運命に対して
巡るように
貴女は呟く。
「どうか私を返して」
巡るように
僕は呟く。
「それはできないよ」
僕は君の来世で
君は僕の前世だもの。
どれだけ泣いたとしても
君の人生はおしまいで
僕の人生に
バトンタッチされたんだ。
だからどうか
だからどうか
その涙を拭いてくれないかな。
君が不遇に生きたのは
何故だか僕は知っている。
貴女が何故だか
僕の中にいるのもしっているよ。
でもね
でもね
今は僕の人生なんだ
「私をかえして」
って言われてもどうしようもできないじゃないか。
僕は君と同じように泣いてあげることしか
できないんだよ。
だからね
だからね
どうか泣きやんでおくれ。
僕は僕で生きてるのだから
貴女の生は
死という形で帰結しているのだから
どうかどうか
諦めておくれ
僕は君になりかわることなど
できはしないのだから
だから立ちあがり
どうかどうか
そのまま僕の意識の底で
沈んでおくれ
悲しみの記憶を
君の分まで楽しく生きて
変化させていくから。