第一話 始動。
シリーズ物のつもりです。
―第一話―
始動。
西暦20XX年、人類はその生活圏を宇宙にまで広げた。
2050年代に火星への移住民たちが落ち着いたころ、国際連合は「地球連合」と名前を変え、地球と火星に住む人々の安全のために尽力することになった。
これまでの西暦も、Space Age(S.A.)と名称を変更し、地球では西暦と併用、宇宙ではS.A.を使用することにしたのである。
だが、地球連合への発展・統合を望まない者たちがいたのも事実であり、S.A.30年から、地球連合軍は、反対勢力と戦争を始めてしまった。「地球連合統一戦争」である。
人類は、過去の大戦や、さまざまな争いを忘れたかのように、悲劇を繰り返しているのである。
人類は戦火の中、最新兵器を造りだした。地球でも宇宙でも活動できる巨大な人型のロボットと言ったほうが早いだろう。地球連合も反対勢力も、こぞってこの新兵器の技術を求めた。グロリアス・アーマー(GA)を開発した「メモリアル・ピース社」は、両陣営に技術を提供している。
「地球連合統一戦争」後、反対勢力はほとんどいなくなったが、一部は、「アソシエイト旅団」と名乗り、反抗を続けている。「アソシエイト旅団」は、地球連合の統合政策を嫌い、自分たちの生活圏を求め、世界中を転々としながら生活している者たちだったが、S.A.51年に、地球連合に宣戦布告。これにより、「アソシエイト戦争」が勃発した。
ー地球連合軍 基地内
「キャプテン! キャプテン!」
自分を呼ぶ声にはっと気づく。
「ツヴァイ・レイボルト、補給、整備ともに完了しました。いつでも発進できます。」
部下がそう報告してきた。
そう呼ばれた、彼の名前は、ジョー・カタオカ。地球連合軍第二艦隊司令官で、戦艦ツヴァイ・レイボルトの艦長でもある。
「わかった。一時間後に出発する。」
彼は部下にそう告げる。基地で補給を終えると同時に、数人の、軍の学校を卒業したばかりの者たちも乗り込ませた。自ら直接会い、選んだのだ。その中の一人、
「リオ・S・グランデ、まさかあんなに小さかった女の子が、GAのパイロットになるとは。」
リオ・S・グランデ。地球連合統一戦争を終結に導いた英雄、レオン・R・グランデの娘。ちなみにそのレオンはジョーの同僚でもあり、親友だ。リオのことは小さい時から知っているし、彼女は彼のことを、ジョーおじさんと呼び、なついていた。そのリオが今、部下としてこの艦に乗るのだ。ドアがノックされる。
「リオ・S・グランデです。」
「入れ。」
入ってきた彼女は、緊張した面持ちながらも、ともに仕事ができる喜びに満ちた表情だった。
「ジョーおじさん!」
いきなり抱きついてきた。
「おいおい、リオ、ここではジョーキャプテンと呼べ。」
この艦では上司と部下なのだが、ついつい笑顔になってしまう。
「いいか、リオ。君がいくらレオンの娘だからといっても、ひいきはしないからな。」
「はい、わかっています。キャプテン。」
「この艦に乗っている者たちは皆ファミリーだ。誰ひとりとして失いたくない。君も命は大事にしてくれ。」
「ありがとうございます。」
「よし、それでは出発しよう。」
艦のメインコックピットに向かうと、彼は船員に命令を下した。
「ツヴァイ・レイボルト、発進!!」
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