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ユウキサーガ ~ 悪を撃ち抜くCheckmate!~  作者: クレキュリオ
Episode3 人界編

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第26話 現れる、最後の敵

「アイツは一体、何がしたかったんだ?」


 アリス共に落ちていったユウキ。

 サブは何がなんだか分からず、呆然としていた。

 訳が分からないのは蒼とフゥも同じだ。


 何故なら二人は何も相談していなかったのだから。

 二人はお互いの目を合わせた。

 この二人には致命的な問題がある。


「え……。どっちが説得するの……?」

「無理……。話すの苦手……」


 二人はコミュニケーションが苦手だった。

 蒼は初対面の相手と、話すことができない。

 フゥはそもそも、時間経過でも話すことができない。


 サブはあくまで、教皇アルリズに騙されている。

 説得するのが、目的だったはず。

 でも自分達だけ残されても、説得する言葉が思い浮かばない。


「どうしよう……。これ……」

「無理、無理。撤退……」


 二人は背中を向けて、来た道を戻ろうとした。

 すると地形変動の力を活かして、サブが回り込む。


「何故逃げる?」


 急に前に来たサブから、二人は慌てて顔を逸らした。


「何故目を合わさない!?」


 二人は回れ右をして、逆方向へ走る。

 再び地形変動を利用して、サブが回り込んだ。


「だから何故逃げる!? 何故目を逸らす!? あと会話しろ!」


 二人はお互いの耳元に、顔を近づけた。


「どうする? 逃げられないよ?」

「サブ様悪い人じゃな……。私、戦えない……」

「私は壊すのと作るのは得意だけど……。手加減は苦手……」


 同じ属性相手には緊張しない二人。

 ボソボソと会話しながら、状況を確かめる。

 倒せない。話せない。説得できない。逃げられない。


「あ、詰んだ」

「詰んだ……?」

「リセット……。リセットをしなければ!」


 蒼は懐を探り始めた。チラリとサブの方を見る。

 流石にイライラしている。この光景はよくあることだ。

 学校でも、中々答えられないからイライラされたことはある。


「もう良いか? 行くぞ」

「ま、待って! 戦う気はないんです!」

「それは……。まあ、見れば分かるが……」


 待ってと言って、サブは本当に待ってくれた。

 剣を下ろして、蒼が何かを取り出すのを待つ。


「あった……! リセットボタン!」

「リセ……。なに?」

「全ての時を戻す、魔法のボタンだよ!」

「え……。凄い……」


 目を輝かせながら、フゥがボタンを見つめる。

 蒼は照れ臭く頭を掻きながら、ボタンを押した。

 するとボタンから音声が流れる。『ポーズ』と。


「しまった! 間違って時を止めてしまった!」

「……」


 蒼はゆっくり視線を、サブに動かした。

 流石に怒っているのは、兜越しにも伝わる。


「あ、でも……。ユウが戻るまで時を止めておけば」

「時が止まれば、アイツも止まるだろ?」

「はっ! ポーズの意味がない!」


 蒼はボタンを落として、頭を抱えた。

 

「それと……。時間は止まってなどいない!」


 痺れを切らしたサブが、剣を構えた。

 運動音痴とのことなので、自分の足で動かない。

 あくまで地形変動を使っての移動だ。


 蒼との距離を詰めて、剣で斬りかかる。

 動揺しつつも、彼女は盾で攻撃を防いだ。

 衝撃のエネルギーを、能力で盾に吸収させる。


「お、おち、落ち着いて……!」

「お前が落ち着け」


 サブの力は、それほど強くない。

 まだガチャポンの方が強いくらいだ。

 恐らく力攻めより、テクニックで攻めて来るパターンだろう。


「猊下の命令だ。悪いが手加減は出来ない」

「な、なんで偉い人に従っているんですか?」


 サブは蒼のかかとまでの地形を下げた。

 後ろに体勢を崩して、剣で切り裂くつもりだ。

 彼女は即座に反応をして、リリースを使いサブを吹き飛ばす。


 即座に盾を背中に背負う。

 崩れそうな胴体を、盾の浮遊能力で持ち直す。


「何故そんなことを聞く?」

「えっと、貴方賢そうだから。命令に従っているのに理由があるのかなって?」


 蒼はそのことが、ずっと疑問だった。

 教皇は上級騎士に、洗脳を施していない。

 プライムやフゥが離反したのが、証拠だ。


 ならばサブは、自分の意思で従っている。

 ずっと敵だった者と手を組み。昨日は一緒に戦った者と戦う。

 彼女はそれを疑問に思わないのだろうか?


「確かに私には、お前達が悪人に見えない」

「だったら……」

「だがそれは、私の個人的主観に過ぎない」


 蒼の立つ位置。左右の壁が飛び出した。

 四角い棒状の壁が、電気を纏って蒼に近づく。

 蒼は空中に飛び上がって、飛び出す棒を回避した。


 攻撃を決意する。倒さなくても、地形操作を無力化する。

 地形で攻撃されたら、話合いに集中できない。


「私は上に立つ者だ。組織とは個人の意見で動いては、機能しないのだよ」

「で、でも、もっと上の人が間違いを犯していることだって……」

「それは私が判断することではない」


 蒼は二丁拳銃を構えて、銃口をサブに向ける。

 地形操作は神器である、剣が行っている。

 ならば神器を体から離せば、封じられるはずだ。


 致命傷にならぬよう、サブではなく剣に狙いを定める。

 二丁拳銃から弾丸を放った。


「例え良かれと思っても、組織に迷惑な事だってある」


 サブは地面を上げて、蒼の銃弾を防いだ。

 遠距離からだと、壁で遮られる。


「人界の秩序は、教団あっての事だ」

「それは、まぁ……。そうなっていますけど……」

「今の秩序を、私個人の感情で。乱すわけにはいかないのだよ!」


 サブは地形操作で、三つの壁を生成した。

 蒼の銃弾を防ぐ盾であると同時に。

 自分の姿を隠す、壁としている。


「ましてや、異界の人間に秩序を乱されるなど。あってはならない!」

「うぅ……。耳痛いなぁ……」


 蒼は背中の盾を取り外し、壁に投げた。

 盾の強度は保証されている。壁を貫く、剣となる。

 サブの生成した壁を切り裂く。


 オート機能で、蒼の背中に戻る盾。

 彼女は再び浮遊して、一気にサブに近づいた。


「ゼロ距離なら、盾は作れないな!」

「何故急に饒舌になった!?」


 蒼は神器に銃口を突きつけた。

 連続で銃弾を発射して、剣を弾いていく。

 元々パワーの無いサブは、振動に腕がやられる。


 耐えられなくなったのか、剣から手を離した。

 蒼の銃弾が尚も弾き、剣を遠くへ飛ばした。


「た、確かに組織を動かすうえで、個人の感情は余計です……」


 サブは腕を抑えていた。

 神器がなければ、移動すらもままならない。

 勝負はついたと、蒼は銃を下す。


「でも、間違っていることを、間違っていると主張するのも大事だと思います……」


 上手く言葉が見つからないながらも、蒼は説得に入る。

 社内政治に失敗して、悲惨に遭った人を知っている。

 両親が軍所属と言う都合上。社会での立ち回りが必要だった。


「感情でスタンドプレーをして。余計な事をする人は確かに居ます」

「それが上の立場なら。迷惑度は上がるだろ?」

「でもトップが間違って。大勢を不幸にしたケースも知っています……」


 自分の祖母がそうだった。権力を持ち、間違った結果。

 冬木家と工藤家の人生を壊したことがある。


「だから……。時には間違っていると主張するのも、大事だと思います」


 そこで肩を落として、猫背になる蒼。


「その辺のバランスが、難しんですけど……」

「おい、最後まで自信を持って言え」


 最後の一言だけ、ボソボソ声になった蒼。

 話すのは苦手で、必死に言葉を探した。

 上手く伝われば良いがと、祈っている。


「君の意見は分かる。だが私は猊下を……」


 サブが言葉を発すると同時に、足音が近づいてきた。

 ユウキ、ではない。サブが構えていた側。

 コロニーの奥側から足音が近づいているからだ。


「ユウキ……! アリス……! やってくれたわね……!」


 黒いローブに身を包んだ女性だ。

 赤い髪の毛を腰まで垂らして、赤い瞳に狂気の闇を宿している。

 足を引きずりながら廊下を歩いてきた。


 蒼が吹き飛ばした神器を拾い、彼女達を睨む。

 サブだけでなく、フゥも彼女の姿を見て震えていた。


「貴方は……! 先代の教皇!?」

「サブ。この様はなに? それでも聖騎士団の副団長なの?」


 サブは彼女を、先代の教皇と言った。

 彼女達は知らないが、先代と現教皇は同一人物だ。

 他人の体に記憶を移植した存在に過ぎない。


「コールドスリープにでもして、肉体を維持していた?」


 蒼は年月と老いの状態から、推測した。

 教皇は本来の肉体を、保存しておいた。

 他者に意識を移植したうえで、百年以上暗躍していた。


 もしこの推理が当たっているならば。

 教皇アルリズにとって、肉体など意味がない代物だ。


「リダは裏切った。実験体も敗れた。リサも解放された……」


 アルリズは神器とは別の剣を、ローブから取り出した。

 漆黒の剣。ユウキが言っていた、人工神器だろう。

 確かプロフェッサーが使い、その狂気を宿してたらいし。


「もはや出し惜しみはなしよ。ここで計画を完遂する!」


 アルリズは漆黒の剣で、自らの胴体を貫いた。

 一見不可解な行動見える故、騎士二人は動揺している。

 だが蒼にはその意味が分かった。


 剣に保存されているのは、プロフェッサーの狂気だけじゃない。

 アルリズを止めるため、蒼は彼女へ走る。


「既に"リアクターの力"を、四つ吸収している……!」

「スーパー形態になるつもりなの……? ユウの様に……」


 リアクターの力を三つ取り込んで、ユウキはスーパー形態になった。

 人工神器には今、四つ分のリアクターの力がある。

 ユウキ、ブルーバード、アリス、軍から奪った四つのリアクターが。


「私は神の代弁者だ! 私は、神を超越する者だぁ!」


 剣から力を取り込み、アルリズの体が黒い竜巻に包まれた。

 竜巻から触手のように靄が伸びて。

 間に合わなかった蒼の体を、叩きつけた。


「うっ……」

「さぁて。五つ目を頂こうかしらぁ! ブワァハハハハ!」


 地面に倒れた蒼を踏みつけて、教皇は剣を構える。

 彼女の胴体に剣を突き出して。

 ポケットに仕舞ってあるリアクターを、剣で貫いた。


「がっ!」

「これで後一つだぁ! あと少し……! あと一つでノウシス様の悲願が!」


 アルリズは狂気の笑い声を上げて、蒼から剣を引き抜く。

 竜巻が消えて、変貌した姿を見せる。

 漆黒の体の赤い翼を生やした、悪魔の様な姿だった。


「蒼!」


 先ほど落下した通気口から、ユウキとアリスが登ってきた。

 剣で突かれた蒼に慌てて駆け寄る。


「蒼さん、しっかり! 直ぐに傷を塞ぎます!」

「うぅ……。ユウ……。私の事は良いから、アイツを追って……」


 肉体が回復したアルリズは、高速移動を始めた。

 その場から立ち去り、最後のリアクターのもとへ向かう。


「誰だ? アイツは……」

「説明は後……。吹雪が危ない……!」

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