…?」
「ほら、マリア。今よ。」
「うぅ…」
「どうかしたの?」
「お、お義母さん…と呼ばせてください。」
「…もちろんいいわよ! マリアちゃんも私の娘よ!!」
「のわっ! く、苦しいです!」
「よかったわね。にしても、私もお母さんくらいの胸の大きさになるわよね…?」
「大丈夫、だと思うけど…」
「希望は捨てちゃいけないぞ。」
「うー、憐みと慈愛に満ちた視線はやめてー!!」
「グロリアス・アーマー戦記」-アソシエイト戦争 編ー
これにて完結です。
続編の「グロリアス・アーマー戦記」-エデンガルド戦争 編ー
もよろしくお願いします。




