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ユウキサーガ ~ 悪を撃ち抜くCheckmate!~  作者: クレキュリオ
Episode3 人界編

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第5話 脱獄

蒼以外、デザインを変えています。これは出力出来なかったのではなく、以前のデザインは時間がなく妥協したもののためです。今回は妥協なく頑張りました。

 蒼はネガリアンの置き土産、ネガガチャポンと向き合っていた。

 見た目こそ大きいが、本当にガチャガチャだ。

 カプセルをシャッフルしながら、体は微動だにしない。


「もう駄菓子屋でもみないよ。この古いタイプのデザイン」


 蒼が呆れながら銃を向けると。

 先ほどまで静止していたネガガチャポンが左右に揺れ出した。


「誰が古いデザインだ、コラァ!」

「フェ!? しゃ、喋った!?」


 ネガガチャポンから、野太い男性の声が聞こえた。

 どうやら自立型制御なだけでなく、意志を持つようだ。

 チンピラの様な口調で、蒼を威嚇する。


「ワシだって、ドクロ頭のカニ味噌より! レオナルドのデザインが良かったわ!」

「じ、自分の主を随分悪く言うんだね……」

「下手に下手と言って何が悪い? 小娘が、ワシを舐めると痛い目見るぞコラァ!」


 ネガガチャポンの声を共に、機械の作動音が聞こえた。

 いつの間にか天井に装着されたクレーンが、動いている。

 大きなコインを持って、そのままガチャポンの投入口へ入れる。


「本当にコイン入れないといけないんだ……」


 ネガガチャポンの排出口から、大きなカプセルが出てきた。

 ガチャポンは再び体を震わせて、中身をシャッフルする。


「今回の攻撃はこれじゃあ! ワシにも分からんが、行けぇ!」

「しかも攻撃は、ランダムで決まるんだ!? まさにガチャポン!」


 カプセルが開き、天井に何かが放たれた。

 蒼が目線で追うと、それは丸いシールだった。

 ミサイルの絵が描かれており、一回転すると煙となって消える。


 直後にネガガチャポンの背中らから、ミサイルが発射される。

 八本のミサイルが、蒼に照準を合わせた。

 蒼は背中から盾を取り出して、ミサイルを防御する。


「それ、ガチャガチャの意味ある?」

「運転じゃあ! ワシは常に予測不可能!」

「運を天に任せるを、略さないでよ……」


 ミサイルを防いだ盾が、青く光る。

 蒼の能力である、エネルギー吸収が発動したのだ。

 最近はこの能力をキャッチ。エネルギーを放つ方をリリースと呼ぶことにした。


 蒼はエネルギーを光線に変えて放つ。

 ネガガチャポンは動けないので、良い的だ。

 その一撃を受けても、ネガガチャポンには傷一つ入らない。


「意外と頑丈なんだね……」

「ワシはダイヤモンドの五九%堅い素材で出来ておるぞ!」

「そこに拘るのに、どうして無駄な機能を付けたんだろう?」


 再びコインが、クレーンによって運ばれる。

 蒼はクレーンに銃弾を放つ。

 クレーンが開いて、コインを落とした。


「貴様、何をしている!?」

「なにって。コインがなきゃ、攻撃できないでしょ?」


 ネガガチャポンはカプセルを出さないと、攻撃出来ない。

 コインがないと、ガチャガチャすることすらできないのだ。


「夢すら詰め込めない、空っぽ頭め! 何故こんな欠陥機能にしたんだ!」

「それは同感だけど、創造主に対して酷いね……」

「みんな社会が悪い! 大人が悪い! 政治家が……」


 ネガガチャポンは足がないのに、地団太踏んだ。

 その揺れによって、排出口に何かが落ちる。

 音がした直後、ネガガチャポンの内部で爆発音が聞こえた。


「ぎゃああ! 内部破損! はっ!」


 ネガガチャポンは何かに気づいた声を出す。

 色々察した蒼は、思わず汗をかいて冷ややかな目線を向ける。


「ワシ、ガチャガチャせんでも攻撃できるやん!」

「えぇ……。それは流石にコンセプト崩壊じゃない?」

「やかましい! 世の中結果が全てだ! 勝てば良いんだ! 勝てば!」


 ネガガチャポンは、体勢を整えた。

 もっともどっちが前で、どっちが後ろか分からないが。


「フィーバータイムじゃ! ラッキー、ラッキー、ブッキー!」

「それはスロットだよ」


 ネガガチャポンは蒼の言葉をスルーして、ルールを無視した。

 背中からミサイルを出し、排出口から爆弾を吐き出す。

 更にレバーから光線を放ち、頭部?から火炎放射を出す。


「ワッショイ! ワッショイ! ワッショワッショワッショイ!」

「はぁ……。うざい」


 蒼は同時に発射された攻撃を、盾で防ぐ。

 ミサイルや爆弾の煙が、蒼の体を包み込む。

 火炎放射と光線が同時に飛んできて、両側の盾に当たる。


挿絵(By みてみん)


「生意気な小娘が! ワシの力を思い知ったかぁ!」


 勝ち誇った声を上げる、ネガガチャポン。

 煙でこちらの様子が見えないのだろう。

 蒼は溜息を吐きながら、キャッチの出力を最大にする。


「残念。私の盾は硬度も融点も高いの」


 盾が周囲の煙さえも、エネルギーに変換した。

 蒼が無傷な姿だったため、ネガガチャポンはイライラしている。


「チィ! しつこい! 本当にしつこいな!」

「舌がないのに、舌打ちできるんだ」

「やかましい! いい加減に……。はっ!」


 イライラして左右に揺れたガチャポンは、気が付いた。


「ワシ、動けるやん……」


 蒼は呆れを通り越して、言葉も表情も失った。

 気づいているのに、ネガガチャポンは彼女の様子を無視する。

 そのまま地面から体を浮かせて、空中で回転を始めた。


「くらえ! 必殺、ソロタイフーン! ライフのベルト!」

「もはやガチャガチャ関係ないし……。あと!」


 蒼は盾を構えて、突撃するネガガチャポンに向けた。

 先ほどよりも、一層激しい光を盾は放つ。


「名作を汚さない!」


 蒼の盾から、強力な青い光線が放たれる。


「馬鹿め! その攻撃は通用せぬわ!」


 光線を気にせず、ネガガチャポンは突撃を続ける。

 青い光線は回転する胴体を貫通。そのまま爆発した。

 胴体を破壊されたネガガチャポンは、頭部だけが地面に転がる。


「ば、バカな!? 何故……」

「フィーバータイムのおかげで、必要なエネルギーがすぐ溜まったわ」

「しまったぁ! おのれ! かくなる上は……」


 ネガガチャポンは転がり、窓の傍に向かった。

 そのまま窓を突き破って、外に飛び出す。


「戦術的撤退!」


 ガチャポンは窓から外に落下した。


「ぎゃあああ!」


 悲鳴と共に割れる音が聞こえてきたが、蒼は無視した。

 溜息を吐きながら、次の階に続く階段を探す。


「無駄過ぎる時間を使っちゃったなぁ。早くユウを探さないと……」


 周囲の騎士は、まだロボットと戦っている。

 少々気が引けるが、この混乱はチャンスでもある。

 ユウキを助けた後、追手をまける可能性が高まるのだ。


「地下牢の囚人が脱獄した! お前ら、なんとかしろ!」


 上の階から下りてきた兵士が、慌てて指示を出す。


「無理だ! こっちだって、体一杯なんだ!」

「クソ……。上も同じだ。ドクロ頭はともかく、あの黒騎士と頭目が強すぎる……!」


 指示を出しに来た兵士は、慌てて上階に戻った。

 どうやら上の階でも、まだ戦いが続いているようだ。


「地下かぁ。そっちは盲点だったな」


 蒼は『ごめんね』と呟き、下の階に戻った。

 恐らく脱獄した囚人はユウキの事だろう。

 出来るのもやるのも、彼くらいしかいない。


「そう言えば今、黒騎士って……」


 気になるワードがあったが、ユウキとの合流を優先させる。

 来た道を戻り、更に下の階に向かった。

 外から分からないので、地下牢がどのくらい下にあるのか分からない。


 地下は薄暗い。青い炎のロウソクで照らされているのみだ。

 それが不気味さを出しているうえ、通路がやたら狭かった。

 蒼がしばらく進むと、反対側から足音が聞こえる。


「ユウ! やっと見つけた」

「蒼!? どうしてここに?」


 薄暗い中から、ユウキが姿を現している。

 いつもの格好と違い、青いコートを着ている。

 服も没収されたらしい。村で得た情報は本当だったようだ。


「助けに来たんだよ! 監視カメラに映っていたから」

「情けない所見せたな。でもタダで捕らわれたわけじゃないぜ」


 ユウキは懐から、本を取り出した。


「なにそれ?」

「牢獄の中にあった。神器の事が詳しく書かれていたぜ」


 蒼はユウキから、神器について聞いた。

 ゴミガと名乗る騎士が、操っていた特殊な武器の事。

 黒騎士も似た気配の武器を使っていた事。


「なんで牢屋に、こんなものが?」

「それは後で説明するよ。とにかく今は、太陽光を浴びたいぜ」

「あ、そうだね。チャンスは今だと思う」


 蒼の方も、上階で起きている出来事を説明する。

 ネガリアンが懲りずに、世界征服をしていることを。

 そして黒騎士と言うワードを聞いたことを。


「なるほど。見張りが少ないと思った」

「あの騎士、ネガリアンの仲間なのかな? それなら色々説明着くけど」

「ドクロ頭に、制御できるようには見えなかったな」


 二人は階段を駆けあがりながら、情報を交換した。

 ネガリアンを放っておけないが、今は安全の確保が先だ。

 一階に戻り、出入り口に向かう。


 玄関フロアは悲惨な状況だった。

 何人もの騎士と、ロボの残骸が倒れている。

 その光景に目が行き、蒼は出入口に立つ騎士への反応が遅れた。


「わあ! 誰!?」


 白い鎧を着ている少年。青白い短髪で、氷を想像する水色の瞳。

 白いマントを身に着け、青く光る剣を地面に突き刺している。

 剣が刺さった地面が、凍結していた。部屋の温度も下がっている気がする。


「本当に来やがったか! アリス様の指示を真面目に聞いて良かったぜ!」


 騎士は青い剣を引き抜いた。

 少年騎士の周りに、氷の破片が飛び散る。


「お前の脱獄を想定して、唯一の脱出経路を見張っていろって言われたぜ!」

「へえ。脱獄を想定するなら、脱獄されない様、見張るべきだったな!」

「へへ! 聞いた通り、根性の座った奴だ! 燃えてきたぜぇ! チェストォ!」


 発現とは裏腹に、少年の周囲に冷気が発生。

 蒼は少年の剣から独特の気配を感じた。恐らく神器だ。

 自分達より年下に見えるが、彼は上級騎士なのだろう。


「俺はノウシス教団教皇直属兵! 聖騎士団対巨人族特殊飛行隊副隊長! ユウキ・プライムだ!」

「良い名前だな。格好良いぜ!」

「人界の安寧のため! お前をここで倒す!」


挿絵(By みてみん)

~ユウキのスーパーナビ~


ユウキ「ここからは、僕と一緒に舞台やキャラについて勉強だ!」

蒼「今日はどんな情報?」

ユウキ「今回紹介するのは、この情報だ!」


『Dr.ネガリアン』


ユウキ「身長一七五センチ、体重六十キロ。何度も世界征服をした、悪の科学者だ」

蒼「マヌケだけど、天才を自称するだけあって、その科学力は侮れないわ。戦闘力はないけど、機械工学だけでなく、生物学にも詳しいみたいね」


ユウキ「これで三度目だぜ。本当に懲りないよなぁ」

蒼「諦めの悪さなら、ユウも同じでしょ?」

ユウキ「それ、悪口だよね?」


ユウキ&蒼「次回も、宜しく~!」

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