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プロローグ
オレは今起きている現状に理解が追いついていなかった。
薄くて暗い廊下を部下と歩いているはずだった。
自分の胸から背中に掛けて貫かれた剣に触れる。
「……ごふっ」
吐き出されたオレの血は廊下に艶やかな花を咲かした。
長い髪を縛っていた髪留めが落ちる。さらり、と垂れた髪が視界を遮るようにオレの目の前を隠していた。
「ユー、リ……どうし、て」
顔を上げればすみれ色の髪を持ったユーリ・アッシュフォードがオレの事を嫌悪するかの様な瞳を向けていた。
どうしてユーリはそんな顔をしている?
オレには分からなかった。
剣が抜かれるとオレの足元に赤い大輪の花が咲いた。
もう立っていられなくなり、足元から崩れ落ちる。
「あ、あああっ……そんなっ、またっ」
嘆くユーリの声が聞こえた。
頬に温かい雫がオレの頬を濡らす。
もし、次があるのなら知りたい。
あの嫌悪の瞳の意味。
そして涙の意味をーー。
オレの意識はユーリの泣き声を聞きながら泥に沈むように落ちていった。




