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ユウキサーガ ~ 悪を撃ち抜くCheckmate!~  作者: クレキュリオ
Episode3 人界編

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第11話 決戦準備

 イスカルブーに飛ばされた吹雪は、サピウルに回収された。

 その後ユウキ達が来るまで、日記を再度確認。

 そこで様々な情報を得たというのが、今までの流れだ。


 サピウルがカップ麺に夢中になっているとき。

 吹雪は今までの話をユウキ達にした。


「あの黒騎士の正体が、お前の姉貴だったとはね」

「まだ確証はねえよ。なんとなく、そう思っただけだ」

「確信はしているだろ? 証拠なんてなくても、分かるはずだ」


 ユウキも薄々そんな気配は感じていた。

 吹雪の姉、雪道玲奈とはそんなに深い関わりはない。

 それでも彼女の人となりはよく理解していた。戦い方も。


 彼女を一言で表すなら。『超ブラコン』だ。

 吹雪の事を溺愛している。だから攻撃することなんてできない。


「一連の黒幕が、お前の母親だと? 苦労してんな……」

「あの人は……。俺達を愛していなかったからな。この日記を読んで、納得した」


 吹雪はプロフェッサーの日記を、見せつけた。

 内容を信じるなら、吹雪の母、雪道玲子はこの世界で恋に落ちた。

 娘まで生んでいるようだ。相当深い愛情があったのだろう。


 それを奪われて、古臭い政略結婚で雪道傾と一緒になった。

 玲子は傾の事を、内心嫌っていた節がある。

 その子供にも、憎しみをぶつけていたのかもしれない。


「あの人は前の家庭が大事だったんだ。だから俺達を……」

「親が子を愛する義務なんてねえからな。起こりうることだ」

「お前は良いよな。温かい家庭で育ったんだから」


 そんな皮肉を口にした後、吹雪は目を一瞬開いた。

 ユウキは首を傾げるが、直ぐに彼の考えが分かる。

 ユウキは数カ月前。父親を亡くしたばかりで、現在は姉が行方不明。


 家族の話題がデリケートだと、吹雪は考えているのだろう。

 ユウキは微笑みながら、彼の肩を軽く叩く。


「んな事、気にすんなよ。言いたいことがあれば言えよ。親友……。なんだからさ」

「最後の方、ちょっと照れくさく言ったよね?」

「うるせぇぞ、蒼」


 複雑な年ごろなのか、どうも面と向かって友達と言うのは恥ずかしい。

 腐れ縁などと言葉を濁したいところだったが。

 ここはハッキリと、自分がどう思っているのか伝えたかった。


「言いたい事じゃねえよ。ただの皮肉だ」


 吹雪の表情に、僅かな穏やかさが戻った。

 一人で抱え込んで欲しくない。話してくれた事に、ユウキはホッとしている。


「でもありがとな。親……友……」

「あ、ユウより照れた」

「うるせぇぞ、コミュ障」


 蒼が茶々入れながらも、三人は改めて結束する。

 そう言えばエックス事件の時から、ずっと一緒に居る。

 三人で居るのが当たり前になりつつある。ユウキは少し、感慨深くなった。


「ええっと……。そろそろ入っても良いかい?」


 物凄くタイミングを待ったように、扉を開く音が聞こえた。

 向こう側から赤毛の巫女服を着た少女が現れる。

 見た目から彼女がヘスカ……。空の神イスカルブーなのだろう。


「遅いぞ。ヘスカ? イスカルブー? どっちでも良いけどよ」

「じゃあ好きに呼んでくれよ。本題に入りたいんだけど……」


 イスカルブーは目を細めて、カップ麺を啜る少女を見た。

 既に三種類の味を、サピウルは堪能していた。


「お湯を注ぐだけで、この味とは……! これは是非とも……!」

「あ~、ノウシス。仮にも五柱神のトップが、その醜態はどうかと思うぜ」

「醜態とはなんじゃ! 知恵の女神として、異界の文化を……」


 そこまで言いかけて、サピウルは気づいた。


「って! 本名を言うでない! 折角偽名を作った意味がないではないか!」

「彼らに偽名は意味ないだろう。表情を見てみなよ」


 サピウルもとい、ノウシスがユウキ達に視線を動かす。

 正直ユウキは、彼女の正体などどうでも良かった。

 神様と言われてもピンっと来ない。自分達の世界でないからだろうか?


「もっと反応せんか! 神様のトップじゃぞ! 一番偉いんじゃぞ!」

「そんな、ネガリアンみたいな反応の神様は嫌だ」

「知恵の女神たるわらわが……。あんなマヌケと同類とな!?」


 カップ麺をこぼしそうになるノウシス。

 咳払いをして、さっさと本題に入れと促すイスカルブー。

 その様子は、到底神様同士のやり取りに見えない。


「う、うむ。先ほども申したように、そなたらに異界人の討伐をお願いしたい」

「気分を悪くしないで欲しいけど。異界人は人界にとって、異物でしかないんだ」


 気を取り直して、神様二名が本題に入る。

 異界人。Dr.ネガリアンと黒騎士の事だ。恐らく玲子も……。


「神様なんだろ? アンタらでバシッと追い出せないのか?」

「ドクロ頭は出来る。じゃが、黒騎士は無理じゃ」

「彼女は僕らの世界の住民。サムライ団とがっつり繋がっているからね」


 サムライ団。反教団組織だったと、ユウキは思い出す。

 遺跡に黒騎士が居て。彼女がプロフェッサーの日記を持っていて。

 サムライ団を捉えるために上級騎士が来た。そう言う事だろうとユウキは納得する。


「ルールがある訳じゃないけど。僕らは下界に過度な干渉をしないスタンスなんだ」

「昔、失敗したからのう。五柱神の一人が、名前を抹消される羽目となった」


 その話題を出したノウシスは、少し辛そうだった。

 彼女達の力は、人智を超越してる。

 確かに深く関わるのは良くなさそうだ。


「黒騎士は素体となった人間を攫って。サムライ団が洗脳したものなんだ」

「む? そうなのか? ワシはてっきり奴が黒幕かと……」

「君は見る事しか出来ないからね。見えない空間で施されたら分からないさ」


 イスカルブーは音を風に乗せて知る。

 世界中の音から、情報を得ているのだ。

 なので見えなくても、何かしらの情報を得たのだろう。


「勝手な話だけど。サムライ団が関与している以上、僕らはあまり深く関われないんだ」

「サムライ団のボスが異界人の可能性は?」

「ないさ。正真正銘、僕らの世界の住民さ。君の母親じゃない」


 イスカルブーは吹雪を宥めるように言った。

 慈愛の表情が女神らしさを感じさせる。


「黒騎士とネガリアンは、明らかに聖騎士の戦力を上回っている」

「教団が倒れれば、人界は混乱を成す。じゃからお主らの力を借りたいのじゃ」


 聖騎士団は人界でも、最強の騎士団らしい。

 その騎士団が対処できない。ユウキ達の手を借りたい理由はそれだろう。


「巻き込んで悪いとは思っているよ。でも僕らには君達の力が必要なんだ」


 頭を下げるイスカルブー。

 でもノウシスは頭を下げない。


「協力してくれないか? 僕らには君達の力が必要なんだ」

「あ~。頭を上げてくれ。別に巻き込まれたなんて、思っていないからさ」


 ユウキは足裏がこそばくなった。

 居心地が悪く、イスカルブーに頭を上げさせる。


「僕ら自身の問題でもある。だったら僕には解決する責任がある」

「俺の家族が問題を持ち込んだんだ。頭を下げるのはこっちさ」

「ユウが黒騎士に連れていかれたのが、原因ですから……」


 逆にユウキ達が頭を下げて、協力を要請した。

 黒騎士はユウキにトドメを刺さず、この世界に連れてきた。

 そこには何かしらの理由があるはずだ。


「そう言えば、なんで君はあの格好でこの世界に来たんだい?」

「知らないよ。服を脱がす意味はないはずなんだけどね」

「神様が情けなく叫んじゃったよ。でも、衛兵に捕まえさせるのが目的だったのかも……」


 衛兵に掴まれば、当然長時間の拘束がされる。

 この世界のルールを考えれば、聖騎士に連行されるだろう。

 ユウキを巻き込むために、トドメを刺さなかった。


「まあ、そんなことは。本人に聞けばわかることだ」


 ユウキは椅子に座り直し、ヘッドホンを装着した。


「あの塔に連中がいると分かっている。直ぐにとっちめてやるさ」

「もう日が暮れて、両軍は停戦中だけど。既に塔の四分の一が制圧されているよ」

「私が着いた時は、まだ三階までしか居なかったのに……」


 この場所についてから、それほど時間は経過していない。

 その間に随分と、侵略されているものだ。

 明日には塔も制圧されるだろう。急がなくては。


「君達も今日は休みなよ。色々あって、疲れただろ?」

「こやつは二日間、本を読んでいただけじゃがのう」


 吹雪に対して、皮肉の笑み向けるノウシス。

 神話の女神と随分違う、子供っぽい神様だなっとユウキは思った。


「それと、お主らに新しい武器を与えよう。どうせこのまま再戦しても、負けるじゃろ」

「ボコボコだったからね。しかもあの時より、弱体化しちまった」


 ユウキはリアクタ―を奪われている。

 そもそも持っていても、黒騎士には勝てなかった。

 現状の戦力で戦っても、勝てる可能性はゼロだ。


「神の特権として、わらわが特別に神器を授けよう!」

「急に鼻につく言い回しになったな。カップ麺に食いついたくせに」


 ノウシスは杖を振り回した。

 すると空中に青く輝く剣、豪勢な装飾の盾、金色の籠手が出現した。


「さあ! どれでも好きな物を取るが良い!」


 ユウキ達は全員、苦い表情をする。


「剣はNo thank you。お気に入りがあるんでね」

「あんな派手な盾、恥ずかしくて使えないよ……」

「目立つのはなぁ……。今の武器で良い」


 三人から大不評を受けて、ノウシスは地団太踏んだ。


「神が作った、正当なる神器じゃぞ! 意地でも使え!」

「ノウシス……。流石にこのセンスは、僕もどうかと思うぜ……」


 イスカルブーが溜息交じりに、神器に力を込めた。

 神器が小型化して、それぞれ体に入り込む。

 剣はユウキの腕に、盾は蒼の背中に、籠手は吹雪の両手に吸収される。


「いざという時に、力を発揮できるようにしたぜ。神器には解放術があるからな」

「そう言えば、ゴミガやプライムって騎士が何か唱えていたな……」

「平時は体の中にあるから。これなら邪魔にならないだろ?」


 何か言いたげなノウシスを、イスカルブーが制止している。

 トップより有能な女神とは一体……。


「作戦決行は明日の午前七時じゃ! 寝坊するでないぞ!」

「ノウシス、その時間はにわか雨が降るぜ」

「よし! 午前九時に変更!」


 何故内部で戦うのに、雨を気にするのか神様の感性は分からない。

 決戦前夜にしては、随分と緊張感がないと、ユウキは呆れる。


「奥にベッドがあるぜ。ふかふかだから、ぐっすり眠れると思う」

「それは有り難い。地下牢のベッドは、寝にくくて仕方なかったからな」


 ユウキ達は明日の決戦に備えて、ベッドに向かった。

 正直プライムとの戦いだけで、大分消耗している。

 明日はそれ以上の敵と戦わなければならないのだ。


「ユウ。思ったんだけどさ。この世界、アンダーワールドみた……」

「うるせぇぞ、蒼。さっさと寝ろ」


 ユウキはベッドに横になった。

 地下だというのに、窓がある。そこから月が見える。

 二人には話していなかったが、ユウキにも対峙すべき問題がある。


 アリスにそっくりな、あの上級騎士の事だ。

 もし、塔で彼女と会う事になれば。

 その真実は分かるのだろうか……?


挿絵(By みてみん)

~ユウキのスーパーナビ~


ユウキ「ここからは、僕と一緒に舞台やキャラについて勉強だ!」

蒼「今日はどんな情報?」

ユウキ「今回紹介するのは、この情報だ!」


『ノウシス』


ユウキ「身長体重自在。イスカルブーと同じ五柱神で、そのトップと言われている知恵の女神だ」

蒼「人界の民には人に知性を授けた神として、随分と崇められているみたい。ノウシス教団がその象徴ね」


ユウキ「なんか見た目子供で、言葉遣いは尊大で、でも性格は子供っぽいてちぐはぐな印象なんだよなぁ」

蒼「神様だから威厳を出したくて、無理に偉そうにしているんじゃないの?」

ユウキ「なるほど! 今日は納得!」


ユウキ&蒼「次回も、宜しくー!」

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