表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ユウキサーガ ~ 悪を撃ち抜くCheckmate!~  作者: クレキュリオ
Episode3 人界編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

61/79

第12話 再突入

『この無線とやら、便利じゃな』


 ヘッドホンからノウシスの声が聞こえる。

 蒼が持ち込んだ無線機で、神々がバックアップを行う。

 ノウシスは全てを見る、イスカルブーは全てを聞くことができる。


 彼女達が情報を逐次連絡して、ユウキ達が動くという形だ。

 夜が明けて朝になった。王都は平穏に人々が暮らしている。

 ノウシス曰く、教団は混乱を避けるため襲撃を秘密にしているらしい。


 幸い被害はまだ、塔の内部だけだ。

 ユウキは装備を整えながら、塔を見上げた。


「いつ見てもバカでかいな。宇宙まで届きそうだぜ」

『全100階だからね。一階ごとの天井も、通常の建物より高いよ』

「The best! 屋上から見える景色が楽しみだ」


 塔は五十階から、窓が無くなる構造だ。

 外壁を走って窓から侵入は出来ない。

 そもそも登り切るのが目的ではない。


 ユウキ達はネガリアンと黒騎士の討伐を実行。

 その後は神々の力で、元の世界に帰る流れだ。


「各々の役割に異論は?」


 ユウキ達は別行動を行う。いつも一緒に居るが。

 元々単独行動を好む者の集まりだ。

 一緒に居るより、一人で動く方がやり易い。


「ない。俺は姉ちゃんを助ける。それだけだ」

「了解。リベンジは譲るよ。僕はドクロ頭を」

「私は脱出経路の確保と、囮をやるね。裏方の方が得意だし」


 お互いの役割を確認し合い、三人はうなずき合った。

 作戦は簡単。それぞれがやるべき事をやり、倒すべき相手を潰す。


『ネガリアンは単独で、大分上の階におる。現在七五階にいるみたいじゃ』

『黒騎士はサムライ団の兵士と一緒だよ。もう三十階まで来ている』


 無線で情報を知らせる、ノウシスとイスカルブー。

 両者の戦闘が再開したのが、二時間前。既に五階分も進行されている。

 聖騎士団は潰すなと言われている。ハードな仕事だぜと、ユウキは心で呟いた。


「んじゃあ、僕は三十五階くらいの窓から入るよ。外壁走るのも大変だからね」

「俺は内部から上がる。揉める可能性はあるが、確かめたい事がある」


 サムライ団の幹部に、自分の母親が居るかだろう。

 雪道玲子は研究者。最前線に出るタイプではない。

 この作戦に参加しているなら、下の階層にいるだろう。


「面倒ごとにならないよう、私が騎士団を引き付けるよ」

「決まりだな。Are you ready? Let's go!」


 ユウキはサイコガントレットのスナッチを使用。

 外壁の出っ張りを掴んで、グラップリングの要領で飛び移る。

 蒼と吹雪にサムズアップを見せ、ローラースケートで外壁を駆け抜けた。


 最前線が三十階なら、少し上には指揮官がいるだろう。

 それよりもう少し上から内部に侵入し、騎士団と戦闘を避ける。


「本当は五十階まで上がりたいけど。丁度良い場所は、大抵中ボスがいるからな」


 ユウキは外壁を駆け上がりながら、窓の数を数える。

 三十階を超えた。窓をぶち破る準備をする。


「中途半端なところから入らせてもらうぜ!」


 ユウキは三十五階を超えて、二つ上の窓から内部に入る。

 ガラス音と共に、ユウキは塔の内部に侵入しいた。

 内装は教会の様に神秘的な雰囲気を感じる。


 騎士団の基地と言うより、教団の本部と言ったところだ。

 ノウシス教団の所属なので、間違ってはいない。


「さてと。どうやって五十階をやり過ごすか」


 ユウキが考え事しながら歩くと。

 目の前の騎士と目が合った。

 銀色の鎧に身を包み、兜で顔まで隠している。


 この騎士には見覚えがあった。ゴミガの増援に来た騎士。

 六人いる上級騎士の一人。聖騎士団の幹部だ。

 ユウキは目を細めながら苦笑い。首を振って溜息を吐く。


「こんな中途半端な層に、中ボスが居やがったぜ」

「貴様。何者だ? どこから入ってきた?」


 兜で声が塞がれて、イマイチ性別は判断できない。

 騎士は土色の剣を、ユウキに向ける。


「見れば分かんだろ? 窓から来た」

「三十七階だぞ? 分かるのと、理解するは別だ」

「Sorry! 気は回っていたけど、わざとなんだ!」


 ユウキは上級騎士と距離を取った。

 強さは分からないが、プライムには随分苦戦させられた。

 兜で分からないが、雰囲気で年上感を抱く。


 無駄な消耗と、騎士団との争いを避けろと言う命令。

 双方の理由から、ユウキは窓から飛び出す準備をした。


「貴様、脱獄した異界人か。貴様も人界の侵略を企んでいるのか?」

「逆だよ。僕らは下で暴れている連中を懲らしめに来たんだ。信用できないだろうけど」

「ユウキが言っていたな。悪い奴ではないと」


 ユウキ・プライムが名前で呼ばれるとくすぐったくなる。

 同じ名前の別人と分かっていても、反応する。


「アイツは真っすぐだ。それ故、人の本質を見抜く才能がある」

「ならそこを退いてくれない? 僕は君じゃなく、マヌケに用があるんだ」

「個人的には協力してやりたいが。猊下の命令だ。異界人は全員捕らえよと」


 ユウキは頷きながら、窓の傍に寄った。

 話は通じるが、聞いてくれる相手ではないようだ。

 

「聖騎士団副団長。サブ・ミナル。猊下の命により、貴様を拘束する」


 上級騎士、サブの剣がオレンジに発光する。

 嫌な予感をしたユウキは、窓から飛び出そうと振り返る。

 その直後、侵入に使った窓ガラスが周囲の壁と同じレンガに塞がれた。


「逃がしはしない。貴様に戦う意思がなくてもな」


 再びサブの神器が光る。地面が盛り上がった。

 サブから見下ろされる形となり、階段への道も塞がれる。


「地形操作能力って訳か。こりゃ面倒で」

「貴様は私に触れる事すらできぬ。我が力、とくと……」


 ユウキは指を鳴らした。瞬間移動を使い、壁の向こう側へ。

 そのままサブを無視して、階段へ走った。


「異界には"逃げるが勝ち"って言葉があるぜ。よく覚えておきな」

「私が怖いのか? それとも傷つけたくないのか? 後者だろうがな」


 ユウキは念力を込めて、高速で移動した。

 再び地形変動で階段そのものが塞がれる前に登り切る。

 予測だが、地形変動には範囲が限られている。


 もし無制限に仕えるなら、そもそも塔中の出入り口を塞げばいいだけだ。

 ならば逃げ切れば、サブと戦わずに済む。

 ユウキは上の階に逃げ込み、次の階段を目指した。


「だが騎士の前で背を向ける行為は。優しさでなく侮辱だぞ」


 地面が割れて、下の階から床がせり上がってきた。

 山の様に立ちふさがらう床から、サブが見下ろす。

 サブの背後に、白い柱が生成される。


 柱は空中を飛び、ミサイルの様にユウキへ狙いを定める。

 ユウキは飛んでくるミサイルを飛び移る。

 サブの乗る床に飛び移り、反対側へ下りる。


「今度は逃がさんぞ」


 階段へ続く道が壁で塞がれる。

 ユウキは即座に方向転換して、窓から外に出た。


「地形変動だけでなく、生成も出来るのか。サンドボックスを満喫してるね!」


 外壁に剣を刺して、足場にする。

 再びスナッチで上の壁に飛び上がろうと、右腕を向けた。

 だが塔が揺れ始めて、体勢を崩す。


「Watt?」


 塔の壁から柱が棒が突き出してきた。

 棒は電気を帯びており、外壁を走るのを妨害している。


「何が何でも、上に行かせたくないと」

「違う。貴様の逃げ道を塞いでいるだけだ」


 ユウキの立つ階層から、再び棒が突き出した。

 その上にサブが乗っている。

 更に下層の壁にも電気を帯びた棒が出現した。


挿絵(By みてみん)


「少しは自分で動いたら? 移動を神器に頼るなよ」

「昔から運動音痴でな。読書少女だった」

「指揮特化ってことかな? でも動かないだけで、中々の戦闘力だと思うぜ」


 ユウキは状況を確認した。

 上下の外壁が、電気の帯びた棒に塞がれている。

 この階の階段は塞がれた。瞬間移動は移動範囲が限られ、集中力を使う。


「悪いけど。鬼ごっこをする気はないぜ」

「私も走るのは苦手だ。素直に捕まれ」

「ネガリアンを倒してから、捕まえるって選択肢はねえのかよ?」

「勝手な判断は出来ない。猊下の命令が優先だ」


 ――組織として正しいが、現場で正しいかは別な判断だな。

 ユウキは皮肉を込めた笑みを向け、足場にしている剣を引き抜いた。

 下の階層へ大の字ポーズでダイブする。


「血迷って自滅か? そんな奴に見えないから、対策する」

「その判断は嫌いじゃねえぜ! でも案外本当に血迷ったのかもな!」


 ユウキはサイコガントレットに、念力を込めた。

 超能力の力をエネルギーに変換し、光線を放つ技。

 バスターを使って、目の前の棒を破壊する。


 棒が爆発した煙に紛れて、ユウキは窓から塔に入った。

 直ぐに反対側の窓から出て、外壁を走る。

 幸い反対側にはまだ棒が出現していない。


「これで目つぶしになれば良いけどな」


 ユウキはサブをまくため、適当な階に入った。

 階段を駆け上り、追手を振り切る。

 幸いな事に、下の戦闘が影響して他の騎士団は居ない。


「結局五十階に来ちまったな。まあ、もう中ボスは居ないだろう」


 ユウキはヘッドホンから、音楽を流した。

 この高さなら、もう電波が届かない。無線は意味がない。


「って、そもそもさっきから、一度も連絡がなかったわけだが」


 ユウキは八つ当たりするように、五十階の扉を蹴り飛ばした。

 半分は特別な意味がある気がする。

 覚悟を決めて、サイコガンと剣を構えて警戒する。


 五十階の内装は、今までのとはまったくな別物だ。

 妙に暗い照明で、部屋の中なのに草木が生い茂っている。

 青く光る青い光が飛び交い、金色の蝶々が部屋中を飛び回っていた。


「幻想的だね~。異世界に迷い込んだ気分だ。異世界だけどさ」


 部屋だと認識しなければ、夜の森だと思いそうだ。

 異質な部屋をロックをかけながら、ユウキは進んだ。

 部屋の中央。大きな木の陰に人が居る。


 蝶々を人差し指に乗せながら、天井を見上げている。

 部屋の雰囲気に合う。不思議な空気を醸し出す少女だ。


挿絵(By みてみん)


 親より見た顔とそっくりな少女へ、ユウキはニヤリと笑った。


「その蝶、噛みついたりしないの?」

「副団長の追撃を逃れるとは……。逃げ足は速いのですね」


 雰囲気は違う。でも聞き馴染みのある声だ。

 無意識の動揺を隠しながら、ユウキは挑発する表情で見つめる。


「二つ質問がある。アンタ、アリスって名前じゃないよな? もしそうなら、僕を知っているか?」

「何故、私の名前を? それが一つ目の返答です。そして……」


 部屋中の蝶々が、彼女の手元に集まる。

 蝶々が光となって、姿を変える。一本の剣となる。


「お前の事は知らない。それが二つ目の解答です」

~ユウキのスーパーナビ~


ユウキ「ここからは、僕と一緒に舞台やキャラについて勉強だ!」

蒼「今日はどんな情報?」

ユウキ「今回紹介するのは、この情報だ!」


『サブ・ミナル』


ユウキ「身長一六七センチ。体重五十二キロ。聖騎士団の副団長で、全体的な指揮を担当する裏方みたいだ」

蒼「運動は苦手みたいだけど、強い精神力で地形操作で敵を攪乱するわ。これでも神器の力の一端に過ぎないみたい。本来の力を解き放てばどうなるのやら」


ユウキ「さり気ない台詞で出てきたけど、実は十九歳の女性なんだって。なんか全体的に上級騎士は若い気がするなぁ」

蒼「私達も全員十五歳だけど?」

ユウキ「そう言われると、殆ど年上かもしれないな」


ユウキ&蒼「次回も、宜しくー!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ