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出会いは必然? ー???sideー

こんな物語あったらいいなあと思ったら、小説を書き始めました。

趣味全開のご都合主義で進みますので、温かく見守って頂けると幸いです。

誤字脱字等ありましたら、ご報告よろしくお願いします。

ー翌朝。

 予定していた起床時間より大分早く起きてしまった。落ち着け俺。年甲斐もなくテンションが上がってる自覚はある。

 ゲーム内の日課であるストレッチやジョギングをいつもより時間をかけながらこなしていく。まあ、それでも予定していた起床時間にはまだ及びないが。

 あいつが起きてくる前に朝ご飯でも作っておくか?

 そういえばあいつは、朝弱くて寝起き不機嫌になるんだったな……。起こしに行くのが先か?

 いやいや、先に朝ご飯の準備してからの方が効率はいいか。

 なんて考えながら火をおこして調理を始める。簡単にスクランブルエッグとトーストパンだけどな。男の料理なんてそんなもんだ。

「よし、出来た。……そろそろ起こしに行くか。」

 独り言を呟きつつ、完成品を皿に移す。どんな物でも出来たてが1番上手いからな!

 よいしょっと。そろそろ時間だし、起き始めてるといいんだが。


 ーコンコン。

 あいつが木の洞に作った部屋の扉をノックする。

「おーい。起きてるか?」

 声を掛けて少し待ってみる。物音しないな?

「そろそろ時間だぞ〜。朝ご飯作ったから早いとこ食べてくれ。」

 再度声掛けをすると、ゴソゴソと動く音がした。

 起きたな。この感じならすぐに来るだろう。火の所で待っておくか。

 そして数分後、寝起きにしては機嫌が良さそうに起きてきた。


「おはよう。機嫌良さそうだな。楽しみなのか?」

「……うん。妖精達にも起こされた。あの子達も楽しみみたい。」

「へぇ。俺が起こしに行く必要はなかったか。」

「いや、助かった。ありがとう。妖精達はあの呼び掛けの後に騒ぎ出したから。」

「そうか。なら良かった。で、少し早く出れそうだがどうする?」

「もちろん、早く出るよ。待ちきれないみたいだし?」

「そうだな。」


 朝ご飯を食べつつ、会話を続ける。

 昨日から思っていたが、妖精達は何をそんなに喜んでるのかね?


「昨日も言ったと思うけど、あの発光現象は精霊や妖精達にとって、もちろん私にとってもだけど、とっても心地良い魔力だった。で、あの子達はこの現象を起こした人物を知ってる風だったって話は昨日したよね?」

「あぁ、そう言ってたな。」


 目の前のやつはもぐもぐと食べながら続ける。

 私、分かった気がする。ここ最近、あの子達から聞くようになった単語があった。“精霊王”と呼ばれる存在がいると。それを踏まえるとその存在の可能性が1番高いのでは?と私は思ったの。と続けた。


「それはだいぶビックネームが出たな。ここ最近ってのも気になるが…」

 一足先に食べ終わった俺は自分の食器を貯めていた水で洗いつつ答える。

 って事はだ、精霊王を『召喚』したサモナーなのか?

 …いやいや、ただのサモナーな訳ないよな、流石に。

 特殊種族なのは十中八九確定として、固有職業の可能性も出てきたな…

 そう考えるとここは友好に行くべきだよな?

 あいつはどうするんだろうか?

 そこまで考えたところであいつから声が掛かる。


「で、私から提案がある。」

 なんだ?と表情に出しつつ、あいつの方を向いて続きを促す。

「ここは友好的に行こうか。」

「あぁ、了解した。俺もそう言おうと思ってたところだ。」

「良かった。」

「そんじゃ、食べ終わった事だし、そろそろ片付けて出発しますか〜。そんなに離れてはいないが向こうにどれだけいるか分からないからな。少しでも時間に余裕があった方がいい。」


 コクリと頷きに片付け始めたあいつを手伝いつつ、出発の準備を始める。

 ここから15分くらいの距離とはいえ、昨日の時点で周りに調査に来てる奴らもいるみたいだし、邪魔されたくないから早目に着く分にはいいだろう。


「そういえば、掲示板見たか?」

「うん、見た。どうやら『結界』が張られているらしいね。どんな条件なのかは分からないけど、厄介な事には変わりない。」

「そうだよな。増々疑惑が確信になってきたぜ。」

 片付け終了後、領域を出て会話をしながら歩く。

 まあ、隣のやつは浮いているので歩いてはないが。予定より早めに出ているので、ゆっくり進む。

 それにしても『結界』がスキルであればいいが。“精霊王”なる存在が関わっているのであればスキル以外の可能性も考慮しておくべきだろうな…

 俺が相当渋い顔をしていたのか、隣のやつと一緒に飛んでいた妖精達が眉間に寄った皺を伸ばそうとした。

 すごく見覚えのある目の前に浮いている妖精は、昨日案内してくれた妖精だろうか?


「その腰に手を当ててる子は昨日、貴方を案内してくれた子で合ってるよ。」

 …俺、声に出てただろうか?いや、出してないはずだ。

「いや、出てないよ。貴方、すごく顔に出る。その子、貴方を気に入ったらしいからこれから付いててくれるって。」

「そうだったのか…。今まで気づかなかった俺、やばくないか?」

「全然。わかりやすい方がありがたいよ。それに、こんな風な普通の会話の時位だし。その子に挨拶してあげて。珍しい属性の子なの。」

「そうなのか、気に入ってくれてありがとな!これからよろしく。ちなみに属性を聞いてもいいのか?」


 自分の表情筋の緩さに驚きつつ、目の前でふふんっと胸を張っている妖精に目を向ける。

 褒められて一層胸を張る所が凄く可愛らしいが、珍しい属性というワードが気になったので、隣のやつに顔を向けて問いかける。


「うん、別に大丈夫。その子は時空属性。中級で時間の流れを遅くするまでしか出来ないけど、とってもいい子だから。」

「おぉ、それはだいぶ便利じゃないか!そんな能力無くても懐かれるのは嬉しいが。」

 目の前の妖精を指で撫でてみる。くすぐったそうにしているだけで嫌そうには見えない。

 この反応が可愛かったので、たまに撫でてあげるようにしよう。構い過ぎて嫌われたら嫌だからな。


 そうこうしている内に大湖に浮かぶ島が見えてきた。

 なんか、とてつもない力を感じるな……

 威圧感はないが明らかに何かがいると五感が訴え掛けてくる。

 隣のやつはどうだろうか?と横を向くと、すごく心地良さそうに微笑んでいた。


「お、おい。大丈夫か?」

「あ、ごめん。ここに満ちる魔力マナがとても良くてつい浸ってた。」

「いや、大事無いならいいんだ。それでどうするよ?見る感じ船で渡っても大湖の半分くらいで戻されているようだが。」

「そうだね。ここは私に任せて。何だかこの結界は通れる気がするの。」

「あぁ、分かった。」

 今確認されているどの種族よりも魔力マナに敏感であろうこいつができると言うなら出来るのだろう。

 他のプレイヤー達が船で島に向かおうとしている所から少し離れた場所に移動したあいつは、魔術を発動する。


「氷魔術『ヨトゥン・シアチ』」

 詠唱もせずに魔術名だけ唱えると、大湖から島に続く、人ひとり分位の幅の道が出来た。

 急に発動した大魔術に他プレイヤーは辺りを見回しているが、俺は平然と進み始めたあいつに着いていく。

 いつ見てもこいつの魔術は制御完璧で勉強になる。俺はここまで出来ないからな。

 発動元を突き止め、着いてこようとした他プレイヤー達の前で氷道が消える。

 俺は思った。だろうなと。こいつは心を開いた人、興味ある人・物以外にはすごく冷たいのだ。

 少し離れているため、顔は見えないがきっと悪い顔をしていることだろう。

 道ができて楽に進めると思った他プレイヤーには申し訳ないが、便乗行為がいちばん嫌いなのだ。

 なんて考えている内に膜のような物をすり抜けた感覚がした。

 どうやら無事に結界を通り抜ける事が出来たみたいだ。


 それから少しして島に着く。

 先に着いていたこいつは辺り1面の光景に目を奪われて動けないでいるらしい。

 確かに、俺にも感じるくらいの魔力マナだからこいつは相当やばいのだろう。

 そろそろ正気に戻してやるか。と思ったその時、急に何かの気配を感じて前を向く。


〈おぬしら、少し移動は待ってもらってもいいかの?ここは我が主の島でのぉ、チナの結界を抜けれるくらいじゃから悪い奴らでは無いのは理解しているが。〉

〈〘妖精姫〙なんて狡いじゃない!それは通り抜けられて当然よ!あと後ろのエルフも妖精のお気に入りじゃない。〉

〈これ、落ち着かんか。次の機会に活かせばいいじゃろうて。〉

 突然現れた落ち着いた狼と比較的若く感じる額に宝石を付けたリスは俺たちを警戒する気配もなく、普通に会話を続けた。

 目の前のどうやって戦っても勝てなそうな相手をどうやってやり過ごすか考える俺は気づいた。さっきから隣のやつが妙に緊張している事に。


「…お目にかかれて光栄です。神獣様方。私はラフィーネと申します。先程仰られた通り、〘妖精姫〙をさせて頂いております。」

〈おぉ、丁寧にありがとう。我はフィルという。〉

〈私はチナよ!主から貰った大切な名前なの。〉

 ……!?

 急に恭しく名乗ったこいつ-ラフィーネに更に思考を掻き乱された俺を置いて会話は進む。

 いや、なんでラフィーネは普通に会話出来てるんだ。

 神獣なんて初めて聞くワードまで出しやがって。


「ここに現れになったという事は先程から仰られている主様の所にご案内してくださる、という事で間違えないでしょうか?」

〈理解が早くて助かるがの、少し待ってみたが、お前さんのお仲間はまだ理解が追い付いていないように思える。〉

「…申し訳ございません。私も自分の事でいっぱいで気づいていませんでした。少しお時間を戴いても?」

〈構わんよ。〉〈大丈夫よ!〉

「ありがとうございます。では、説明して参ります。」

 困惑し続ける俺を落ち着けてから話を進めようとなった様で、こちらに視線を感じて体が強ばる。


「シューラス、説明してなくてごめん。私もいっぱいいっぱいで気づいてなかった。」

「…あぁ、そ、それは大丈夫なんが…、神獣の正体はいつ知った?」

 実は…と申し訳なさそうに話し始めた。

 結界を通り抜けた辺りで妖精達の制限が解除されたのか、急に情報を喋りだしたらしい。

 その情報を整理している内に島に着いてしまったため、俺にまで気が回らなかった。ごめん。と謝るラフィーネに、大丈夫だ、それは俺でもそうなる。と答える。確かに一言も喋らなかったな。

 ラフィーネと話してなんとか落ち着けた俺から今度は神獣達に意を決して話しかける。


「…ご挨拶遅れて大変申し訳ございません。お、私はシューラスと申します。種族は確かにエルフですが、正確には〘闇森妖精(ダークエルフ)〙になります。フィル様、チナ様、お願い致します。」

〈これは丁寧に。そこまで畏まらなくても良いがの?にしても、また珍しい種族じゃな〜。〉

〈ダークの方だったのね!あの種族は中々森の最深部から出てこないし、閉鎖的なのに、良く上位種に進化させて貰えたわね?〉

「〘妖精姫〙であるラフィーネが一緒に居てくれたお陰ですんなり集落に入れて貰えました。」

〈貴方の実力もあったからよ。あの子たちは力ある者を見つけるのが得意だもの。〉

「…ありがとうございます。そう言って頂けると嬉しいです。……あの、神獣様、主様がお待ちなのでは?」

〈おぉ、そうじゃったのぉ。では、そろそろ向かうとするかのぉ。なに、我が主は多少遅れたところで怒ったりせぬよ。とてもお優しい方じゃ。〉

〈そうなのよ!貴方達もきっと主を好きになるわ!さぁ、着いてきて!〉


 先導する神獣達の後ろに着いて俺たちは歩き出した。

 主なる人物はどんな人なのだろう?と思いながら。


ようやくー???sideーの名前を明かすことが出来ました。

今回判明したステータスのみ載せてます。


<ステータス>

名前:〘シューラス〙

種族:上位種族〘闇森妖精ダークエルフ


名前:〘ラフィネ〙

種族:特殊種族〘妖精姫フェアリープリンセス


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