乙女ゲームに閉じ込められました。〜二日目〜
わたしがVR乙女ゲーム『あやし、あやかし』の中から出られなくなってから今日で二日目。
わたしの朝はあやかし達の賑やかな声から始まった。
――ちいひめさま、おきた?
――まだーっ
――はやくおきないかなーっ
ぱたぱたと走り回る音や楽しげな子供の笑い声に、眠っていたわたしは強制的に起こされた。
「うーん、うるさいなぁ……何の音?」
目を擦りながら布団から起き上がると、ふすまが少し開いている。そこからこちらをじっと伺っている小さな存在が居た。
子供……じゃない。
「あやかし……?」
おかっぱ頭で赤い着物を着た女の子は、わたしと目が合うと恥ずかしそうに微笑み、ぱっと姿を消してしまった。同時に、あれほど騒がしかった家の中も静かになる。え? なんなの?
時計を見ると、いつもより一時間も早い。二度寝しようとしたところで気が付いた。
「……ここ、ゲームの中だよね」
やっぱりログアウト出来ていない……いやいや、今は落ち込むのは止めておこう。問題は、登校にかかる時間だ。
普段なら、朝のシーンが終わるとすぐに黄昏学園に飛ぶ。一瞬辺りが白くなって、気付いたら学園にいるのだけど、今は出来ないと思う。
「……昨日、帰ってくるのにどれくらいかかってたっけ」
思い出そうとしても、怒りにまかせて走ったことしか思い出せない。しかし、結構長い間走った気もする。
……念のため、早めに出た方が良さそう。
そう結論づけて、わたしは渋々お布団から身体を起こした。
「おはようさん。今日は早いね」
「おはよう、おばあちゃん。うん、なんだかあやかしがうるさくて……」
「そうだね、今日は皆賑やかだ。自分達の姿を見てもらえるんで浮かれているんだろうさ」
小さなあやかし達が浮かれているのは、なんとなく感じる。こうして朝食をとっていても、ちらちらと覗き見している子達がいるしね。
でも、こうも見られまくりだと気になって落ち着かないなあ。なんか珍種の動物になったみたい。
「ああ、そうだ。これ、忘れないうちに渡しとくよ」
わたしがお味噌汁をすすりながらあやかし達の視線についてあれこれ考えていると、突然祖母が何かを差し出してきた。
「星の……ネックレス?」
小さな星形のペンダントトップがついた、シンプルなネックレスだ。金の星には真ん中に赤い玉がはめ込まれている。ルビー……な、わけないし。色硝子かな?
「御守りだよ。念のためだけど、肌身離さず持っておきな」
「御守り? なんで?」
「なんででもだよ」
わたしは疑問に思いながらも取り敢えずつけておいた。
今日もこのゲーム『あやし、あやかし』は今まで見た事の無い展開ばかりである。
*****
朝早くに登校して、それが失敗だった事に気が付いたのは、人気の無い下駄箱でだった。
のんびりと登校し、たまには早めに来るのも悪くないな、と考えていたわたしは、下駄箱の前まで来て立ち止まった。
そこには、見覚えのある男子生徒が居た。
さらさらの黒髪の、線の細い美少年。立ち尽くすわたしに気付き、靴を履き変えていた彼は微笑みを浮かべる。
「あれ? 転校生の……確か、相沢さん、だよね。おはよう、早いんだね」
「お、はよう……東くん」
そう。そこに居たのは、攻略対象である同じクラスの東 陽太郎くんだった。
「相沢さんはいつもこんなに早いの?」
「う、ううん。今日はたまたま……」
わたしは東くんと一緒に二階に向かって歩いていた。なんとか理由をつけて先に行くか遅れて行くかしたかったんだけど、咄嗟に何も思いつかなかったのだ……
「そっか。でも、朝早いと空気が澄んでいて気持ちいいよね。相沢さんもそう思わない?」
「う、うん。そうだね」
「だよね」
にこり、と穏やかに微笑む東くん。彼はいつもは優しくで温厚で、ちょっと繊細だけど、その分周りに気を遣えるいい人だ。
しかし、今のわたしは知っている。
彼が本当はちょっとした事が原因で暴走し、仲のいい同級生を殺害してしまう程の悩みとストレスがある事を……!
「相沢さん。転校してきたばっかりで、なにか困った事はない? 僕に出来る事なら手助けするよ」
「え、いやー、特にないかなあ」
優しく気遣われても、脳内に流れるのはタイムリミットを感じる例のあの曲。気分は常に綱渡りの状態。
やめて、もうわたしの精神値はゼロよ!
わたしはドキドキと嫌な方向に胸を高鳴らせながら、表面上はごく普通に会話をして、教室にたどり着いた。
「それじゃあ、また後で」「う、うん。東くんはどこに?」
鞄を机に置き、東くんは楽譜を手にしている。これから彼は、音楽室にピアノを弾きに行くのだろう。確か、彼のルートでそんな事を口にしていた。
もちろん、今のわたしが知っているはずがないので、わざと尋ねたのだ。……棒読みになってしまったけど。
「うん、ちょっと音楽室にね。時々、ピアノを弾かせてもらっているんだ」
「そっか。……ピアノ好きなんだね」
彼のルートでは、ここで二つの選択肢があった。
一つは、ピアノを聞きたい、とねだるもの。もう一つは、努力家だね、と褒めるもの。
ピアノが聞きたいとねだれば音楽室に一緒に行くことが出来て、ピアノを弾く東くんのスチル(一枚絵)も見ることが出来た。
今回は間違ってもルートに入りたくないから、あえてどちらも選ばずに、無難な言葉を返した、のだけど。
「……そう、だね」
何故か東くんは何かに気付いたかのように目を瞬き、照れた笑みを浮かべた。
「うん、好き……だな。最近はどうかわからなかった、けど。……やっぱり、好きなんだろうな」
「え、と」
「相沢さん」
「う、うん?」
「ありがとう。――じゃあ、また後で」
にっこりと、今まで見たことないくらいの笑顔を向けられて、わたしは固まる。
ぴこりーん、と。好意度が上がった時の音楽が聞こえた気がした。
*****
朝のやりとりのせいか、東くんはわたしに友好的になってしまった。
にこやかに話しかけられそうになり、急遽「お腹いたい! トイレ!!」という女としてそれってどうなの、な言い訳で回避。しかし敵(東くん)は諦めることなく、休み時間の度にわたしに話しかけようとする。
なので他の休み時間は全てトイレに籠もり、昼休みの今は中庭へ避難してきたのだけど……
「ふあぁあ、可愛い! 可愛いすぎる!!」
ものすごく可愛い猫を発見してしまったのだ!
ふわふわとしていてしかも艶のある黒の毛並み! ちょっと丸顔で愛らしく、なのにクールな目付き!
警戒心の強い子らしく、少し離れた場所からわたしをちらちらと見ているのだけど、そんなところもかーわーいーいー!!
なにを隠そう、わたしは重度の猫スキーなのだ!!
「お、おいでー、おいでー! 撫でさせてー!」
なりふり構わず突撃したいところをぐっと堪えて、出来るだけ穏やかな声で呼び掛ける。小動物相手に大きな音や突発的な行動は厳禁。驚いて、逃げられちゃうからね。
しかし、猫はこちらを伺うだけで近づいてきてはくれない。うーん、なにか食べ物でも持ってたらなあ。
だけど諦められずどうしたものかと悩んでいたら、おずおずとした気弱そうな声が聞こえた。
「あ、あの……その、ちょっといいですか……?」
「え?」
はて、わたしに話し掛けてるのかな、と振り返り、わたしは彫像のように固まった。
ふわりとした柔らかそうな水色の髪に、ぱっちりとした二重の碧の瞳。少女と間違えそうな華奢な美少年がそこに居た。……長尾 甲斐くん。攻略対象の一人、ろくろっ首のあやかしである。
うわあああ、なんでここに居るの!?
わたしは固まったまま、心の中で叫んだ。長尾くんは、読書家なのでほとんどの時間、図書室に居るはずなのに。
「その、いきなり話し掛けて、すみません。……みぃが、居たので」
「みぃ? あ、もしかして、この子?」
「は、はい」
長尾くんは、猫を見て頬を緩める。緊張で強ばっていた顔が花のように綻び、一瞬見惚れてしまった。
はっ、いけないいけない。
「そ、そっか。じゃあ、わたしはもう行くね!」
「え。あ、あの!」
攻略対象と仲良くなんてしない!
わたしがそそくさと立ち去りかけると、慌てたように長尾くんは手に持っていた袋を示した。
「い、今からみぃにご飯あげるんです! その、煮干しとかもあるし……一緒にあげませんか!?」
ぴたりと。わたしの足は止まってしまった。
結局、わたしは迷ったあげく長尾くんの申し出に頷いてしまった。うう……みぃが可愛いすぎるのがいけないんだ。
「うわー可愛いー可愛いー。あ、もう満腹なのかな? あー、可愛いー」
「可愛いですよね! 可愛いだけじゃなく、なんていうか……癒されますよね?」
「癒されるよね! 疲れた時はアニマルセラピーだよね!」
「ですよね!」
あまりのみぃの可愛いさに、つい盛り上がってしまったけど。いや、これは不味い。なにやってんの、わたし。
「えっと、わたしそろそろ……!?」
僅かに正気に返ったわたしは、今更ながら立ち去るために長尾くんに声をかけようとした。しかし、それは途中でとまる。
「みぃ、もうお腹いっぱい? あはは、くすぐったいよー」
猫のみぃと戯れる長尾くん。その、長尾くんの頭が……頭の位置が、おかしい。
地面に寝転がっているみぃの近くで微笑んでいる、のだけど。身体は普通に座ったままという……ぶっちゃけると、首、伸びてる。
……ホラーだ。
長尾くんがろくろっ首のあやかしだとはわかっていた。綺麗な首に執着があることも、首が伸びることも。
……でも、伸びているところを見たのは、初めてである。正直に言うと。
怖 す ぎ る。
恐怖以外のなにものでもない。
長尾くんは綺麗な顔をしている。けれど、だからこそ怖い。なんか、リアル怪談がすぐ側にある感じで。
恐怖で固まっていると、長尾くんはハッとしたように首を戻し、わたしを見た。
わたしはすぐさま目を逸らし、見なかったふりをする。見てないよーわたしはたまたま煮干しの袋を片付けようとしてましたよーと心で念じていると、長尾くんはほっとした顔をした。
……うん、素直なのが長尾くんのいいところだよね。
「あの。わたし、そろそろ行くね」
残った煮干しやキャットフードを袋に片付けてからそう切り出すと、長尾くんは少し残念そうにそうですか、と頷いた。
「あの、僕、一年の長尾甲斐っていいます。先輩は、二年生ですよね」
「うん。二年の……相沢美月っていうの」
「相沢先輩……」
大事な飴玉を口の中で転がすように長尾くんはわたしの名前を繰り返して、それから、はにかみながら告げた。
「今日は、ちょっと強引に誘ってしまってすみませんでした。僕も、その。最初みぃに会った時、先輩みたいに一目惚れで。何か持っていたらあげるのになーって考えたんです。だから、なんだか先輩のこと自分のように思えて……って、失礼ですよね! すみません!」
「い、いやいや。それくらいで失礼に感じたりしないよ? それに、誘ってもらえたからみぃと遊べたし……むしろ、ありがとう、かな」
「本当ですか?」
「う、うん……」
まあ、いろいろと失敗したなあとは思っているけど、一応本当だ。みぃ、可愛いかったし。
わたしが頷いてみせると、長尾くんは嬉しそうに笑った。
「良かった……そう言ってもらえたら、嬉しいです。相沢先輩って、優しいですね」
「え。いや! 普通だよ!」
「優しいです。……また来てくださいね、相沢先輩」
恥ずかしそうに微笑む長尾くんを見ながら、わたしはまた、ぴこりーん、と例の音楽が聞こえた気がした。
*****
なんだか昨日に引き続き失敗ばかりしている気がするけど、きっと気のせいだろう。そう信じたい。
教室に戻る前にトイレに寄って手を洗っていると、するりと首からネックレスが落ちてきた。
よく見ると、鎖の一部が壊れちゃってる。
「うーん。これなら直せるよね。家に帰ってからやってみよう」
おばあちゃんにペンチがあるか聞いてからかな。
ネックレスをスカートのポケットにしまい、代わりに取り出したハンカチで手を拭きながら廊下に出た。
「え?」
「うわっ」
衝撃と痛み、視界がぐらりと斜めになり、お尻から痛みが走る。
……どうやら、わたしがいきなりトイレから出てきたせいで誰かとぶつかってしまい、廊下にしりもちをついてしまったようだ。
「痛たた……あの、すみません。大丈夫ですか?」
ぶつかった相手は教材を運ぶ途中だったのか、辺りにはプリントが錯乱していて、相手の男子生徒は段ボールを抱えたまましゃかみこんでいる。
「……ああ」
わたしが声をかけると、相手の男子生徒が顔を上げた。
そろそろこんな展開に慣れてきたわたしは、内心でやっぱりな、と呟いた。その顔に、またしても見覚えがある。
緩いウェーブのかかった亜麻色の髪。意志の強そうな目をした、凛々しい美青年。攻略対象の一人、西園寺 透だった。
「だが、どこを見ているんだ? 前方不注意だぞ……つっ!」
西園寺くんはわたしを睨み付けながら段ボールを持ち上げようとして、顔を歪めた。
「だ、大丈夫?」
「うるさい、近寄るな。……軽く手首を捻っただけだ」
西園寺くんは女嫌いという設定だ。できればわたしも関わりたくない。
だけど、わたしを威嚇するように睨み付ける西園寺くんの右の手首が腫れているのを見て、わたしは慌てて彼が抱えている段ボールへと手を伸ばした。
「ご、ごめん! わたしが前見てなかったから……これ、代わりに運ぶね!」
「無理だ、それには教材の資料が入っている。女になんて運べな……い?」
「……え?」
段ボールにはいろいろな本やレポートが入っていた。重い事は十分予想出来たし、気合いでなんとかする気だった。しかし、予想に反して段ボールは軽々と持ち上がり、わたしと西園寺くんはお互いに丸くなった目を見合わせる。
「……ずいぶんと怪力、いや、ごほん。力持ち……いや、その。た、頼りになる女だな」
「アハハ……」
……なにこれ。なんでわたし、いきなり怪力キャラになってんの。さっきまで特になにも……
その時、ふと思い出したのはポケットに入れた星のネックレスだ。
ひょっとして。あのネックレスはこの怪力を抑える物、とか?
「……おい、どうした?」
ぼんやり考えていたら、怪訝げに問いかけられた。この怪力の事は、今は一旦置いておこう。
「う、ううん。それより、プリントを拾って、早く運ぼう。その手首、診てもらわなくちゃ」
「む、そうだな……仕方ない、か。……2‐Bまで頼む」
「うん、任せて」
さすがに今回は、攻略対象に関わるのが嫌だ、とは言ってられないよね。わたしと西園寺はプリントを拾い集め、西園寺くんがプリントを、わたしが段ボールを持って2‐Bの教室に運んだ。
……通りすがる人がわたしの持っている段ボールを見て驚いた顔をするのが地味に痛かったです。
「……ここに置いてくれ」
段ボールとプリントを教壇に乗せ、わたしは西園寺くんの手首を見た。
「その手首、早いとこ保健室に行った方がいいよ。さっきより腫れてきてるみたい」
「ああ、そうだな」
本当ならここは一緒についていくべきなのかも知れないけど、保健室にはヤツがいるからね。まだどんな顔をして会ったらいいかわかんないし、行くのは回避しよう。
「じゃあ、わたしはこれで」
「ちょっと待ってくれ」
さりげなく去ろうとしたわたしは西園寺くんの真剣な声音に思わず足を止めた。
ううっ、この声! 実は、西園寺くんの声って、わたしが一番好きな声優さんなんだよね。だから何度失敗しても攻略しようとしたし。
今回もうっかり聞き惚れかけないように頑張っていたのに……去ろうとしたとたん、ちょっと低めの真剣な声で引き止めるなんて、卑怯だ!
「お前は確か、隣のクラスだったな。東と同じ、Aクラスだろう?」
「……はい、そうです」
「なんで敬語なんだ。まあ、いい。俺は西園寺 透だ。お前は?」
「……相沢美月、だよ」
「相沢か……」
西園寺くんはふっと表情を和らげて、優しい微笑みを浮かべた。
「お前のような女もいるんだな。……ありがとう、助かった。また会おう」
うわー、なんかいきなりデレたー!?
「……いえ、お気になさらずに」
西園寺くんが軟化した事に驚き、わたしは表面には出さずに混乱した。
たったこれだけの事でデレるなんてチョロイよ! 西園寺くんなんでそんなにチョロくなってんの!?
「だから、なんで敬語なんだ」
可笑しそうに笑う西園寺くんの笑顔を見ながら、またぴこりーんと聞こえた気がしたけど、それどころじゃない。
西園寺くん、チョロすぎだよーっ!!
*****
その後、怪力のせいでいろいろとごまかさないといけない事が次々おこり、わたしは今日も走って帰った。
「おばあちゃんおばあちゃん、あのね!」
「おや、お帰り」
「ただいまー、じゃなくて! これ、なんなの!?」
家に入ってすぐに居間で寛いでいた祖母に詰め寄り、星のネックレスを見せると、祖母はおや、と眉を上げた。
「鎖が壊れてるね。古い物だからねえ。納屋に工具箱があるからとっといで」
「はーい。……じゃなくて! あのね、おばあちゃん。わたし、怪力になっているみたいなの!」
「へえ。あんたはそっちなのかい」
「え?」
「あんたの父親とはちょっと違ったんだね」
「え、どういう事?」
祖母は口の端を引き上げるように笑い、わたしを見た。その目が血のように赤い事に気づき、わたしは息を呑む。
「なに、簡単な話さ。あんたは私の力を受け継いだ。そのあやかしの力が開花したんだよ。私の“鬼”の力がね」
「鬼……」
祖母は自分の頭を示す。綺麗に結い上げられた白髪の頂きには、二本の角が見えていた。
「じ、じゃあ、わたしはこれからもずっと怪力なの?」
「そうさね。自分の力をコントロール出来るようになるまでは、そうだろうね」
「そんなあ……」
たとえゲームの中とはいえ、怪力なんて嫌すぎる……
呆然としていると、祖母は着物の袖で口元を隠してけらけらと笑った。
「なんて顔をしてんだい。だから御守りを渡したんじゃないか。鎖を直して、きちんと身につけときな。あんたの怪力を抑えてくれるはずだよ」
「え、これ? ……ああ、やっぱり。だからこれをつけている間は何もなかったんだ!」
ネックレスに秘められた力を知り、わたしは安堵の息を吐いた。良かったー。これで、机を軽く叩いたらひびが入った、とかのギャグみたいな失敗が無くなるよ。
「ただ、その御守りの力が薄れるまでに、力をコントロール出来なければ、ちょっと厄介な事になるんだけどね……」
「……え?」
「いや、なんでもないよ。……今はね」
謎めいた祖母の呟きが胸をざわめかせる。だけど、祖母はそれ以上詳しい事は話してくれず、わたしはぎゅっと星のネックレスを握りしめ不安を紛らわせた。
こうして、VR乙女ゲーム『あやし、あやかし』に閉じ込められたわたしの二日目は過ぎていったのだった。




