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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『特殊な部隊』と『征夷大将軍』  作者: 橋本 直
第一章 モテる『男装の令嬢』の火遊び

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第4話 かえでのモテモテ伝説(女性限定)

「お前さんが男も女もいける口なのは知ってるよ。別にそのことについて俺としてはとやかく言うつもりはないんだよ。でもね、そうホイホイ言い寄ってくる女を口説かれると色々角が立つんだよね。お前さんの『マリア・テレジア計画』。上流貴族の人妻連中を寝取って自分のクローンを孕ませてその家を丸々乗っ取る。いくら康子義姉さんに吹き込まれたって言ってもそんなの世の中じゃ通用する理屈じゃないよ。あの時はお前さんだって軍法会議に掛けられたじゃないの。それで懲りなかったの?俺だってあんな会議に掛けられたのはアメリカ軍に捕虜として捕まって戦争犯罪人として銃殺刑に処された時だけだよ。お前さんも銃殺されてみる?アレは痛いよ?お前さんは不老不死じゃないから死んじゃうよ?そんな思いをしておきながら……油断してるとすぐこれだ」


 嵯峨はそう言って写真週刊誌を机の引き出しから取り出して部隊長の大きな机の上に投げた。


「俺もすでに最近俺も風俗に行かなくなってお金に余裕が出来たから下半身から世間を見る系の週刊誌とか読むようになったの。そしたら連中、もうお前さんの素性を洗い始めてるよ。もう5人か、定期的にお前さんが会ってる歌手や女優。バレたらどうなるかねえ……それにお前さんのことだからその女の前でも自分が愛するのは神前だけだとか堂々と言ってるんだろ?そしたら……氷上君子みたいなこと、また起きるよ。分かってるの?その点」


 嵯峨は物わかりの悪い子供に言い聞かせる調子でそう言った。


 氷上君子は国民的清純派女優としてここ東和では名を知らない者はいない大女優だった。それがある日突然、妊娠と芸能界引退を発表し、表舞台から姿を消した。


 その理由を誠は知っていた。


 氷上君子の胎内には誠が眠っている間にかえでの副官であるリンにより採取された精液によりかえでの手により受精した女の子が宿っていた。かえではこの精液を大量に培養することでかえでが日常的に性的興奮を覚えるために使うことを最大の楽しみとしており、その楽しみの延長としてセレブばかりが集うパーティーでお持ち帰りした氷上君子を孕ませたのである。


「僕は女性に言い寄っている訳ではありません。女性が僕の魅力に負けてしまうんです!僕が悪いわけでは……」


 誠はかえでの言い訳を聞きながら自分が完全にかえでのおもちゃに成り下がっている事実を再認識した。


「言い訳は聞きたくないの。そう言う癖が治らない限り、お前さんはパーティーとか出るの禁止。お前さんの望みは神前にそのすべてをささげる事なんだろ?それを考えればそんな制約は安いもんだ。それが出来なきゃ義父として神前との交際は一切認めないし、お前さんの仕事にまつわる提案も却下する。当たり前の事だろ?氷上君子の子供が神前の遺伝子を継いでるなんてことが公になったらどうすんのよ?しかも神前は童貞だよ?これ、世間の笑い話としては最高だけど俺にとっては笑い事じゃないの。当然、お前の唯一の男と認める存在である神前にとっても同様だ。というか、世の中の人は神前を徹底的にギャグキャラに仕立てるぞ……自分の愛する男が世間の笑いものにされるのがそんなに楽しいか?」


 きつく言い放つように嵯峨はそう言った。衝撃を受けたような表情を一瞬浮かべた後、かえでは覚悟を決めたように嵯峨を見つめた。


「僕は誠君の為だけに生きます!義父上のおっしゃることはすべて受け入れます!これからはパーティーには呼ばれても出ません!僕のこの身は全て誠君に捧げます!」


 かえでは決意を込めた口調でそう言った。流れるような短く切りそろえられた金髪にローマ彫刻を思わせるような美しい中性的な顔立ち。そして何より目を引く見たことも無いような大きな胸。そんな女性にこうも言われれば普通の男なら感動に打ち震えるところだが、かえでの変態的な願望と本性を知っている誠はただ本当にかえでが嵯峨の言うことを聞くのかと疑問の方が先に出ていた。

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