ロマンチシズム
ポプラ並木
ポプラ並木が続いている
はるか先まで続いている
ゆたかに斜陽も射している
地面は枯れ枝、枯れ葉で溢れ
自然が絨毯敷いている
静かに過ぎ去った幾歳月
幾人もの行人がここを通り
何処かへと向かった
誰も戻っては来なかった
今日は赤い狐が一匹
夕陽のさまようポプラ並木の中をさすらい
いそいそと、今宵のあてを探している
のすたるじあ
向日葵一本在りまして
夏風ひらりと吹きました
振り子のようにゆらゆらと
ゆらゆらと揺れて
大きな緑の葉の幾ひらが
私の頬に触れました
外は真夏の暑さです
お天の太陽と地の太陽が
両つながらに照りつけて
眩いほどの暑さです
目深にかぶった麦藁帽の
小さな小さなすき間から
光の線が洩れ出でて
お地にぽつぽつ差しています
つかの間できた陽かげを求め
豆粒大の団子虫が
よそよそと這ってやって来ました
陽なたは随分暑いでしょう
しばらく此処でお休みなさい
お天道様のお隠れになるまで
あなたのお側に居てあげます
無明
何処か遠くで
ぽたぽた ぽたぽた
水の滴る音がする
ひっきり無しに聞こえてくる
高まるともなく低まるともなく
一つの響きにひびいている
ぽたぽた ぽたぽた
そうしてその間 私は私の聲を聞く
私を呼ぶくぐもった聲
蜘蛛の糸のように細いが
執拗くからみ付いてくる
分からない どうして私なのか
何によって 何のために 何処から
私を呼んでいるのか
あなたは一体 誰ですか
ずっと此方に背を向けて
私の聲音で 私を呼ぶ
遠くでは かすかな音で
水が滴り落ちている
ぽたぽた ぽたぽた
ぽたぽた ぽたぽた
逍遙
冴えた暮色の中を
若者二人添い歩む
草木絶えた平原には
彼らをおいて誰も居ない
忽然と二人
山に対いて瞳を上げる
迸る落陽の影
そのはるか高く
噴煙嚠喨と天を衝く
雪を散らせし薔薇のごとし
女はしばし見惚れおり
男はそ知らぬ顔して前を向く
されど気取られぬように
時おり振り仰ぎてあり
道は続く
斜陽尽きて闇に融く




