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プロローグ 困った婚約者

新作です。

よろしくお願いします!

王宮魔術師チェルカ・ローウェルは自身の婚約者、クロビス・アラバスタのことで悩んでいた。


王女の専属護衛騎士となってからというもの、クロビスは王女に夢中になってチェルカのことをおざなりに扱うようになったからだ。


クロビスの生活の全てが王女中心となり、チェルカとの約束も平気ですっぽかすようになってしまった。

それだけならまだ護衛騎士としての仕事だからと自分を納得させることも出来るのだが、本当に任務なのだろうかと疑いたくなるほど、クロビスはベッタリと王女の側にいる。


クロビスに王女との距離がおかしいと何度伝えてもそんな目で見る方がおかしいと返される始末。


「う~ん?そうなのかしら?わたしがおかしいのかしら……?」


「チェルカ、どうしたの?」


チェルカの同僚であるマリナ・ハモンドがひとり言を言ったチェルカに聞き返してきた。


「婚約者にね?白昼堂々と王女殿下の手を取って指先にキスをしたり、王女殿下にそのお礼にと頬にキスをさせるのはおかしいと言ったらね?そんな変な目で見るキミがおかしいと言われたの。ねぇ、わたしがおかしいのかしら?」


チェルカがそう説明すると、マリナは「そんなワケないでしょ」と眉根を寄せた。

そして苦虫を噛み潰したような顔をしてある方向を見て言う。


「チェルカはおかしくないし、間違っていないと思う。明らかおかしいのは()()()よ」


「え?」


チェルカはマリナが見ている方向へと視線を巡らせる。

するとそこには……


「まぁぁ~」


王宮内の庭園を二人仲睦まじく散策する、この国の第二王女ルビエラ殿下と今話題に出ていたチェルカの婚約者クロビスがいた。

二人だけで。寄り添いあって手を繋いだりなんかしちゃって。


「アレは確かに王女と護衛騎士の距離じゃないわね」


「そうよねぇ?」


近頃よく目にする光景に、チェルカはすっかり慣れっこになってしまった。


二人うっとりと互いに熱のこもった瞳で見つめあっている。


「どうしてあんなになっちゃったのかしら?」


チェルカは自身の婚約者を見てため息を吐く。


「王女殿下にも困ったものよね。いくら専属護衛騎士だからって、まるで自分の婚約者のように扱って。アラバスタ卿にチェルカ(あなた)に会わないようにお願いし(命じ)てらっしゃるんでしょ?」


「ええ……そしてそれをクロビス様は王女殿下の命だからと素直に従っているの」


「お父君であらせられる国王陛下が溺愛されている末王女というのがまた性質(タチ)が悪いわよね……陛下はルビエラ殿下をどこにも嫁がせるつもりはないらしいじゃない?一生手元に置いておくのだとおっしゃって……。だからあの歳、十九歳だっけ?になっても王女殿下には婚約者もいないのよ。ハーレムのように男たちを(はべ)らかしているのよ」


そう。凄いことにルビエラ王女にはクロビスのような存在が他に数名いるのだ。

お気に入りの侍従にお気に入りの音楽家。

お気に入りの官吏にお気に入りの宮廷画家。

その男たちも皆王女殿下にぞっこんで、喜んで王女の側に腰巾着のように侍っているのだ。


中でも金髪碧眼、長身で見目の良いクロビスは王女の大のお気に入りらしく、片時も離さず側に置いている。


クロビスもクロビスで、「王女殿下をお側でお守りできるのは至上の喜び」と称してベッタリと離れないときたもんだ。


王女の護衛騎士に任命されるまではそれなりに良好な婚約者同士の関係を築けていたはずなのに、今ではすっかり、チェルカはクロビスにおざなりにされている状態だった。


それならもう、悲しいけれどいっそのこと婚約を解消しようと告げても、あろう事かクロビスはチェルカのことも好きだから婚約解消はしないと言ったのだ。


彼の家の方が爵位が上だから、向こうから解消の手続きをしてくれなければ婚約解消が出来ないのに。

仲良しだった婚約者にないがしろにされる辛い日々から解放されたいのに。

それなのに……クロビスは婚約解消に応じてくれない。


確かにクロビスに嫌われてしまったわけでも疎まれているわけでもないと思う。

その目に嫌悪や蔑みといった()の感情は見られないから。

ただチェルカに興味が無くなった、そんな印象を受けるのだ。


「……実家の父にはクロビス様の心繋ぎ止めておけないわたしが悪いのだと責められるし……はぁぁ~つぅらいわ~」


「なんだかふんわりした辛さ加減ね」


「まぁ~わたしは真剣にこの辛さと戦っているのよ?」


「ふわふわしてるのに打たれ強いよね、チェルカは」


マリナにそう言われるも、チェルカは生来こんな性格なのだから仕方ない。

昔からのんびりしてるとか達観してるとか言われるがべつにふざけているわけではない。

ちょっと人より鈍感で緊張感が長続きしないだけなのだ。

チェルカの出自や魔術の師匠(先生)が影響しているとは思うけど……。


だけどそんなチェルカでも、今の立場は本当に辛いのだ。


婚約が解消できないのであれば、

チェルカはなんとかしてクロビスとの関係を昔のように戻したいと思っているのだが……。


「はぁぁ……どうしたものかしらねぇ……」


チェルカは大きくため息を吐いて、人目もはばからずイチャイチャする王女と婚約者を眺めた。






───────────────────────



始まりましたよ新連載。


はじめましての方もいつも毎度!の方もよろしくお願いいたします。


すみません、感想欄は解放しますがお返事はままならないかも……

ゴメンでぴえんです( ᵒ̴̶̷᷄꒳ᵒ̴̶̷᷅ )ピエン




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