【四日目】
書く度に睡眠時間が減っていく……
ああ失礼しました、私情です。
はっと目が覚める。今日も、堕天使に起こされる事は無かった。ひょっとしたら本当に下界に堕ちたかなーと思いつつ、探すためドアを開けると……。
ぎゃあああああ! 思わず叫んでしまった。いやしかし、これは不可抗力だ! ドアを開ければ目の前にうつ向いた堕天使が立っているなんてホラーにも程があるじゃないか! しかもだよ、俺……私が叫んだから堕天使は弾かれたように顔を上げた。その目の下のくまの濃さ……それに、如何にも天使なウェーブのかかった髪が額に貼り付いている。これ完璧ホラーだよね。親しい人が、無言でホラーゲームをやったりホラー映画を観ていたのはぼんやりと憶えているけど、それ相応の心構えなしでも叫ばずにいられるものか。少なくとも私にはそんな事はできない。
事情を訊いてみると、昨日は大統神に近況報告をして仕事を始める許可を貰ったり、手続きに使う書類に必要事項を書いたり捺印したりと、徹夜で頑張ったらしい。だからといって私の部屋の前で立ち寝するなんてよして欲しいが。とにかく頑張った、堕天使はそればかりを私に主張してきた。無論、その右手で吹っ飛ばされたくないので私はコクコクと機械的に首を動かして難を逃れる。
それが終わったのを見計らって、(祈りを捧げるかわい子ちゃんの為に)とりあえず本題に移ってくれませんかと請願する。
本題は実に薄っぺらいものだった。『あなたは明日から仕事が出来ますか?』ただそれだけ。聞けば、仕事は天界に本当に慣れてからするものなので、念のため大統神に始めていいか確認と許可をとる必要があるらしい。
勿論私は、かわいいメガネ修道女ちゃんの為に『勿論!』と即答した。